Monthly Archives: August 2020


フィリピンは、連日5000人前後の新規感染者が発生し、合計で20万人を越える感染者数は東南アジア最大という不名誉な記録を達成してしまった。アンケートによると、失業中という回答は45.5%と、なんと二人に一人は失業中で、しかも国家の支援も受けられない状況だ。これでは、悪事を働いてまでも生きる糧を手にしようとする輩が増えて、治安の悪化していくのは必須だ。その辺を考慮しためか、8月19日から、首都圏はMECQからGCQへと隔離規制が緩和されたものの、経済の復興には程遠い。そんな折、フィルヘルス(国民健康保)の大規模な汚職が発覚しフィルヘルスの総裁が辞職に追い込まれ、スルー州のホロ島では爆破テロで死傷者は90人を越え、さらにバタンガス港では海上武装強盗事件(海賊)が発生するなど、8月初めにの日本人老女強盗殺人事件とあいまって治安の悪化を印象づけるニュースが流れている。 さらに、学校の再開は8月24日の予定が、オンライン授業の準備不足という理由で10月5日に延期された。しかも、440校もの私立校が生徒の不足から休校に追い込まれた(全国で私立校は14,435校というから幼稚園などが大多数なのであろうが)。これは、保護者の収入がコロナ封鎖により減少して私立校から公立校へ転校したためだそうだが(因みに公立校の授業料は無料)、まさに経済の停滞は貧困層の食料だけではなくて幅広く国民経済を蝕んでおり、まさに国家存亡の危機ともいえそうだ。 現状のマニラ首都圏の隔離措置、GCQの期限は8月31日で来週の月曜までだが、果たしてその先はどうなるのか。ドテルテ大統領の決断次第だが、新規感染者の数は一向に収まりを見せず、一方、治安の悪化や国民の経済状況はますます蝕まれる状況で、まさにコロナをとるか、経済をとるかの瀬戸際に追い詰められている。しかし、一番望まれる外国人の渡航許可については世界的にますます感染が拡大する中で、絶望的とおもわれる。また、せめて高齢者(私を含む)の外出を許可して欲しいのだが、その場合、現状のGCQが地方並みのMGCQ緩和される必要があるが、それも絶望的であろうか。 こんな折、私の部屋のエアコンが故障してしまった。機械そのものは動くのだが、リモートで操作できない。手動のスイッチもないので、そのまま、つけっぱなしにするしかない。しかし、昼間は部屋にいないし、寝る時はあまり使わないので、電気代がもったいない。それでブレーカーのスイッチを切って消すことにした。つける時もブレーカー頼りだ。早速、業者に依頼して修理したが、数日後にまた故障してしまった。再度、修理したのだが、今度は「普段私が、27度に設定しているのが高すぎるので、22度以下にして使え」と言う。それでは寒すぎると言うと、オンオフを繰り返せというのだ。そうしないと、中のマザーボードが焼けてしまうと、訳のわからない理由で、私の使い方のせいにされてしまった。 仕方がないので、22度で使ってみたのだが、その日の内にまた故障してしまった。そうなると、業者はマザーボードを取り寄せて交換しなければならないのでエアコンは1ヶ月使えない、ブレーカーでのオンオフはコンプレッサーが壊れるので、不可と最後通牒を突きつけられた。ママ・ジェーンは空いている子供部屋で過ごせとか、いつになく気を使っていたが、「この時期(雨季)ならばエアコン無しでも大丈夫」とつい豪語してしまった。 エアコンがないとなると、保育所と化していた部屋には誰も寄り付かなくなった。雨模様の日はいいのだが、天気の良い日は、日当りのよい私の部屋はかなりの暑さになっていて、夜になっても30度以下になることはない。私の子供の頃は、もちろんエアコンなど無いわけで、耐えられないことはないのだが、南国育ちで暑さに慣れているはずのキアン達にはエアコン無しでは耐えられないようだ。 2日ほど、寝苦しい夜をすごしたのだが、3日目に件の業者が姿を現して、修理して行った。きっとマザーボードとやらの在庫があったのだろう。隔離措置で外出も出来ず、エアコンも無しとなると、二重苦で、この上さらにインターネットがなくなったら三重苦となって、私にとっての生きる術を失ってしまうことになるところだった。

