パヤタスのゴミ投棄場 2009年12月24日


  先日ADB(アジア開発銀行)を防災科研の方々と訪問した際、「ケソン市内の北方、La Mesaダム貯水池に近いところにPayatas(バランガイ・パヤタス)というゴミの投棄場があり、ゴミの投棄が一つの産業を形成している」聞かされ、多いに興味がもたれ、今回の見学となった。

 1990年代はフィリピンを象徴するかのようにマニラ湾沿いのスモーキー・マウンテンが色々なメディアに登場した。やがて、そこが一杯になって、このパヤタスにゴミの投棄場が移動したのだ。ちなみにフィリピンではゴミの焼却場は存在せず、もっぱら投棄に頼っている。やがてここも一杯になり他に投棄場を探さなければならなくなるはずだが、昭和30年代、東京湾の「夢の島」に東京中のゴミが集められていたのと同じ状況だ。

  20年近い投棄により、現場には大きな山が出来ていた。この投棄場に近づくとゴミのにおいがし始めて、空気もなんとなくよどんでいるような気がした。またその周辺もゴミだらけで、周辺の住宅に住む人々はどんな思いでこの山を観ているのだろう。こんなところに新たに住もうとする人もいないだろうから、宅地などの資産価値などないような気がする。

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  ADBの方が産業と呼んでいたのは、きれいに言えば「有用なゴミを選別し、資源回収を行なうこと」であるが、要はゴミ拾いだ。マニラ中のゴミが集まるわけだから、そこから、金属、プラスティック、などかなり大量の有用なゴミがある。それを選別し(拾い集め)てリサイクル業者に販売するわけで、だからゴミ(彼らはDumping Siteと呼んでいた)周辺はジャンク・ショップだらけだ。実際は、まず個人がこつこつとゴミ山から拾ってきたプラスティックなどをジャンク・ショップが買い入れ、それをリサイクル工場に持ち込んで売却するという仕組みだ。だからゴミ収集車と有用ゴミの回収車が走り回り、ごみ山からの悪臭のほかに、粉塵や排気ガスも混ざって劣悪な環境となっている。

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  残念ながらゴミ山の中には入れてもらえなかったが、その入り口には造園がなされていた。ごみ山にも植物がはえるということを市当局は言いたいのだろう。しかし、ケソン市あるいはバランガイ・パタヤスが何故このような環境破壊の元凶のような巨大なゴミ山を受け入れたのだろうか。

CIMG0148s-4  相棒の話によると、ここから発生するメタンガスを利用して発電をしているそうで、地域の住民の電気料金は無料だそうだ。また、このゴミ山のおかげで相当数の人の雇用が発生し、まさに宝の山であり、バランガイとしても多いにメリットがあるということだそうだ。ゴミの山の周囲の道路沿いはスコーターとなっており、ゴミ拾いを専業とする人たちが拾ってきたゴミと一緒に暮らしている。彼らにとってはゴミは生きる糧だから決してないがしろにはできないのだ。

CIMG0145s-4CIMG0144s-4 CIMG0152s-4CIMG0154s-4   ゴミの投棄においても工学というものがあり、ちゃんと計画しておかないと未来に大いなる禍根を残す。それはメタンガスの発生と地下水の汚染である。メタンガスは埋め立て後、長い間発生し続けて火災の危険性をもつと共に悪臭を放つ。さらにガスの発生により地盤が陥没する恐れもある。そのためにはガス抜きのパイプを埋め込んでおく必要があるそうだ。また、ゴミを通り抜けた雨水は地下水として周辺の土壌を汚染する。そのためこの地下水を封じ込める対策が必要だ。ADBの方の話によると、このゴミの山についてはこれらの対策がなんらなされておらず、将来、さらに大きな環境問題を引き起こすことになるだろうとの話だった。

  そんなことはお構いなく、次から次へと車がやってきてゴミを投棄し続け、山は日に日の高くなっていく。周辺の人はこんな環境とはいえ、ゴミがあってこそ、暮らしていくための術があるわけで、決してここを離れようなどとは思わないようだ。

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