Monthly Archives: July 2020


7月16日政府通達で「長期ビザ保有者のフィリピン入国を許可する」というニュースが流れ、多くのメディア、ユーチューブ等がこぞってとりあげた。私もローカル新聞の報道を目にして「遂にやった」と思ったが、正式な通達を目にするまで、ニュースを広げることを控えていた。そして通達を手して良く見ると「長期ビザとは移民ビザの13ビザ」と記載されていた。13ビザとはクオータビザや13a婚姻ビザをさすもので、9gワーキングビザ、SRRVなどの一般的な長期ビザを含まず、ごく限定されたビザをさす。そもそもこれらを長期ビザといっぱひとからげに呼ぶことは間違いであり、通達を読んだ人々が全ての長期ビザと解釈することは容易に想像できる。メディアやユーチューブの発行者もそう思ったに違いない。 その後、大使館からも報道されたが通達を翻訳しただけで、具体的にどのビザが含まれているのか、解説がない。その他の雑誌の記事を見ても大使館の情報の再掲載に留まる。要は一般の人がわかるように解説してあるのは、私のホームページ以外にみあたらないのだ。さらに入国に当たっては隔離施設とPCR検査の予約を独力で行なうこととあり、一体どうしたらいいのやら一般人には皆目見当がつかない。そのため、通達の真意を確かめるために多くの人から質問が私にもあったが、旅行社やフィリピン大使館はこの通達の要求にどうしたら良いのか説明するためにてんやわんやで、混乱のまま8月1日を迎えるのではないだろうか。 先日、歯医者に行くために久しぶりに外出したが、それから数日して、倦怠感に襲われ、半日も机に向うとげんなりしてしまった。しかし、熱は36度台の微熱程度で咳も全くない。ひょっとしてコロナとも思ったが、その後も熱も咳もなくてコロナと迷っているうちに、一週間程度で倦怠感がなくなった。ひょっとすると、これは無症状のコロナで、あっという間に直ってしまったのかという気もしている。そうであるとするとこれで抗体を獲得してもはやコロナに罹患しない天然のワクチン接種ということになったのかもしれない。こんな形で、抗体獲得者が増えて、コロナが自然消滅するのが理想的と淡い期待をいだきたくもなる。 キアンの大好きなキッザニアが閉鎖されるというニュースが流れたが、果たしてドリームプレイはどうなるのだろう。このままコロナ封鎖がさまざまなレベルで継続すると、経済・社会活動が停止して、世の中真っ暗になって、まさに「End of the World」がやってきて、コロナ怖さに為政者が国を滅ぼしてしまうという結果になるかもしれない。ブラジルの大統領がコロナなんぞはインフルエンザのようなものだと言ったそうだが、もしかしてそれが正解かもしれない。日本の為政者も緊急事態宣言の発令を躊躇しているがそんなジレンマがあるのだろう。 ところで、キアンのオンライン授業がやっとはじまった。ドテルテ大統領の話によると、ワクチンが出来るまで、対面授業は来年あたりになるだろうということなので、あと半年も自宅待機では学業への影響は計り知れない。学校としても授業料を取ることが出来ず、私立校は倒産の憂き目にあってしまうから、先生方もいつまでものんびりしているわけにはいかない。そのためキアンは朝の7時から11時半までラップトップにかじりついており、やっとニューノーマルの体制になったわけだ。 一方、クッキーも3歳と9ヶ月、本来ならば幼稚園に通っているところだ。そのため、ここ2ヶ月間、私にお鉢が回ってきて、ABCマウスというオンライン教材で、毎日レッスンをしている。しかし、お絵合わせ(ジグソーパズル)やお絵書きに歌など、遊び相手で退屈で仕方がない。しかもクッキーは強情で自分の思い通りに行かないと私からマウスをとりあげて勝手にクリックして、気に入ったところでブレーキしていつまでも遊んでいるので、私の手におえない。しかも私のパソコンを占領しているので、机の前でぼんやりしているしかない。 