フィリピンの道路は何故がたがたなのか 2010年4月25日


  マニラ周辺では盛んに道路建設が行なわれている。しかし用地買収が難しいマニラ首都圏はご承知の通りの地獄の交通渋滞が日常だ。いくら周辺に立派な道路 をつくってもそれがマニラ首都圏に向う限り糞詰まりでどうしようもない。だからマニラ国際空港など首都機能を近隣に移す計画も進んでいる位だ。

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 その渋滞に加えて不愉快なのが、道路の舗装面が、がたがたで自動車の乗り心地がいたって悪いことだ。マニラを迂回するEDSA通りは写真のごとく舗装の継 ぎ目が目立つ(画面をクリックして拡大してみてください)。この路面ががたがたなのは、ずばり、コンクリート舗装であることだ。日本ではアスファルト舗装 が主流だが、フィリピンではほとんどコンクリート舗装だ。舗装表面は人力でならすだけで、しかもコンクリートの伸び縮みを吸収するための隙間が必要だか ら、アスファルト舗装に比べてどうしても平坦性に欠ける。ならば何故フィリピンでは道路はコンクリート舗装なのか。

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 一方、最近できたSCTEX(スービック・クラーク・ターラック高速道)ではアスファルト舗装のすばらしい路面だ。また、NLEX(北ルソン高速道)も平 坦なアスファルト舗装だ。だから熱くてアスファルトが溶けてしまうからコンクリート舗装を使っているという仮説はあたらない。しかし、アスファルト舗装工 事を行なう場合、アスファルトの温度を維持するために、近くにアスファルト・プラントが必要だ。しかし、フィリピンにアスファルト・プラントはほとんどな い。SCTEXやNLEXなど大規模工事であるならば、専用のアスファルト・プラントを作ることも可能だろう。しかし一般の道路では、砂、砂利、セメント を運んで、現場に小さなコンクリートミキサーさえ置けばコンクリート舗装工事が出来てしまう。もちろん、都市部ならばビル建設用のコンクリート混合プラン トがあるから簡単にコンクリートが手に入る。だから舗装はコンクリートにならざるを得ないのだ。

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 アスファルト舗装は路床、路盤、アスファルト表面舗装の順で建設される。それぞれの厚さや材料は通行料によって異なるが特に路床と路盤をしっかり作ることが命だ。そうでないとアスファルト表層はすぐにがたがたになってしまう。

  フィリピンでは路床の建設は転圧機械の不足のためか、実にいい加減だ。路盤はなくて直接コンクリート舗装をかぶす。コンクリートの厚みは2030cm で、これが、やわな路床をカバーし路盤の代わりもする。しかし鉄筋を入れることはほとんどないから雨が降ると路床が緩んでコンクリートが割れ、路面ががた がたになる。そうなると全部取り除いて、また分厚いコンクリートを打つという、繰り返しだ。ならば、この痛んだコンクリート舗装を路盤とみなして、表面を アスファルト舗装にすればいいと思うのだが、アスファルト・プラントがほとんどないフィリピンでは無理な注文かもしれない。というわけで、がたがた路面は 我慢するしか手はなさそうだ。

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