日本大使館の帰り、退職者の方を案内してイントラムロスを訪問した。イントラムロスはスペイン統治時代の面影を残す情緒溢れる街だ。城壁に囲まれた中は自由に出入りができ、マニラ大聖堂、サンアガスティン教会、カーサ・マニラなどの歴史的建物や、出入国管理局、マプア大学などがあり、現役の街として機能している。道路もいたるところに石畳が残っている。
イントラムロスの中心に位置するサン・アガスティン教会はフィリピン最古の教会の一つで、バロック様式の教会群として、世界遺産にも登録されている。内部は何度か訪れたことはあったが、教会の右手に併設されている博物館を見物するのは初めてだった。内部は意外と広大で、礼拝堂の中ばかりか、2階のパイプオルガン、各種資料館など、なかなか興味深い。特に2階から眺める礼拝堂は迫力満点だ。
サン・アガスティン教会の隣はカーサ・マニラ博物館で、スペイン統治時代の特権階級の住宅がそのまま残っている。当時の生活をうかがわせる食堂や台所、トイレや風呂など興味深い。もともと、いくつかの住宅が中庭をはさんで隣接しているようで、おみやげ物屋や、レストランもある。時にはこの中庭で結婚式の披露宴をやることもある。ヨーロッパ建築ではこの中庭がとてもすばらしい。プライバシーを守りながら屋外の空気を味わえる、今の日本の家ではありえない構造だ。ちなみにカーサとは家を意味して、カサ・ブランカとは白い家という意味だ。現在、単にカーサというと置屋を意味するらしい。