KIAN、3才の軌跡 2013年9月21日


KIAN331日で3才となり、段々、赤ちゃんらしさが抜けて幼児となってきた。KIAN、3才と6ヶ月、この半年の成長を振り返った見た。

 CIMG8596s-4近所のモデル紹介所でオーディションを受けるKIAN

 もっとも顕著な相違は、自分の意志を言葉で表現できるようになったことだ。2才の時は、タガログ語で単語を言うだけだったが、現在は、しっかりした英語で文章を話す。たとえば、「抱っこ」は「Carry me」、「食べよう」、は「Eating time!」と皆に呼びかける。

CIMG8593s-4せっかくよそ行き顔を疲労したのに、残念ながら、その後何のお声もかからない

 何故、彼は英語をしゃべるのか。それはほとんどの中間層以上の子供達は幼少時代、英語だけで会話しているからだ。幼稚園に行ってタガログ語をしゃべると周りと会話ができない。だから、英語で話すようにしつけられる。タガログ語は、ほっておいてもいずれ覚えてしまう。現にKIANは周囲がタガログ語やビコール語(家族の国の言葉)で話しているとき、しっかりそれを理解して反応する。 

CIMG8705s-4シーツに包まってブランコ遊びに興じるKIAN

 幼少から英語を自由に操る、これはフィリピンの教養人に取っては必須なことだ。小学校へ進めば、国語と社会以外の教科は英語で教えられるから、授業にも悠々ついて行ける。そしてハイスクールを終えるころにはネイティブ並みあるいはそれ以上に英語を操れるようになるのだ。

CIMG8735s-4強い雨が降ると大喜びで水浴びに外へ飛び出すKIAN、まるでスコーターの子が雨でシャワーを浴びるようだ

 ママジェーンの英会話のしつけは、当初、大変厳しかった。すでにタガログ語を覚え始めたKIANは自然にタガログ語が口に出る。そうすると、ママジェーンが即座にKIAN!と大きな声で叱る。KIANは、あわてて英語で言い直す。例えば、「ママヤ、Later」、そして「アトデ」と、ついでに日本語まで飛び出してしまう始末だ。

CIMG8740s-4私の机の上に座ってプリンターをいたずらするKIAN,彼にとっては何でもおもちゃだ

 このとき、KIANはすでに3つの言葉が同義語であることを理解している。しかし、こんなママジェーンのしつけもほんの2~3ヶ月のことで、現在、KIANは、流暢に英語だけを話している。

CIMG8745s-4普段は風呂場で水浴びをするが、今日は屋上の洗濯場で気持ち良さそうに水浴びをするKIAN 

 こんなことが可能なのは、ママジェーンの指示で、周囲のすべてがKIANにたいして英語で話しかけているからだ。パパとママはもちろん、17才の姉のキム、ヤヤ(子守)、9才の従妹の双子、皆が英語がしゃべれるからこそできる芸当だ。ただ私だけは例外で日本語で話しかけるよう奨励されている。それは、あわよくば、日本語まで覚えさせてしまおうと策略だ。

CIMG8751s-4スーパーマンやスパイダーマンの衣装で踊るKIANとカンバル(双子の従妹)

 最近、KIANは「WHY」を連発する。ママジェーンが、もう寝なさいと言うと、KIANは「WHY」と問い返す。ママジェーンが答えに窮していると、KIANは「何故寝なければならないのか、僕は眠くないし、まだ遊んでいたい」とママジェーンを困らせる。

CIMG8788s-4今日は新学期、ヤヤと幼稚園に出かけるKIAN

 ママジェーンは、最近のKIANの「WHY」攻勢に値を上げて、KIANに「オポ」と言う言葉、ないし概念を教えて、親の指示には、疑問を挟まず、「オポ」と答えるようにしつけると言い出した。この「オポ」は「YES」と言う意味だが、無条件に相手の言うことを受け入れるものだ。