エアコンが壊れてしまった 2020年8月27日


8月4日から始まった防疫隔離措置(MECQ)は19日から元のGCQに緩和された。8月1日からGCQの延期、4日からMECQへの再強化、そして19日からGCQへの再緩和へのめまぐるしい変化は、行政の迷いの表れだ。こちら立てればあちら立たずで、ドテルテ大統領も苦渋の選択の繰り返しだったのだろう。 GCQからMECQの規制強化は公共交通機関の運行停止、レストランの店内飲食の禁止、さらに諸官庁の業務停止と、6月1日のGCQへの規制緩和により、動きはじめていた経済活動を再度停止するものだった。これは、ジプニードライバー、トライシクルドライバー等の運転手、レストランのウエイトレスら、貧困層の職を奪い、諸官庁の業務停止は経済活動の首を絞めるものだった。コロナ感染の増大による医療崩壊の危惧が、8月4日の規制強化の原因だったそうだが、今度は経済、そして庶民の生活の糧を奪い、はるかに多くの被害者を発生させることになってしまった。 防疫隔離措置(封鎖)も5ヶ月も継続してしまうと、感染拡大防止という大義名分よりも、経済そして庶民の生きる糧を奪うという側面が大きくなって、もはや庶民、経済界の同意を得ることが出来なくなってしまっている。しかもそれを補填する金が国庫にないとすると、感染拡大か庶民の餓死/暴動のどちらを取るかの選択肢になってしまう。 そこでタイミングよく宣伝されているのがロシアをはじめとするワクチン開発で、すでに成功した、成功間近と騒がれている。これは医療関係者も庶民、経済界にとっても希望の光を与えている。これが効果のあるものだとすると、すべてが丸く収まり、外国人旅行者もワクチン接種により、自由に渡航できるとすれば、私のビジネスも復活する。そうとなれば、後、2~3ヶ月は我慢のしようもあるというものだ。 相変わらず在宅隔離を強いられている子供達に事件が起った。とるにとらない些細なことがきっかけなのだが、キアンにとって人生初の怒りの原因に発展してしまった。そのとき、キアンは怒りに30分以上、体の震えが止まらず、私も一体何がキアンに起きているのかわからず、聞いてみると「Angry 怒り」と震えながら答えた。怒りに震えるという言葉があるが、私にとっても初めて見る光景だった。キアンにとっても生まれてはじめての経験だったという。 事の起りは、キアンが部屋にいるクッキーにランチタイムを知らせたことだ。その声に寝ていたココが起きてしまった。そのことを子守役のマミー・ソンがキアンをたしなめた。キアンは、「ココが寝ていたことを知らなかった」と言い訳を言ったのだが、マミー・ソンはそれを「I don’t care、そんなこと知るか」と聞き損ったらしい。それでマミー・ソンに火がついてキアンに罵声を浴びせかけた。キアンがいくら言い訳してもその罵声は止まらず、キアンは見る見るうちに表情を変え震えだしたのだ。 その時は状況をよく把握できなかったのだが、後で聞いてみるとマミー・ソンの罵声は以下のようなもので、キアンには耐え難い屈辱だったようだ。「ダダ(私のこと)の前では、なんでお前は、生意気なことをいうんだ」「ママに言いつけてやる」「携帯の使用を禁止する」など、普段でも大声で子供達をつまらぬことで叱りつけているのだが、火がついているときのマミー・ソンの罵声は強烈なものがあった。キアンは、何の罪を犯したわけでもないのに、マミーソンはキアンの言い訳に耳を貸さず、キアンを怒鳴り続けたことに対して、キアンはプライドをいたく傷つけられ、それが怒りに繋がったようだ。人間、例え子供であろうとその日の糧を得るのに汲々としているもスコーターの人間だとしても、それなりのプライドがあって、それを傷つけられると怒りに繋がって暴力事件に発展する。決して公の場で人を侮辱してはいけない、というのはフィリピンばかりでなく人類共通の教訓だとおもう。 私は、怒りで震えるキアンを部屋に連れて行ってなだめることしか出来なかった。しかし、たかがキアンの呼び声でココがおきたとしても、マミー・ソンがなにもそこまで熱くなることはあるまいと思うのだが、ママ・ジェーンの叔母であるためか、ママ・ジェーンに輪をかけたような勢いだった。両親にに怒られるならばまだしも大叔母にどやされてキアンとしても我慢できないものがあったようだ。相手が同級生だったとしたら、きっと殴りかかっていただろう。 私は生涯、子供時代を含めて、暴力的喧嘩というものをしたことがない。したがって、怒りで体が震えるという経験もない。比較的穏やかな性格で、せいぜい妻と口げんかをするくらいだった。しかし、普段は優しさの権化みたいな10歳の子供ーキアンが体が震えるまで怒るということはちょっと信じ難い事件であった。因みにマミー・ソンはママ・ジェーンに言いつけるといっていたが、それはさすがになかったようだ。なんと言ってもキアンにとって一番恐ろしいのはママ・ジェーンなのだ。しかし、子供達は外出禁止で外へ出られず、ただでさえストレスが溜まっているときに、大の大人が赤ん坊が起きたくらいで大騒ぎをしなくてもいいと思うのだが。

