先日、息子と部屋で話をしていたら、外でドスンと大きな音がした。轟きがないので雷や花火あるいは爆発ではなくて、何かが落下したような音だった。そのことはそれで忘れてしまったのだが、翌日、コンドミニアムの入り口の駐車場に止まっていた車が、ビルの外壁の落下で破壊されていたのを目撃した。もし、そこに誰かいたとしたら即死に間違いない。 片付けられた瓦礫を見ると、厚さが5cm程度あって、かなりの重量だ。鉄筋は入っていなくて、ビルの外壁の化粧モルタルのようだ。しかし、モルタルにしては異常に厚い。 上を見てみると6~7階あたりのべランダの化粧モルタルがはがれて、コンクリートがむき出しになっている。これが何かの拍子に落下したのだ。何のためにこんな分厚い化粧モルタルを施したのかわからないが、こんな余計な事が大きなリスクに結びついている。 他の部分を見てもひび割れが目立ち、地震でも来れば、ほとんどすべての化粧モルタルは剥がれて落下するだろう。そうするとビルの周辺にいた人々の多くが死傷するという大惨事になるのは間違いない。 駐車場にはロープらしきものが張られているが、そのまま駐車し続ける勇気ある人もいる。しかし、危険なのはここだけではなくて、ビルの全周だ。今、私が住んでいるプライムタワーコンドミニアムのタウンハウスは、この奥にあるので、これらのビルの傍を通過しなければならず、常にリスクがつきまとう。 自分のリスクで駐車せよと書いてあるが、まさかコンクリート片の落下を想定したものではなかろう。たまたま一緒にいた建築出身の方は、修復工事は不可能だろうとコメントしていた。ビルの管理組合、あるいはデベロッパーはどう対処するのかわからないが、とりあえず自分に身は自分で守るしかない。 フィリピンではビルの内壁や外壁の多くがブロックを積んで、モルタルで仕上げる構造となっている。だから、ほとんどのビルの外壁には、この化粧モルタルが施されていると考えたほうが良い。そうなると、地震がおきたらビルの中にいて、決して外に出ないことだ。フィリピンの地震はたかが知れているから、構造体そのものが破壊されるということは、ほとんどありえないが、ビルの外はモルタルの破片の雨が降るだろう。 1週間後くらいに、化粧モルタルの撤去作業が行われていた。状況はどの階も同じであろうに剥落した階だけのモルタルを撤去したとしても何の問題解決にはならないであろう、 だから、私は高層ビルが嫌いだ。平屋、あるいは3階ぐらいまでが自分でリスクをコントロールできる範囲で、それ以上になると、そこにいるだけで常にリスクと背中合わせになる。ちなみにこのプライムシティでコンドミニアムを買ったときは、1階は洪水のリスクがある、3階以上は火事で逃げ遅れるリスクがある、階段の傍は泥棒に狙われる、だから2階の真ん中を選んだ。ここなら、火事で逃げるとき窓から飛び降りても足を折るくらいが最大のリスクだろうと考えたのだ。ちなみに終の棲家と考えて建設した農場の家はもちろん平屋だ。