Daily Archives: May 12, 2012


  2才を過ぎても一向に話し始める気配のないKIANにママ・ジェーンは少々心配気味だった。私は遅かれ早かれ洪水のようにしゃべり始めるから心配ないと諭した。特にKIANの場合はタガログ語、ビコール語(フィリピンの方言)、英語、そして日本語と4つの言葉が周囲で飛び交っているので、話し始めは遅くなるのが道理だ。だからといって、周囲が一つの言葉に統一するなんて余計な事をすると、せっかくのバイリンガルの道を閉ざしてしまう。  最近カメラを向けると、あごの下に手をやってポーズをとるようになった。このポーズはフィリピンの子供達の間ではやっており、親指と人差し指を開いてあごの下に当てる、ある芸能人がはやらせたポーズだが、ちなみに「僕ハンサム」という意味だ。16歳の姉、キムに抱かれて泣き叫ぶKIAN。KIANは若い女の子が苦手だ。 ホリーウイークが開けてマニラに戻る際、いとこの女の子を3人(6~8才)、KIANの遊び友達にマニラに連れてきた。一人っ子はわがままに育ち気味なので、夏休みの間、いとこと遊ばせようという算段だ。しかし、体重がほとんど同じ彼らはKIANのやんちゃぶりに逆にいじめられるというていたらくだ。しかし一日中一緒に遊んでいるので、KIANが彼らと話を始めたのだ。以前はママやダダ(私のこと)しか言わなかったのが、私が抱いていると、「ババ」という、これは降りるという意味だ。次に、「オポ」と言う、これは座ると言う意味のタガログ語だ。 この日は皆でボニファシオ・グローバル・シティのマーケット・マーケットに出かけた。目当てはそこに併設されている遊び場だ。 さらに、いとこのことを「アティ」と言う、これは年上の女の子の呼び方だ。「アティ」に対して「オポ」と言ったら、姉さんに対して、そこに座れと命令しているのだ。一緒に車に乗ろうと、「オポ」、「オポ」を「アティ」に対して繰り返して、促す。これは明らかに会話をしていることになる。  これらは私の知らないタガログ語なので、これからはKIANと一緒にタガログ語を一から覚えたいと思っている。ちなみに日本語の「ハイ」は「ポッ」だ。KIANと名前を呼ばれたら、目下のものは「ポッ」と返事しなければならない。 私はいつもKIANに日本語で話しかけるので、KIANは知らぬ間にそれを覚えている。「タベタイ」、「ノミタイ」、「オモイ」などの言葉をタイミング良く発するのだ。私がKIANを抱き上げるたびに「重い」と言うので、KIANは椅子を持ち上げながら、「オモイ」と言う。知らぬ顔をしながらしっかりと身につけているのだ。さらに「おいしい?」と聞くと首を縦に振って「ウン」うなずく。さらに「マサラップ?(おいしいという意味のタガログ語)」と聞くと、やはり「ウン」とうなずく。「うれしい?」や「マサヤ?」聞いても同様だ。これは、明らかにマルチの言葉を理解し始めている証拠だ。 スーパーに買い物に出かけて、カメラを向けると、手をあごに当てて体を曲げてポーすをとる。 夕食時となると2階から私を「ダダ」と大声で呼んで、泣き叫ぶKIANだが、お腹が空いて一緒にご飯を食べようと言う催促だ。KIANの好物は相変わらず、納豆と海苔、それに味噌汁だ。もちろん鳥のから揚げやアイスクリームにも目がない。 話は変わるが「Baby、Baby」で始まる「BABY」という流行の歌をかけるとKIANは激しく踊り始める。ステップはでたらめだが、そのハチャラカな動きには目を見張る。彼の頭の中も色々な言語がハチャラカに入り交ざって、それがおいおい整理されて、言葉となって出てくるのだろう。動画が重過ぎてアップロードできないのが残念だ。

