KIANの成長記録


2
インターナショナルスクールマニラと言えば、泣く子も黙る名門中の名門学校(幼小中高一貫)であるばかりか、その月謝の高さで名をとどろかせている。幼稚園が7900ドル/年、小学校が12,460ドル、中学校が13,600ドル、高校が14,460~16,160ドルと言った具合で、毎年、100万円から200万円の月謝がかかるという、けしからん学校なのだ。 それがどういうはずみか、このハイスクールに、キアンを奨学生/特待生として授業料免除で入学させようとパパ・カーネルとママ・ジェーンが画策していたのだ。この学校のセキュリティーのチーフと知り合いだそうで、誘われたというのだが、何か情実があるのかと聞いたら全く公正な受験だという。それでは、子供を象に挑戦させるようなあまりに無謀な試みでキアンが可愛そうだ。 まず書類審査では、学校の成績がすべての科目で80点以上であること、日本でいえばオール4以上といったところだろうか。これには辛うじてパスしており、可能性は無きにしもあらずだった。書類提出後、一週間ほどして書類審査にパスしたという連絡をもらって、両親は大喜びだったが、当のキアンもホッとしたようで、これに落ちたら、ママ・ジェーンの雷が落ちることは間違いない。 そして、2月11日が入学試験日だ。目次を見ると、入学試験と言ってもペーパーテストばかりではなくて、グループ討論やプレゼンテーションなどが盛り込まれた人間としての総合力を問うものだった。私も微力ながら協力しようと、テストの目次を吟味して、30秒のプレゼンテーションにはピアノ演奏を披露すること勧めた。ペーパーテストは算数と英語だけなので、キアンの苦手な分数の足し算、引き算、掛け算、そして割り算を復習させた。 そして試験当日がやってきた。朝の7時集合、朝食が振舞われるとのことで、朝6時に出発するというお触れが出た。キアンの晴れの舞台に私の存在が重要と駆り出されたのだが、私は早々と朝食をとって、皆の出発準備が整ったのは6時半、遅れるのではない方やきもきさせられた。土曜の朝なので車はほとんど走っておらず、6時39分に出発して7時ちょうどに到着した。 会場に行ってみると、ほとんどの受験生がすでに到着して、受付を待っていた。27人の受験生といっても、皆つき添いが複数いて100人近い人が集まっていた。ISMの中には初めて踏み入ったが、その施設の充実ぶりに肝をつぶした。 まずは朝食なのだが、私にとって2回目の朝食で血糖値が上がるのではないかと心配だった。そしてオリエンテーションの会場へ。会場には7名の先輩奨学生も参加しており彼らも入学試験の催しに参加して、合格生を決める一票を投じるそうだ。父兄の参加はここまでで、これから6時間、受験生と先生と先輩の入学試験が始まる。 それで思い出したのが、プレゼンテーションのピアノ演奏のために電子ピアノのキーボードを車に積んだままだったのだ。パパ・カーネルが知り合いに頼んでキアンに届くようアレンジしてまずは一安心。そして、昼食をとって、午後から、クッキーとココ、それにヤヤも伴ってキアンを迎えに行った。 キアンを迎えて、開口一番、「どうだったと」、聞くと、キアンは嬉しそうに「楽しかった」とこたえた。特に、ピアノ演奏が受けて、機会を見つけて数回にわたって披露したらしい。そのたびに、校長先生や先輩、そして受験生から拍手喝さいがわいたそうだ。テストの方は英語は得意なのでやさしかったそうだが、算数は、私がやらせた分数の復習がドンピシャリだったとのこと。その他、グループアクティビティでもリーダーシップを発揮して、皆の注目をあびたとのこと。 27人から5名の選抜と聞いて、可能性は、5%程度かと、キアンと話をしていたが、ピアノの演奏に校長先生がいたく、印象付けられていたと聞いて一気に50%程度の確立に跳ね上がった気がした。ピアノについては苦節7年、週2回、教室に通わせて、毎回付き添って膨大な時間と費用を費やしたかいがあったというものだ(特に稽古のあとのご褒美の食事代)。算数もコロナパンデミック中、毎日、家庭教師をやったかいがあった。 キアンから、ありがとう、と繰り返し言われたのは光栄の至りで、この上ない喜びだった。両親からも久しぶりの感謝の意を示してもらった。しかし、この受験は始まったばかりで、これにパスしたとしても家庭訪問、インタビューがあり、道のりは遠い。しかし、もしこれに受かったとしたら、キアンにとって、初めてのチャレンジであり、この成功体験は、彼のこれからの人生にとって貴重なものになるだろう。まさに芸が身を助ける、一芸に秀でたがゆえの金字塔だ。 一方、これに受からなかったとしても、これからの人生におけるチャレンジの良い糧となるだろう。両親には、これに失敗したからと言って責めてはいけない、この経験をバネに、さらにチャレンジを続けるよう励まさなければならないと、諭した。 今回の受験にはピアノの存在が大きなウエイトを占めた。たまたま、ピアノのアンドレ先生には本物のピアノを買い与える時が来たと、強く勧められていたそうで、エドサのシャングリラ・プラザの地下にあるLyricという店を紹介されていた。 その店を探し当てて行ってみると店の前には中古のピアノが大量に並んでいる。価格は中古とは言え、アップライトの75000ペソから15万ペソ、さらにグランドピアノの60万ペソと私にとっては、目の玉がが飛び出るような価格だ。しかし、高いものはそれなり良いようで、どんどんと高いもに目が行ってしまう。しかし、懐具合と相談して、どんな決定をするのか見ものだ。私としては、お鉢が回ってこないように、少々、距離を置いて見守ることにした。「キアンのピアノ演奏の動画」ちょっと時間がかかりますが見てやってください。 そのあと、フードプラザでピザのおやつタイム、私にとって、この日、4回目の食事で血糖値が気にかかってならなかった。

