APEC 直前、国家公務員の給与が大幅にアップされるという法案が国会に提出され、年内可決を目指しているとの報道があった。民間の給与水準との大きな格差により、汚職を必要悪とみなす風潮が強かったが、それを是正して汚職撲滅を目指すという主旨だ。
ちなみに大統領は現在の月額16万ペソ(約42万円)が4年後には2.5倍の40万ペソ(約109万円)と大幅増となる。下級の公務員はアップ率が低く、4年後で20%程度。対象は国家公務員153万人、それに地方公務員が対象で、国民(就労者)の一割程度が恩恵に預かることになるだろう。
初年度580億ペソ(1500億円)、4年間の総額は2258億ペソ(5900億円)に達する。ちなみにフィリピンの国家予算は約2.6兆ペソ(6.8兆円)で、その8%に相当する。(2015年11月30日現在、1ペソ=2.6円)
------------現在の給与--------4年後の給与--ーアップ率
一般職員(一等級) 9000ペソ(23400円) ⇒ 11000ペソ (28600円) 22%
部長クラス(24等級) 56000ペソ(145600円)⇒ 93000ペソ(241800円) 66%
局長クラス(28等級) 88000ペソ(228800円)⇒153000ペソ(397800円) 74%
兵士・巡査 15000ペソ(39000円) ⇒ 16600ペソ (43160円) 11%
大尉・警部 39000ペソ(101400円)⇒ 56600ペソ (147160円) 45%
参謀総長・警察長官 82000ペソ(213200円)⇒ 150000ペソ(390000円)83%
下級公務員あるいは兵士や警官のアップ率はわずかで、相変わらず日本の給与水準の10分の一程度だ。しかし、高級公務員や軍・警察の幹部は5分の一程度で物価水準を加味すると日本と大差のない生活水準が維持できるだろう。裏を返せば、これら高級官吏の給与・モチベーションを上げて汚職をなくそうということなのだろうが、高級官僚=権力=汚職という構図が見えてくる。
この話をカーネル(KIANのパパ)に聞いてみた。すると、「これは、来年の大統領選を踏まえてのことで、選挙戦の前哨戦だという。しかし、これは本当の話で、毎年選挙をやってくれたら良い」とうれしそうな顔をしていた。ちなみにカーネルは国家警察の大佐級だから、警部と長官の間くらいの給与をもらっているはずで、現在、5万とすると、それが8万ペソくらいにアップするわけで、新車FJクルーザーの月賦分が出てくる勘定になる。