KIANがついにしゃべり始めた 2012年5月12日


シティ・ランドと言えば、老舗の大手デベロッパーで、比較的安価なコンドミニアムをマカティ中心に提供している。現在もブエンディアとサウス・スーパー・ウエイの交差点近く(デラロサ)、パソンタモとパサイロードの交差点近く等に高層のコンドミニアムを建設中だ。  今回、退職者の方が、月々15000ペソ前後でワン・ルーム(スツジオタイプ)の家具付コンドミニアムを借りたいと言うので、シティ・ランド-デラロサを訪問して、希望の物件を見つけることができた。   シティ・ランドと言えば、安かろう、悪かろうの印象が強く、敬遠していたが、不動産屋さんに頼んでも、そんな予算ではマカティにコンドミニアムは借りられないと敬遠され、色々知恵を絞った挙句、ここにたどり着いた。サウス・スーパー・ハイウエイとブエンディアの交差点にあって、いかにもうるさそうだが、逆に目の前にハイパーマートやキャッシュ・アンド・キャリーなどの大型スーパーがあって、便利な立地だ。また、4棟のコンドミニアムが一緒に立っているために、一階にはサリサリやロンドリー、床屋など生活に必要なものはほとんどコンドミニアムの中で賄えそうだ。 屋上からマニラを望む。シティランド-デラロサはマカティの中心街からちょっと外れているため、360度の眺望がすばらしい。西側はマニラ市街地だ。  屋上のプールやジムに案内してもらったが、一流コンドミニアムと比較したら、少々施設の規模は落ちる。しかし、15000ペソで借りられるコンドミニアムでは、普通ならジムやプールは期待できない、ここはかなり充実していると言える。  東側のマカティ方面は上の写真が北側で下の写真が南側だ。横に並べてみれば判りやすいのだが、南側半分はほとんどが新築の高層コンドミニアムだ。サウス・スーパー・ハイウエイの2階、スカイ・ウエイはここから始まる。前方に見えるコンドミニアムもシティランドの物件だ。 この方は、地震をずいぶん心配していた。フィリピンの構造物は中国のように地震でくずれないだろうか。だから高層ビルはいやだ。また、他の安いコンドミニアムではゴキブリの攻撃にさらされて往生したそう。幸い、ここは清潔でゴキブリの影は見えなかった。地震については、 ①フィリピンは火山国でフィリピン海溝など日本に地形は似ているものの、私の20年の経験では、地震らしい地震は2回しかなかったこと(バギオ地震と、最近のネグロスの地震)。 ②マカティは地盤が非常にしっかりしていて、たとえ地震があっても、関東地方のようにゆるい地盤で地震が増幅されることが少ないこと。 ③フィリピンの耐震設計は昔の日本のように構造物の重量の0.2倍の水平力を考慮することになっており(1990年ごろの耐震設計基準)、日本の従来の建物に比べて、地震が少ないだけ安全であること。 などなど説明して納得してもらった。 ちなみにフィリピンで建設中の高層ビルはすべて鉄筋コンクリート製で日本のように鉄骨製のビルはない。これは、下記の理由によるもので、日本に比べて建設費は数分の一ではないかと推定される。そのため、日本の建設会社による、工事は全く見ることができない。 ① 地盤がしっかりしていて、重量の大きい鉄筋コンクリート構造物を容易に支えることができること。 ② 地震が少ないので、設計上顧慮すべき水平力が小さく、重量がかさんでも設計が成り立つ。 ③ 鉄筋コンクリートの材料は、セメント、砂と砂利、鉄筋でいずれもフィリピン国内で調達が可能、すなわち材料費が安い […]

シティランド(デラロサ)からの眺望 2012年5月12日



フィリピンにやって来て最初に苦労するのが、なかなか良い地図が見つからないことだ。特に道路マップが貧弱で、地方に旅行するときなど苦労する。1989年フィリピンにやって来て最初に手がけたのが地図探しだった。  そこで判ったのがフィリピンにも1万(1万分の一地形図)、5万あるいは20万という地図が立派に存在することだ。日本の国土地理院のようなところ(The National Mapping and Resource Information Authority (NAMRIA))で発行・販売しているだけだが、販売所はボニファシオの基地の中にある。ちなみに下の地図はマヨン火山付近の20万分の一の地形図だ。 フィリピン全体の地図としては色々あるが観光省で発行している地図が日本語で見やすい。主要な観光地が記されて、裏はマニラあるいはセブの観光案内がコンパクトにまとめられている。在日フィリピン大使館の横山さんに頼めば手に入るはずだ。 道路マップとしては主にACCU-mapとE-Z MAPが主要都市とフィリピン全土をカバーするものを出しているが、個人的にはACCU-mapの方が好きだ。最近でこそ、本屋、文房具屋、ホテルなどで見かけるが90年代は、入手がなかなか難しかった。 マニラ首都圏のマップとして優れものがマニラ新聞で出しているNAVIに載っているマップだ。マカティ、エルミタ/マラテ、ボニファシオ、オルティガス、ロックウエルなどが、日本人が訪れる店や事務所が日本語で記載され、大変重宝だ。  いよいよ本題に入るが、何故、フィリピンでは地図が少ないのか。それはフィリピン人が地図を使わないからだ。それでは、何故使わないのか。それはほとんどの人が地図を読めないからだ。日本人からすると、何故と思うかもしれないが、彼らは地図など見なくても、住所さえあればどこでもいけるし、それで不自由はしないのだ。  そもそも、鳥でもない限り地形や道路を上から、あるいは3次元的に見ることはない。地表にいる限り、人は平面的あるいは2次元の世界で暮らしている。だから、どこかへ行くのに人は、元来地図すなわち3次元的ではなくて平面的すなわち2次元的に捉えているのだ。例えば、「まっすぐ1km進んで、マクドナルドのところを右に向かって、3つ目の道路を左に折れて...」てな具合だ。  本来2次元である地形や道路を鳥のように3次元で捉えること、また逆に3次元的に眺めたの地図から2次元に落として捉える、と言うことはよほどの訓練がなければできないことだ。すなわち訓練によって身につけることのできる後天的能力であって、エンジニアーが設計図を見ただけで、現物をイメージできるのと似ている。  例えば、鳥が地上に降りて歩いてどこかへ行こうとしても不可能だろう。また、逆に蟻を空に連れて行って、行き先を聞いても判らないだろう。彼らは位置の捕らえ方が、全く違うのだ。どちらかといえば、蟻に近い我々においては、2次元で捉えている位置を3次元的に表現しようというところにどだい無理があるのかもしれない。 […]

フィリピン人は何故地図が読めない 2012年5月12日