キアンがインターナショナル・スクール・マニラ(ISM)の奨学生に挑戦 2023年2月11日


3月1日から警戒レベルがレベル1に緩和され、一か月が経過し、4月からもレベル1が継続されることになった。レベル1となると役所、レストラン、公共交通機関、建設現場など100%の稼働が可能で、ワクチンを接種していて、マスクさえしていれば、普通の社会生活を送ることができる。 かと言って諸外国に目を向けるとコロナ感染の最盛期ともいえる感染者数で、東京だけでも毎日一万人前後の感染者数もウクライナに気を取られているのか、麻痺してしまったいるのか、たいした話題にもなっていない。しかし、この状況がいつフィリピンにやってくるかわからないので、まだまだ油断をするの早い。 そういうわけで我が家は警戒レベル3を自主的に維持して、高齢者と子供は外出禁止となっている。しかし、世の中が動き始めていると、そうばかりも言ってられない状況が出てくる。そういうわけで今週は、2年ぶりの外出を果たすことが出来たのでその感想を述べたい。 2月に退職ビザの申請者がおいでになったときは、まだ警戒レベルは2で、高齢者の外出禁止は活きていた。そのため、申請者とは面会することなく、リモートで、申請、発行までこぎつけた。しかし、3月末においでなった方から、パスポートを含む書類の引き渡しをリモートで行うことを拒否され、警戒レベル1では高齢者の私でも外出できるので、断りきれなかった。 その後は、キアンの卒業写真の撮影(Pictorial)だ。久しぶりに訪れたドンボスコスクールは、人っけはまばらだが、毎日の出迎え、水泳教室、テコンドウ教室などなど4年間のキアンとの思いでがこみあげてくる。この2年間、そんな日常を奪われしまったことが、悔しくてならない。 ママ・ジェーンの話によると、キアンは更に2年間、ドンボスコに通うそうだ。そうしたら、また、私に出迎えをして欲しいと言う。車と運転手がいると言ったら、キアンはもう大きいのだから、ジプニーか歩きで十分だという。確かに1.5km程度の距離だから、歩いても20分程度で、雨でも降らなければ歩けない距離ではない。自転車という手もあるが、車が多い通りなので、ちょっと怖い。この提案に、キアンも私も、してやったりとほくそ笑んだ。私にとっても糖尿病予防の散歩になって一石2鳥だ。 実はこの卒業についてはひと悶着があった。オンラインレッスン中、キアンがゲームをやっているという疑いから、卒業はさせられないという通知が学校からあったのだ。キアンは否定するもののジェーンは黒と決めつけてキアンをつるし上げた。確かにそんな気配も去年はあったが、両親にこっぴどく叱られて懲りているはずだ。そうこうしている間にジェーンは学校と話をつけたと豪語して今日の卒業写真撮影にこぎつけた。 ドンボスコの目の前にはWalter Martのモールがある。ここは、キアンと私が毎日、学校帰りに立ち寄って、シウマイやアイスクリームをごちそうするのが日課になっていた。このシウマイとアイスクリームがキアンをデブにしてしまったという話もあるが、キアンにとっては至福の時だった。そういえば、学校の門の外の売店でポケモンカードを買うのも日課だった。ママ・ジェーンもその点を理解していて、自主規制を解いてもらって、ひとしきり、モールの中を散策させてもらった。 入り口でワクチンカードの提示があるのかと思ったが、2年前と何の変化もなかった。4階のシウマイはさすがに立ち食いは許されず、冷凍を買うことになった。さらに100円ショップの日本城では老眼鏡などの日用品を買い求めた。必要な物がすぐに手に入るということは、2年間、味わうことが出来なかった喜びである。 そして、翌々日、3月31日の期末はキアンの12歳の誕生日だ。キアンもいよいよ、ハイスクール、日本で言えば中学生だ。ママ・ジェーンは、何もしないと言っていたのだが、やはり、ロースト・チキンにケーキと、キアンの喜ぶものが用意されていた。 恒例のHoppy Birthday to youの後の会話の中で、キアンがダダ(私のこと)と大きな声で言ったので、耳を傾けていると、ママ・ジェーンから誰が一番好きかと聞かれ、即座にダダと答えたのだ。なんともうれしい限りで、ママ・ジェーンとは仕事の話をしたかったのが、この時だけは、憚れて黙っていた。 […]