CIMG8790s-4Iフォンで音楽を聴きながら踊るKIAN

これに対して、私が異論を挟む。親やボスの言うことに対して、全くの異論を挟まず、素直に聞くことは、子供としての美徳、いわゆるいい子かも知れない。しかし、それは他人の言うことに対して思考することを停止して、黙々と従う、凡人を作り上げてしまうだけだ。

CIMG8820s-4キムに紙でひげを作ってもらって楽しそうなKIAN

行儀の良い子なんて、面白くも何もなくて、将来はろくでもない人間にしかならない。子供はやんちゃなほど頼もしい。そして、親は子供が考えることを養うために、「WHY」という問いかけには必死に答えなければならない。KIANが、将来、人々を引っ張っていくリーダーに育って欲しいと思うなら、それは親の義務だ。

CIMG8831s-4幼稚園に行くのがいやで泣いてヤヤにすがるKIAN

 現に、ママジェーンの悩みは姉のキムの素直すぎる性格で、他人の言うことを評価するすること無しに従ってしまい、とんでもないへまをやらかしてしまうことだ。それに怒っていくら張ったおしたところで、遅すぎる(キムの場合は、それはそれで、返ってとてもいい子だとは思うのだが)。

CIMG8923s-4何か欲しいものがもらえないときは、この悲しみのポーズで訴える

 しかし、KIANは、今から大物の片鱗を見せてそん簡単には人のいう事に従わない。やりたいことは我を通す。そこで、ママやヤヤがおもちゃにして遊んでいるものを取り上げたりすると、ここぞとばかりに泣き叫ぶ。ちょっと、度が過ぎるような気もするが、我が強い=意志が強い、ということでいいのではないかと思う。人間、何かを成し遂げようとすると、よほど強固な意志が必要で、時にはそれは我がままと共通するものだと思う。

CIMG8940s-4こんなポーズもあるが、皆演技らしい

 思いおこせば、会社のトップに座る人間は強固な意志を持つと同時に、実にわがままで、部下がどう考えるかなど、ほとんど気にしていないようだった。まさに、やんちゃがそのまま大人になったような人たちで、強固な意志、裏返せばわがままな人間こそ、人は信頼してついていくものだ。とてもやさしくて、部下思いのいい人が会社トップになったという話を聞いたことがない。

CIMG8990s-4ここまで来ると演技をこえて本気かもしれない

 しかし、KIANのわがままは、少し度をこして、思い通りに行かないと、泣き叫んで、ヤヤやキムを困らせる。ママジェーンからKIANのわがままを聞くなという指令があるのだろう。案外と厳しくしつけているようだ。

CIMG8969s-4幼稚園から新しい制服を支給されて、椅子の下にもぐりこんで、はいポーズ

 ダダ(私)がKIANの言うことを何でも聞いてやるので、わがままに育ってどうしようもないと思っているに違いない。事実、どうしてもヤヤやキムが言うことを聞いてくれないと、私のところに助けを求めにやって来る。ただ、私は、何が起こっているのかわからないので、とんちかんな受け答えしかできないが。

CIMG9132s-4喉になにか詰まってしまったのか、大きな口を開けて吐き出そうとしている

しかし、泣き叫んでも様になるのがKIANだ。周囲はKIANの反応を楽しんでいる。ほとんどの場合は、泣きまねで、要求が通るとぴたっと止まる。しかし、いかにも悲しげな様子(演技)に私は逆らうことはできない。

CIMG9159s-4最近、ビューティフルアイズはすっかりやらなくなってしまったが、何かもらうとき「Close your eyes」と言うと、うれしそうに目を閉じる。そして「Open your eyes」で、目を開けると、お土産が目に前にあるという伝統行事だ。このときのKIANの喜びようは半端ではない

 最近はヤヤも礼儀作法を厳しくしつけている。私は、この家の銀行で、皆、私からお金をもらって買い物に行く。アイスクリームが欲しいと20ペソをもらって、うれしそうに立ち去るKIANにヤヤは「Thank youは」とKIANに声をかける。KIANは振り向きもせずに「THANK YOU」と、大きな声をあげて走り去っていく。