そこでママ・ジェーンが白羽の矢を立てたのがメイ先生だ。キアンの通っていた幼稚園の先生でキアンの家庭教師でもあり、キアンの英語の恩師といえる存在だ。しかし、メイ先生は現在スペイン在住で、本来ならばありえない話だが、クッキーのレッスンをオンラインで引き受けることになった。まさにニューノーマルで地球の裏側のスペインからレッスンを受けるということが現実になっていているのだ。 コロナ封鎖前、キアンの家庭教師をしていたドンボスコの先生ラニョラ女史にクッキーも一緒に面倒を見てもらうべくレッスンを開始したのだが、数回にしてクッキーのヤンチャぶりにギブアップした経緯がある。メイ先生は幼児教育のベテランなのでやり遂げるに違いないと期待しているのだが、ちなみにママ・ジェーンは、はなからギブアップしている。

キアンのオンライン授業とクッキーのオンライン家庭教師が始まった2020年7月26日


7月1日からは封鎖がさらに緩和されるものと期待していたが、あえなく7月15日まで現状維持と発表され、その期限も近づいてきた。今度こそMGCQ(もっとも緩い隔離措置)と期待出来そうなので、在宅勤務であるならば、どこにいようと関係ないと、キアンを伴ってビコールの農場に疎開することにした。 仮に7月16日からMGCQになったとしても、毎日1000人を超える感染拡大が止った訳でもないので、当面、20歳未満と60歳以上は在宅自粛が求められ、外国人の入国も許されず、本業のビザ取得サポート業務も開店休業状態だろう。さらにPRAも半身不随でID更新のアポをとるだけでも容易なことではなく、当方としては最低限の業務をこなすことしかできない。この状態がいつまで続くかわからないので、当面、ビコールの農場で過ごすのが肉体と精神の健康を維持するために賢い選択というものだ。マニラへの帰還の目安としては、とりあえず外国人の入国が許されてPRAが本格稼動するまで、あるいはキアンの学校が再開されるまでということだとうが、数ヶ月に及ぶ可能性もある。 そもそも、この話は、今回の封鎖期間中、嫁の田舎に疎開していた息子が、それに懲りて、今度、地方への移動が許されたら、ビコールの農場に疎開したいと言い出しのがきっかけだ。3ヶ月間の田舎のスコーターでの暮らしは、なんだかんだ言っても辛かったようだ。それで、7月16日以降の封鎖緩和を見越して、息子一家、そしてキアンを伴って一年ぶりに農場に行こうということになった。それを聞いたキアンは飛び上がって喜んだのはいうまでもない。 問題は、ママ・ジェーンがキアンの一人旅を許すかどうかなのだが、キアンはどうせ許されないと、はなからあきれめ顔だった。しかし、意外にも、自分も、他の二人の子供を連れて2~3週間ジョインすると言い出したのだ。彼女としても週に一度の外出(食料の買い出しとPRAの用件など)だけで、毎日、料理と昼寝に明け暮れるのもいい加減に飽きが来ているに違いない。それに他の子供達も4ヶ月もの間、家に閉じこもりっぱなしというのも良いはずない。ママ・ジェーンも一緒という話を聞いたキアンの顔が一瞬、苦虫をつぶしたようになったのは、まさに(笑)だ。いずれにせよ、ママの承認が取れたとキアンは上機嫌だった。 そして、私は、数ヶ月の農場滞在、在宅勤務の準備構想に思いをめぐらせた。まず、業務に必須なのがパソコンとインターネット、パソコンは現在使っている環境をそのまま持って行くことにした。別途同じ環境を整えることはあまりに面倒な作業だ。もちろんスキャナー付のプリンター、さらに田舎では停電が頻繁に起るのでUPS(無停電装置)が必須だ。しかし、これらの装置全部持っていくと、マニラでママ・ジェーンが何も出来なくなるので、予備のプリンターのインクを買って動くようにしておくことも必要だ(古いプリンターはインクカートリッジ式なのでインク代が高いが、少量なので良しとした)。