ビコール地方の気候は太平洋に面しているため、マニラのあるルソン中央部とは異なる。マニラは6月から11月まで雨季、11月から5月まで乾季、そして 3月から5月が夏で暑い。一方日コール地方は明瞭な乾季がなく、特に12月から1月は逆に雨が多い。12月23日に到着して以来、毎日雨で、マヨン火山は一向に姿を見せなかった。25日のクリスマスに日、集団洗礼式の後、マヨン火山の中腹にある展望台に向かったが、幸いにもマヨンの頂上を望むことができた。
二人の訪問者にはこの日が唯一のチャンスかもしれないと話したが、まさに1週間や2週間はまったく姿を見せないこともざらだ。しかし、この時は、空気が雨に洗われたせいか、マヨンはすがすがしい姿を見せてくれた。早速展望台に向うと途中そして展望だからは頂上がはっきりと見え、さらに地上には我が家もはっきりと見えた(写真中央の右手、オレンジ色の屋根)。周囲の水田は水に覆われており、まさに田植えのシーズンだ。ちなみに1年中暖かいフィリピンでは、水さえあれば3毛作も可能だが、田植えや稲刈りのタイミングは雨によるので、大体2毛作が限度だ。パンパンガなどマニラの北の地域では長い乾季があるため、米作は年に一回で、裏作はトーモロコシなどを植えているようだ。
タバコ市のあるビコール地方アルバイ県にはマヨン火山のほかにもいくつかの山がある。それぞれ独立峰でこの地域独特の景観をなしている。タバコ市から海岸線を北に向かうと、マリナオ、地熱発電で有名なティウイ、それからサルバシオン教会のあるホロアンを経てカマリネス・サウス県との県境にいたる。この辺は海岸線が急峻な山に連なっており三陸海岸を行くようなおももちだ。
山からは豊富な湧き水が絶えずあふれ出て、付近の住民の洗濯や水浴びに使われている。クリスマスのこの日は道端に奥様方が集まりダンスをしていた。
ホロアンのサルバシオン教会はフィリピン人の尼僧・サルバシオンを祭ったもので、願いが何でもかなう奇跡の教会として有名だ。
タバコ市を南に向かうとマリリポット、バカカイ、サント・ドミンゴを経てレガスピ市にいたる。この日はサント・ドミンゴのジェーンのおじさんの養鶏場を訪問した。彼は一羽1万ペソもする闘鶏を飼育している。先日の闘鶏のチャンピオン大会のダービーでは5羽出場させて全部勝って30万ペソの賞金を獲得したそうだ。さらに5連勝中の闘鶏もいて、その一羽だけで10万ペソは稼いでくれているとのこと。それだけで十分生計が成り立つようだ。
この日見納めのマヨン、雲の間に頂上がかすかに見えた。