マニラに活気が戻ってきた 2022年4月2日



1
東日本大震災から明日で10年を経ようとして、日本のTVは、その話題で持ちきりだ。一方、マニラ・コロナ封鎖は15日で一年を迎えようとしている。この封鎖で開店休業となって時間をもてあまし、キアンの算数の家庭教師をかって出た。あれから一年近い歳月、ほとんど毎日一時間ほどのレッスンで、ようやくキアンがオンラインテストで満点を取って結果を出してくれたのだ。キアンの喜びようは尋常ではなかったが、それよりも、私自身、よくここまで我慢してやってきたものだと、自分を褒めてやりたくなるほどの感激だった。今年に入ってから、コロナ/PRA/SRRV関連以外にブログのトピックになるような話題はなくて、すっかりご無沙汰していたのだが、ようやく筆を執る気になるニュースだった。参照ブログ「封鎖中はキアンの家庭教師に再就職 2020年4月25日」 昨年、キアンの算数レッスンを開始した当初、九九が完璧でないこと、一桁の+-に指を使うことなど、小学校低学年での算数学習の基礎がなっていないことに気がついた。これは、3年前に私自身が教えることをギブアップしてしまって、家庭教師に任せてしまったのが原因だ。今更、後悔しても始まらないし、もはや手遅れだが、いまや四則演算は計算機がやってくれる時代なのでおおきなハンディになることもないだろう。 4年生の教科書が学校においてあって、封鎖で取りに行けないので、Beastというオンライン算数問題集でレッスンをはじめた。4年生の復習を主に行なったのだが、オンラインなのと、式や計算を紙に書いてやる習慣が不十分なので、暗算で出来ないと、すぐにギブアップして、思いつくままに適当に回答してしまう。キアンは、学校の試験は四択(a,b,c,d)だから、でたらめに選んでも25%は正解となることを知っているのだ。 そこでしつこくしつけたのが、まずは式を紙に書け、そして計算の手順を書いて、回答を導け、決して暗算を頼りにするな、である。一桁の四則演算も暗算でろくすっぽ出来ないくせに、文章問題を暗算でこなすなんて10年早い。また3桁以上の計算になると、きちんと紙に書いて計算できないので、位取りが混乱してしまって、正解を導くことができない。 ここ数ヶ月はキアンが大きらいという分数に挑戦した。足し算引き算に必要な通分や計算結果の約分、私自身、算数に関わる英語がわからないので、その概念を教えるのに苦労した。教科書には詳しく概念を教えてあるのだろうが、その教科書がないので、どうにもならない。 そして分数の掛け算・割り算に進むと、何故、割り算は分母と分子をひっくり返して掛け算をすれば良いのか、なかなか覚えてくれない。その時はテクニックとして覚えても、次の問題に移ると、掛け算も割り算も同じになってしまう。私としても、これは繰り返して叩き込まなければならないと覚悟して臨むのだが、つい、アホかと声を荒げてしまう。 そうなるとキアンは萎縮してしまって、ちんぷんかんぷんになってしまう。これを脳みそという言葉の連想からみそスープと名づけ、脳みそがみそスープになると、キアンは思考が停止してしまうだ。 キアンの勉強の敵はクッキーだ。遠慮という言葉を知らないクッキーは算数レッスン中でも平気で、キアンの邪魔をする。時には、私がキアンが算数のレッスンを行なうことを拒否する。強引にやったとしても周囲で大騒ぎするのでキアンの脳はみそスープになって意味がない。 ママ・ジェーンは「クッキーがいたくらいで気が散って勉強ができないなんてことは許されない」と精神論を唱えて、クッキーの邪魔立てを放任した。最近は、さすがにクッキーの邪魔立てがどんなものか、身を持って知ることになり、キアンがオンラインスクールや算数レッスンでしているときは邪魔をしないようにクッキーを注意するが、それにさえ歯向かうクッキーなのだ。 そんなわけで、家庭内で孤立気味のクッキーはパパカーネルが帰宅してハグをしようとすると、「ウイルスがいるから、まずはシャワーを浴びて来い」と怒鳴る。さすがカーネルは冷静にクッキーに従うが、私ならはったおしているところだ。 一方、1歳と4ヶ月目を迎えたココは、部屋をヨチヨチと走り回って、周囲の喝采を浴びる人気者だ。私の部屋を訪れるのが大好きで、ひとしきり私の周りのものを投げ散らかして遊んでゆく。しかし、それにクッキーが加わると、わざと叫び声を挙げたり、他人が嫌がることをやる、典型的な嫌われ者役で、私の顔はしかめっ面のままだ。それに対して、クッキーは”I don’t like your […]