インターネットは家庭用のWifiを購入して持参するつもりだが、果たして十分機能するかやってみなければわからない世界だ。去年はだめだったが、この一年の間になんらかの進歩があるだろうとの期待だ。それがだめだと在宅勤務もままならないので、毎日街にでて、E-メールを使わなければならなくなる。 さらにキアンのカシオ電子ピアノの持参もオンラインレッスンに必須だ。水泳用具一式、私の精進料理用の食材(2か月分)、糖尿病の薬(2か月分)などと、まるで引越し騒ぎとなってきてしまったが、旅行と一緒でこんな準備が楽しいものなのだ。 ママ・ジェーンは、この機会を捉えて、早速キアンに、歯ブラシを言われなくてもしっかりやることと、私には玉石混交、風が吹けば桶やが儲かる式の条件をつけていた。そして翌日、キアンが早速、ビコールには行けなくなったと、悲しげな顔をして話しかけてきた。ママ・ジェーンに承認を取り消されたというのだ。理由は、歯ブラシが上手に出来なかったからだそうだ。 キアンに行くなということは、私に行くなということに等しい。キアンは私が留守にすると、2~3歳のころから、ベッドの下を探したり、部屋でボーッとして涙ぐんでいたり、よりどころを失ったようになってしまう。それを無視して、私が、2~3ヶ月も一人で家を留守にするというようなことはありえないのだ。ハイスクールに行くころになれば、彼女に夢中になったり、乳離れすると思うのだが、あと数年、私の去就はキアン次第なのだ。 それを歯磨きがどうのこうので、このコロナ禍を逃れて、私の健康と業務を両立するための疎開プランを否定するなど、一体何を考えているのかとあきれる。しかし、どう考えても本気とは思えず、単にキアンのしつけの材料に使っているにすぎないのだろう。それで、「ママはいつでも気が変るので、しっかり歯ブラシをしなさい」とキアンを諭す。案の定、翌日にはOKになったと思ったら、その翌日にはまただめになったとか、キアンの心は乱れるばかりだ。 仮にしつけであろうが、一旦、褒美を与えて、言いつけを守れないから、取り上げるというのは、しつけの原則の真逆だと思う。これをやり遂げたら褒美を与えるというのが原則であるはずだが、ママ・ジェーンの一旦褒美を上げてしまって、それをあとから取り上げるという方式は、子供のやる気を促すのではなくて、やる気を奪うだけだ。おまけにそれでもだめなら、はったおして恐怖心を与えて言うことをきかせるというのは、決して子供の成長を促すことはなく、ひねくれた好ましからぬ大人に育てるだけだろう。 一方、ビコール行きに盛り上がっている間に、15日に封鎖がさらに緩和される見通しが怪しくなってきた。新規感染者は相変わらず、毎日1000人を越え、逆にGCQからMECQに規制が厳しくなるという観測が流れはじめた。そうなるとビコール行きも怪しくなるので、キアンには、歯磨きがどうのこうのよりも、もっと大きなところで、ビコール行きはだめになるかもしれないとキアンと自分に言い聞かせている。さらに、そうなるとPRAも再度閉鎖されるかも知れず、お先真っ暗といったところだ。 状況は大分違うものの、日本も再度感染の拡大が進んでいるが、政府は非常事態宣言も出ししぶっている。フィリピンにおいても、ここで再度厳しい封鎖を実行したら、庶民の経済的打撃から、もはや人心をコントロールできなくなるだろう。したがって為政者は、経済とコロナ感染対策を両立する策を模索しなければならないという難しい状況にある。単に封鎖措置を厳しくして逆戻りというのでは、当方としても、さらに数ヶ月間、マニラで家に幽閉されるという状況に陥ってしまう。直りかけた病気が再発するとショックで闘病の気持ちがなえてしまうというが、全くその通りだと思う。なんと目からうろこの妙手を編み出して欲しいものだが、そうでないと、このまま老いさらばえてしまいそうな気さえし始めている。

農場へのコロナ疎開は果たして実現できるのか 2020年7月11日