キアンが怒りで震えが止らなくなった 2020年8月22日



いよいよ防疫隔離措置の規制(現状MECQ)の期限(18日)が近づいて、果たして緩和されるのか(GCQへ)、さらに強化されるのか(ECQへ)世間は興味しんしんだ。医療関係者は、新規感染者が6000人を超え、高止まりしている現状から規制強化を訴え、経済界は、このままではコロナに感染する心配よりも、5ヶ月に及ぶ隔離措置により、経済が破綻して職を失い生きる術を失う者が膨大となり、果ては国家経済の破綻を招くことになると、規制緩和を主張している。 確かに5ヶ月もの間、収入の道を絶たれ、これがいつまで続くのかと思うと、感染は自己責任として扱って、いい加減に行政は口を挟んで欲しくないという気持ちがわいてくる。国に支援する金が無いとなれば、貧しい人々が他人の富みを奪ってまでも生き延びようとするのは当然の成り行きで、それを防止するための警察そして軍隊の出動で内乱状態になったとしてもおかしくない。それならいっそ、隔離措置をやめてしまったほうが、はるかに得策だというわけだ。何しろ5ヶ月はあまりにも長すぎる。 一方、最近、フィリピン人の外国人配偶者の入国に当たって、事前に入国ビザが必要である旨の通知が発表された。従来は、フィリピン人の配偶者であればビザ無しで入国を許されたものが、事前にビザを取得せよ、ということだ。参照 入管Press Release(8.08)。しかし、そこには「Appropriate Visa-適切なビザ」となっていて、具体的な記述がない。今まで、Permanent Visa とかLong Term Visaとか表現が使われて、果たしてSRRVは含まれるのかといつも議論が沸騰したが、今回もSRRVが含まれるのか不明で、PRAに聞いて見ても返事をもらえない。 さらに入管の内部資料を入手してみると(外部秘となっているために添付できませんのでご了解願います)、SRRVは認められるものの、今度は「Foreign nationals exempted under FSC No.360‐2020 […]

トランプゲームは防疫隔離措置克服の切り札となるのか 2020年8月16日


8月3日(月)早朝、防疫隔離措置が4日よりMECQに再強化されるというショッキングなニュースが流れた。おりしも4日(火)にPRAとのアポが、2週かがかりでやっと取れて、ID更新など数件の案件を処理する予定だった。MECQになれば、PRAは閉鎖され、当面案件の処理はできなくなる。それらを3日(月)のうちに処理しようとPRA内部にコンタクトを取って、朝からてんやわんやでなんとか終わらせることができた。 翌日(4日)PRAと入管の通達を手に入れたが(PRA通達8.3、入管通達8.3参照)、案の定、最低限の業務以外については、早々と機能停止を決め込んでいる。一応、18日までとは期限を区切っているが、政府の通達に従ったものでしかなく、政府は、この先も延期、あるいはさらにECQに規制をより強化するかもしれない。とにかく、毎日、新規感染者が4000、5000、6000人とうなぎのぼりなのだ。この点は日本と状況が同じで、医療関係者も医療崩壊を引き起こすと声を大にして大統領を突き上げている。一方、大統領も国には食糧支援を実施する金もないと、宣言しており、MECQではレストランでの飲食の禁止、公共交通機関の停止など、それらに従事する大量の貧困層が再び職を失い、生き延びる術を無くしてしまうだろう。 貧困層でなくても、すでに5ヶ月間の操業を制限されてきたビジネス界も、もはや限界で、この先、どれだけ続くかわからない隔離措置に嫌気をさして、廃業という選択肢を選ぶ企業も出はじめている。例えば、子供達の天国キッザニアが廃業を決断したが、ここでも大量の失業者が発生して生きて行く術を失った。私のビジネスも同じで、永住ビザの代行業にとって外国人が入国できず、PRAや入管が閉鎖してしまったら、ビジネスのネタが消滅してしまう。2~3ヶ月で状況が改善するものと期待していたものが、すでに5ヶ月たってしまったが、この先、いつまで続くかわからない状況では、まさにこの世の末だ。 そんなフィリピンの状況を象徴するような事件が発生した。3日朝、MECQへの規制強化でバタバタしている折に、マニラ新聞で報道されたのが、ラグナ州、カブヤオで一人住まいの日本人老女(82歳)が強盗に殺された事件だ。手足を縛られ、猿轡をされて絞め殺されたという悲惨なものだが、日本のニュースでも流されてフィリピンの治安の悪化を印象付けた。遠因がコロナ隔離措置があるのか、いつでも起りうるもの盗りなのかは定かではないが、封鎖で食い詰めた貧困層が富裕層から収奪するという混沌の世界に突入してしまうのではないかと一抹の不安がよぎる。 さらに5日(昨日水曜)のテレビではレバノンのベイルートで、まるで核爆発のような大規模な爆発が発生したことが報道されていた。タガログ語のニュースなので、よく様子がわからず、核爆弾でも投下したかのような巨大なキノコ雲の映像が流され、すわ、第3次世界大戦かと勘違いしそうになった。肥料の原料になる硝酸アンモニウムが大量に貯蔵されていて、何らかの原因(過失あるいはテロ)で爆発したそうだ。核爆発でなかったものの、被害は惨憺たる有様で、当地の人にとっては、この世の終わりと思ったに違いない。 先月の熊本の水害もすさまじいものがあったが、コロナで動きがとれない状況の災害で、まさに、この世の末がやってくるのかと思わせる一週間だった。8月1日からは隔離措置の緩和で、農場に疎開してゆっくりと長丁場に備えようと思っていたのだが、とんでもない8月が始まってしまった。

果たして、この世の末(End of the World)がやってくるのか 2020年8月6日