先日のロングステイフェアでは、退職者の希望するロングステイ先としてはマレーシアが6年連続一位で、フィリピンはベスト10に入ってはいるものの、下位に甘んじていた。しかし、永住という観点に立つと、フィリピンの優位性が目立つと感じる。そこで今回、物価の安さ、日本からの距離、日本人退職者の受け入れの積極性などを考慮して、永住先として、実質的に3強と考えられる3つの国、すなわち、マレーシア、タイ、そしてフィリピンの退職者用のビザの比較を行った。添付比較表参照。
1. 比較対照としたビザ
フィリピン:特別居住退職者ビザ(SRRV)のスマイルプログラム
マレーシア:マイセカンドホーム・プログラム
タイ: ノンイミグラントO-A査証
2. 有効期限
フィリピン:無期限、永住(既得権として無期限に継続される)
マレーシア:10年、更新可能だがその時点でビザ発行の要件(将来変更の可能性あり)を満たしていること
タイ:一年、更新可能だが、その時点でビザ発行の要件(将来変更の可能性あり)を満たしてていること
3. ビザの取得要件と年齢制限
フィリピン:35歳以上 2万ドルの預託金 収入制限は無し
マレーシア:50歳以上35万リンギット(約1000万円)の資産、および
15万リンギット(約430万円)の定期預金、
あるいは 1万リンギット(約28万円)の月収
50歳未満 50万リンギット(約1400万円)の資産、および
30万リンギット(約860万円)の定期預金、および
1万リンギット(約28万円)の月収
タイ: 50歳以上 80万バーツ(約200万円)の預金、あるいは
月々65000バーツ(約16万円)の年金、あるいは
預金と年金の合計が80万バーツ(約200万円)
4.同伴家族
フィリピン:配偶者と21歳未満未婚の子供、合計2名。(3人以上の同伴者は一名につき15000ドルの追加の預託金が必要)。
マレーシア:配偶者と21歳未満未婚の子供、介護を必要とする60歳以上の両親、人数制限無し
タイ:無し、夫婦別途の申請が必要
5. ビザ取得後の滞在義務
フィリピン:無し
マレーシア:無し
タイ:不明
6. 就労
フィリピン:可能
マレーシア:限定的に可能
タイ:不可
7. 子供の就学
フィリピン:可能、就学ビザ、就学許可など一切免除
マレーシア:18歳未満は就学ビザ免除、大学は別途必要
タイ:該当しない
8. 申請料
フィリピン:1400ドル(約11万円)、同伴者は300ドル(約2万4千円)
マレーシア:10万~20万円(斡旋業者により異なる)
タイ:約22000円
9. 年会費
フィリピン:360ドル(3万円)
マレーシア:無し
タイ:該当しない
10.発行にかかる期間
フィリピン:2週間
マレーシア:10週間
タイ:即日、ただし更新は4週間
以上、フィリピンのSRRVの圧倒的優位は明らかで、無期限滞在の永住ビザが2万ドルの預託金で、たったの2週間で取得可能。さらに、就労可能、同伴する子供は就学ビザが免除される。一方、ビザ取得後の滞在義務がなく、一旦取得したビザは既得権として維持される、などという世界でも類を見ない万能ビザといえる。
強いて難を上げれば、介護の必要な両親を同伴できず、別途の申請となること、同伴家族の人数制限があること、それに年会費の360ドルだろう。これらの改善が強く望まれるところだ。