雑記帳 デルピラールの復活


1992年、ツーリストベルトと呼ばれ、毎夜多くの観光客を集めていたマニラの夜の顔マルセーロ・デルピラール通りに衝撃が走った。当時市長であったアルフレド・リムがすべてのゴーゴークラブなどのいかがわしい場所を閉鎖すると宣言したのだ。そんなうわさを聞いてたずねてみると、確かに、今までネオンを瞬かしていた、別称、猫、星、泡、花などのゴーゴークラブの入り口には10cm角の角材で等身大のXマークがつけられ封鎖されていた。どうせ、政治家の点数稼ぎで、せいぜい賄賂がほしくてやっただけだろうと大方の人がたかをくくっていた。しかしながら、いつまでその封印は解かれず、お店のほうはあきらめて、パサイ、マカティ、あるいはアンヘレスへとちりぢりになり、あのツーリストベルトは姿を消してしまったのだ。

たとえ、店を封鎖したところで、売春をしなければ生きていけないような人々がいる限り、売春は決して根絶できない。あるいは、売春といえでも生きるためのぎりぎりの選択であり、彼らの生きる権利を奪い去るものである、等々喧々諤々の意見を交わしたものだが、我々同士でそんなことを言ってみてもはじまらない。それから15年、人々に忘れ去られたデルピラール通りは夜もひっそり見る影もない。一方、同じエルミタ地区のアドリアチコ通り、マビニ通りなどは、健全(?)な発展をとげ、多くのレストラン、カラオケ、ショーハウスがオープンし、かつてのツーリストベルトの面影を漂わせている。

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アドリアチコのオープンレストランには観光客が一杯

ところが、2005年、そのデルピラールの一角にLAカフェなるものが出現しただ。単なるカフェでコーヒーやビールを可愛らしいウエイトレスが運んでくれるところだ。ところがいつしか男女の出会いの場として、口コミでうわさが広がり、多くの観光客が集まるようになり、店は拡張に拡張を続け、通常の大型レストランの4~5つ分の規模にまでになった。中はいつも外人観光客で一杯だ。そして、その観光客のお相手になろうというフリーの売春婦が大量に集まってくるのだ。彼女たちは男性客の声がかかるまでひたすら待ち続け、声がかかると早速交渉が開始される。店が管理しているわけではないので、支払ったお金が全部彼女たちのものになる。そのためかなりの割安で遊べるそうだ(1000~1500ペソ)。

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LAカフェの入り口

ところが、男と女の交わる場所にはどういうわけかママさんたるものが出現し、客に、いい子がいるよと盛んに薦めてくる。なんだか普通のゴーゴークラブと似たような状況になってきている。当然のことながらママさんは女の子の実入りをピンはねするのだろう。しかし入り口近くのフロアーは立錐の余地もないほどに混みあって、今やマニラで一番熱いスポットになっていることは間違いない。ちなみにここは24時間営業だ。

 

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LAカフェの内部

マニラ市長から上院議員に出世したアルフレド・リムが何故か、さきごろ行われた統一選挙で、マニラ市長に返り咲いてしまった。そのため、LAカフェをひいきにしている日本人は、あの1992年の悪夢が再現されるのではないかと、夜も眠れずにいるそうだ。そして、その後、その悪夢が実現することになったのだ。しかし、幸い、名前を変えてすぐに復活した。

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LAカフェは昼も夜も24時間営業

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