コロナ封鎖下、苦節一年、キアンの快挙 2021年3月10日


トランプ大統領もコロナに感染して3日で大統領選の戦線に復帰して意気軒昂だとか、ヨーロッパの二次感染が深刻であるとか、Go To TravelやGo To Eatの混乱、休業補償金の不正受給など世の中は相変わらずコロナの話題で持ちきりだ。フィリピンの感染者数も2000~3000人超で相変わらず収まる気配もなく、一次も2次もない連続する高台だ。この調子だと、年内の終息など夢物語で、私の仕事の糧の外国人の入国禁止が解除される見通しは全くたたない。 そうなると、自宅軟禁も年単位の長期戦に備えて、耐え忍ぶ生活ばかりではなくて、それなりの潤いがなくては長続きできない。仕事も学校もない生活では、楽しみは3度の食事だけだ。しかし、軟禁生活が半年も越えると、食事を準備するメイドもマンネリのせいか、手抜きも甚だしい。外食ができない状況で、食事ごとの落胆は辛いものがある。 私の毎朝の精進料理は、納豆と豆乳(自家製ヨーグルト用)、それに卵が日本食材店から姿を消して、モンゴ豆と牛乳、それにローカルの卵で代替しているが、精進とは言いがたく、早く脱却しないと体の変調をきたすのではないかと心配している。さらに醤油と味噌が品切れになった時は、世も末と危機感を持った。 それに、昼夜の食事は、ほとんど、イワシないしサバの缶詰あるいはぶつ切りの魚の煮物か揚げ物の繰り返して、食卓に座るたびに今日もかとため息をつく。子供達の食事についてはほとんど毎回、卵焼きにライス、それにコンビーフがついたら御の字だ。キアンは、私と同じ魚のぶつ切りについては私によこして、ライスに醤油をかけて済ますといった按配だ。 まさに貧困層か難民キャンプの食事でメイドにとってはそれが日常で、食べられるだけで幸せではないか、今は緊急事態なのだ、と思っているのかもしれない。かつては外食という手があって、毎週土曜、テコンドーとピアノのお稽古の後の日本レストランでのランチ他、週2~3回の外食でおいしいものが食べたいと思ったことはなかった。因みにママ・ジェーンは料理が得意で、彼女が用意した食事はなかなかのもので、満足できるのだが、せいぜい月に2~3回気が向いたときしかやってくれない。 そんな子供達の楽しみは、ミロとヤクルトで食事の後では欠かせない。ミロは大匙に数杯、ヤクルトは食事ごとに2本ずつ、楽しそうに食しているのを見て、コメントを挟む気にはならなかった。しかし、ここのところ、キアンの腹の出具合が異常になってきた。初めはライスの摂り過ぎだと思ったが、どうも、このミロとヤクルトに原因があるのではないかとにらんだ。 そしてミロを舐めてみると、やけに甘い。ヤクルトもしっかりと甘い。ミロもヤクルトも健康食品という認識があったが、フィリピン産はフィリピン人の嗜好にあわせて、たっぷりと砂糖を含んでいて、もはや健康食品とはいいがたい。そもそもキアンがデブになることを案じて決してソフトドリンクは飲ませず、当たり前のことではあるが、食事中は水だけだった。 しかし、ヤクルトという落とし穴があった。