仕事の方は、幸い、金曜のうちにすべて片付いたので、予備日の月曜は名古屋市内観光にあてた。この日の予定は、名古屋城、大須観音、それに時間があれば、水族館を回るつもりだった。
高山から戻って預けておいた荷物を受け取ると、ジェーンが一緒に預けたスニーカーが無いと騒ぎ始めた。レセプションとすったもんだの挙句、どうしても見つからずホテル側も恐縮していた。しかし、翌朝、バッグの中から袋に入っているのを見つけたとジェーンが言う。恥ずかしくてレセプションに言えないので自分で話せと突っぱねた。レセプションはお世辞に「良かったですね」とうれしそうな顔をしていたが、心の中では、さぞかし馬鹿にしていただろう。
名古屋城へは地下鉄名城線で栄から二駅、スニーカー騒ぎで出発が遅れて9時ごろになったため、ラッシュもなく、ゆったりと行くことができた。
日本は地下鉄でどこへでもいけるので、渋滞もなくすこぶる快適だ
名古屋城はだだっ広くて、月曜の朝一では観光客もまばら。道順が良くわからないが、急ぐ旅でもないので散歩のような気分で進んでいった。東門で入場料を取られたので、名古屋城の史跡にたどり着いたのは間違いないようだった。入り口の近くにはスターウオーズの展示テントがあり、なんとも気分を害したが、KIANは興味深々だった。
加藤清正の像を見つけてなぜか早速空手のポーズ
通路脇の石垣に登り始めたKIAN。観光客が史跡を汚すKIANの行為に非難の目で見ている
本丸御殿の英語の説明に見入るKIAN。KIANはすでにかなりの文章が読めるのだ。
なぜか忍者や侍が現れ、観光客の興味をそそる。侍に日本語で話しかけられて戸惑うKIAN
名古屋城は外観だけで、中身は鉄筋コンクリート製の博物館だ。しかし、近年本丸御殿の復元工事が2009年から開始され、江戸時代の1615年当時の姿を再現している。完成は2018年、実に9年の歳月を費やしての大工事だ。すでに建物の大部分が公開されており、当時の徳川幕府の隆盛を感じることができる。ちなみに名古屋城は1612年徳川家康により築城され、家康の9男、義直が入り、御三家筆頭尾張徳川家の居城として栄えたそうだ。
本丸御殿の正面玄関、総檜作りの、いかにも歴史を感じさせるたたずまいだ
表書院の中には入れず廊下から眺める
対面所は御殿の応接間だ
本丸御殿から天守閣へ向かう
天守閣へ入るとジェーンとキムが動かなくなってしまった。撮影スポットを見つけると、そのたびに交代で写真を撮り、色々なポーズをして延々と写真を撮り続ける。KIANと私は先へ行って戻り、また先へ行っては戻ることを繰り返す。一箇所につき30分くらい留まってしまう。やっと名古屋城の中に入ると、江戸の町や風俗が再現されている。そうなると再び30分のブレーキがかかる。これではいつになったら終わるのかわからない。昼食も近くなっていたので、途中からエレベーターで最上階に上がって、3階以上の展示物の見学を省略した。
天守閣の一階には金の鯱のレプリカが飾ってあった
正門に向かうと西南隅櫓と天守閣を眺めることができる撮影スポットがあった
正門近くのレストランで腹ごしらえをして、次は大須観音に地下鉄鶴舞線で向かう。駅まで15分ほど歩いたが、その間、ほとんど人に会わなかった。道路、歩道橋、地下道などインフラだけが一人歩きをしているようだ。後からKIANに聞くと、大須観音の鳩がもっとも印象に残ったそうだ。
観音様は神社仏閣とは一味違う庶民の信仰所だが、そんなことはどうでもよい、まず写真だ
お地蔵さんの前で手を合わせる三人
お賽銭を10円投げ入れて、盛りだくさんのお願いだ
鳩のえさが売り切れで、手持ちのグリコポッキーを食べさせるジェーン
たくさんの鳩が腕に止ってご機嫌のジェーン
近くのセブンイレブンで朝食用のフレークを買い求めて大量の鳩をおびき寄せるKIAN
このころになって雨が降ってきて、KIANも鳩で満喫したようだったので、水族館は割愛してタクシーでホテルに帰った。そして、夕食までの約3時間、ジェーンとキムは買い物に出かけていった。彼らにとっては、観光旅行の目玉の買い物が残っていたのだ。この日の締めくくりもガストで済ませたが、この間、ジェーンはI-フォンに向かいっぱなしだった。人の話も上の空で、Face Bookのアップロードに夢中だったのだ。高山に行った時から、この調子で、毎日の出来事をオンタイムでFace-Bookにアップロードしていたそうだ。
翌朝の出発には件の客が空港まで車で送ってくれた。早朝でリムジン・バスはないし、どうしたらいいか困っていたのだが、客はそのことを熟知していたらしい。出発するとき、小さい方の旅行かばんが異常に重いのに驚いた。優に30kgはある。大きい方の旅行かばんは20kgを少々超える程度。一体何が入っているかと聞くと、すべて、資生堂のシャンプー、化粧水、ハンドソープ等の詰め替えパックで、しめて8万円ほど買ったらしい。フィリピンで買う資生堂よりはるかに安いそうだが、ほとんど液体だから重いはずだ。
しかし、これがチェックインで問題になった。チェックインできる荷物は、一個あたりの重量は23kgまで、一人2個まで。我々4人で、8個の荷物で、合計184kgまでチェックインできる。しかし、例の小さい旅行カバンは30kgもあるので、NG。一方、私のバッグは5kg程度なので、半分の化粧品を私のバッグと入れ替えて、事なきをえた。しかし、その後、列を並び直せと指示されて、ジェーンが憤慨。直接カウンターに向かおうとするので、やっきになって制止した。図々しいもの勝ちのフィリピンとは違って、日本は何でも平等、ルール、そして我慢の国なのだ。
いつからそうなったのか、はじめて目にするチェックインラッゲージのルールだ
並びなおして順番待ちの間、ラッゲージのカートで遊ぶKIAN
いよいよ搭乗のKIAN、コートはかばんにしまって夏の準備
4時間後、マニラに到着、KIANはすでに夏の格好だが、さすがに暑い
出迎えのハイエースの特等席にすわって得意顔のKIAN。
NAIAからスカイウエイにつながる高架道路が完成していてあっという間にマカティに到着した。一方、空港へ向かう高架道路は一部未完成で一旦一般道路に出る必要があるが、完成は間近いようだ。
家に戻ってから買い物を見せてもらった。これで2~3年はまかなえるそうだ。