フィリピンでは家のオーナーが材料を調達して、工事を請け負った工務店あるいは直庸の親方に材料を支給して家の建設をすることが多い。あるいはコンクリートなどの躯体工事は材料込みで発注し、設備及び内装などの仕上げ材料はオーナーが支給して、工事だけを請け負わせることもある。このほうがオーナーの好みを反映できて理屈にかなっていると思う。したがって、フィリピンでは日本のDIYなどとは比べものにならないほど設備や建設資材を売る大きなショップが、全国いたるところにあり、業者もそのような店から資材を調達する。
このようなショップをハードウエア・ショップと呼ぶが、オーナーはほとんど中国人で、チャイナ・タウンには建設資材や工具を売る店が軒を連ねる通りがあり(Theodora Alonzo St. 英雄Jose Rizalの母親の名前をとっている)、格安で買うことができる。ハードウエア・ショップで財をなした中国人も多く、地方の都市で目抜き通りに大きな店を構えているのは、ほとんどが中国人が経営するハードウエア・ショップだ。
マカティ市パソンタモ通りのマカティ・スクエアの近く、ウオルター・マートをちょっと南に下ったところにウイルコンというショップがある。間口と奥行きが100m位ある大きな店で、ほとんどありとあらゆる建設資材がおいてある。
入り口付近は床のタイルとトイレ設備が並び、タイルとともに天然石の床材もあるが、60cm角で1000円程度と安い。ほとんどが中国からの輸入品で、タイルもフィリピン産のものより、中国産のものが安いようだ。
最近はフィリピンでもウオシュレットが普及しつつあり、TOTOのウオシュレットも、果たして買う人がいるのかと思うくらいの高価格で売られている(10 万~15万円程度)。ジャグジも多く、こっちは10万円程度からと安いが、これら豪華な浴槽を見るとフィリピンのお金持ちの私生活を伺うことができる。
店の奥に入っていくとドアや壁材、照明等が並ぶ。さらにその奥は蛇口やシャワーなどの水周りの器具、ペイントなども山のように並んでいる。昨今のマンションブームを見ても、これら住宅建設資材の需要は留まることを知らないようだ。