ここ1~2年、街のあちらこちらに出店して、急速に成長しているのがINASALだ。ファースト・フード業界の巨人、Jollibee(ジョルビー)やChowking(チョーキン)をはるかに上回る勢いだが、そもそもINASALとはバーベキューという意味で、単なるチキン・バーベキューの一般名称だ。
フランチャイズの料金は700万ペソ、ジョルビーやマクドナルドなどが4千万ペソもするのに対して格安だ。それだけ、出店のハードルが低いから、新規参入を志すフランチャイズ・オーナーが後を絶たない。
料理は典型的なフィリピン料理で、基本的にチキンのバーベキューにご飯をつけた極単純なものだ。99ペソと49ペソの2種類があって、チキン・バーベキューの大きさが違う。また、99ペソのメニューはご飯が食べ放題だ。この49ペソで一回食べられるという安さ、また、99ペソではご飯が食べ放題というのが人気の秘密のようだ。
ジョルビーやマクドナルドはカウンターで注文して、その場で料理を受け取る伝統的なアメリカ方式だ。しかし、INASALは人件費の安さを利用して、ウエイターが料理は運んできてくれる。だからカウンターに長蛇の列を作らないで、テーブルでゆっくり料理を待つことが出来る。客がどこに座るかは客の勝手だから、ウエイターは客がどこにいるか探しださなければならない。そこで威力を発揮するのが、番号札で、テーブルに掲げられた長い棒のついた番号札がそれだ。
チキン・バーベキューの他にフィリピン人が好むシシッグ(豚のレバーと顔の皮の炒め物)やバゴス(養殖魚バゴスの酢漬けの炒め物)などの料理もあるが、これは150ペソ前後と必ずしも安くは無い。
INASALはもともとBacolod Chiken INASALが本家で、Bacolod Chiken(バコロド・チキン)はネグロスのバコロド市の名物として有名だ。その名の通り、Bacolod Chikenというチェーンもある。先日タガイタイに行った折、昼食を取ったレストランがそれだ。
こちらはメニューが豊富で店の雰囲気も上質だ。値段はメインのチキン・バーベキューが95.5ペソと49.5ペソで似たようなものだ。しかし味付けは本家だけに、こちらが上かもしれない。しかし客足はINASALに向っているようだ。
INASALは現在ブームで昼時は満員だが、これだけ出店が多くてはいずれ人々はそっぽを向くかもしれない。とにかく料理そのものには何の目新しさも無いし、極ありふれたチキン・バーベキューだ。確かにジョルビーより安くておいしいかもしれないが、すでにBALIWAGLECHONやANDOK’sなど、似たようなフィリピン固有のファースト・フード店は街中にごろごろしているのだ