CIMG9231s-4空気マットのプールで遊ぶKIAN。この日はカーネルも久しぶりに休んでKIANの相手をした

 Thank you のほかに、最近多発するのが、「Excuse me」だ。食卓の下にもぐりこもうとするとき、KIANは「Excuse me, Can I go inside?」と問いかける。さらに机の上の文房具を使いたいときは「Excuse me, Can I borrow?」とちゃんと断る。大事なものだから「No」と答えると、手を出さない。しかし、私には「No」とはめったに言えない。最近は新しいカメラを使いたがるとき、自分のがあるでしょう、と言って断るくらいだ。

CIMG9479s-4スーパーで本をとって読む仕草をするKIAN。最近は幼稚園のおかげで、本に興味を示す

 先日、空港に母子10人一行を送ったときのことだった。その日は土曜のなので、KIANとサイカで食事を取るのが恒例行事のはずだった。

CIMG9522s-46才と9才の姉妹を家に招いて談笑するKIAN。外で遭遇すると恥ずかしそうに顔を背ける、恋するKIAN


 そこで、車から、12時にサイカで待ち合わせようとテキストをママジェーンに入れた。それを聞いたKIANが私に電話をよこした。「今から空港に皆を送るから、その後サイカであってランチをとろうね」とはなした。KIANは良く理解したようで、「OK」と言って電話はきれた。

CIMG9533s-4鏡を前にガッツポーズのKIAN

 しかし、その直後再び電話がかかってきた。「周りにいるベイビーはなんだ。」と聞いてきたのだ。前の電話で子供の叫ぶ声が聞こえたらしい。「今から空港の送って、皆、日本に帰るんだよ。」と答えたら、「OK」と言って電話が切れた。

CIMG9658s-4大枚をはたいて街の模型を買ってやった

 後からママジェーンに、そのときの様子を聞くと、KIANは電話口の子供達の声を聞いて、ママに、ダダは別のベビーができたのか、と口を四角くして真剣なまなざしで質問した。そして、私の答えに満足して笑顔に戻ったそうだ。KIANはそのとき嫉妬に燃えていたらしい。

CIMG9775s-4サイカでは冷やし中華とお子様ランチが定番だ。辛子をなめてしまったのか顔をしかめるKIAN

 ママジェーンは、次の子供が欲しいようで、KIANに「妹の赤ちゃんは欲しくないか」と、よく問いかける。いつもは「No」と簡単に答えるだけだが、この日はKIANは真剣な顔をしてママに質問した。「何故、ほかの赤ちゃんが欲しいのか。ママにはKIANがいるではないか。こんなにママを愛しているのに、なぜほかの赤ちゃんが欲しいのか」と。KIANの説得力にママジェーンは言葉がない。

CIMG9782s-4久々にパパやママと一緒にサイカで食事をするKIAN。ママの定番は刺身定食とカニサラダだ。

 毎週、土曜のランチはKIANと一緒にサイカでと決めている。時にはほかの子供や大人も混ざるが少なくともKIANとヤヤは一緒だ。KIANが大きくなって、あるいは私が引退して田舎の農場に引っ込んだりして、このランチがなくなったら、きっと、このひと時が懐かしく思い出されるに違いないと、今から懐かしい思いに駆られる。

 先日も、客と出かけようとしたら、表でKIANに出っくわして、「私が、KIANを連れずにサイカに行ってしまう」と、泣き始めた。KIANの推測はピッタリだったが、かなり親しい人だったので、その場にいた皆を連れて行くことにした。お腹が一杯になって、おもちゃをもらって、お好みのせんべぇを買って、KIANはご機嫌に手をふる。

CIMG9805s-4姉のキムに抱かれて、ご機嫌でバイバイをするKIAN

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