一日一本くらいならいいだろうが、毎食後、2本となったら話は違う。やけにミロとヤクルトが子供達に人気があると思ったら、これらはオリジナルとは似ても似つかぬ甘味食品となっていたのだ。ママ・ジェーンにそのことを伝えると、デューティー・フリー・ショップに行って砂糖が少ない輸入品を買ってくると豪語していた。もはや子供達にはこの二品は欠かせないというのだが、キアンに言わせるとヤクルトとミロはママ・ジェーンの好物であるとのことで、そこまでこだわることが解せた。 最近、食中毒にやられてしまった。午前中から軽い吐き気を覚えて、横になって、食欲もない。便も水のような下痢で、その夜に思いついて重曹を水に溶かして飲んだら、てきめんで、胃の中のものを全部吐き出した。それですっきりして、翌日はバナナだけで済ませて、夜にはすっかり元気になった。原因は、ローカルの卵を生で食したせいではないかと疑っているが、もともとフィリピン人は卵を生で食する習慣はないので、鶏卵の生産流通において衛生管理が十分ではない。日本食材店の卵であれば、生食を前提としているので、その点はしっかりしているものと期待され、その分、値段も倍はする。 首都圏封鎖がGCQに緩和された6月1日、レストランのテイクアウトやデリバリーが盛んとなった。早速、デリバリーを利用したいとママ・ジェーンに話したが、とんでもない、コロナを出前でとるつもりかと一蹴されてしまった。しかし、ここ最近、日曜ごとにパパ・カーネルがやってきて、子供達を連れ出して、必ず、マクドナルドからフライド・チキン・ライスをテイク・アウトしてくる。決してハンバーガーでないところが味噌だが、フィリピンではさすがのマクドナルドもジョルビーの看板メニューのまねをしているのだ。 マクドナルドからのテイク・アウトが許されて、他のレストランからのテイク・アウトが許されないのか、ふと疑問に思って、近所にある馴染みのとんかつ屋レストランからのデリバリーを提案した。キアンは早速、エビフライと醤油ラーメンとさけび声をあげた。キアンの食いものに対する執着はすさまじいものがあり、特に毎週末の日本料理レストラン巡りはキアンにとっての至福の思い出なのだ。 […]

出前で我が家の食卓に花が咲いた 2020年10月14日



ハーレーダビッドソンの組み立ても一段落して、FJクルーザーの組み立てに取り掛かった。これは模造品なのでキアンが興味を示さない。そのために、かえって私が自由に取り組むことが出来た。事務所はクッキーの邪魔が入るので、自分のベッドルームに舞台を移したのだが、ここもクッキーに占領されることになってしまったのだが、キアンがこなければ、クッキーも現れず、数時間レゴに熱中することが出来る。 ブロックもカチカチとはまって、台車部分はなかなか頑丈に組みあがって、部品の不足にもお目にかからない。しかし、フロント部分の取り付けに模造品であることの馬脚を現した。ある程度組み立てて本体にはめ込むのだが、どこにはめればいいのか良くわからず、適当にはめ込むと、別のブロックがこぼれ落ちるといった具合だ。 ドアの開閉部分の筒状のブロックが一個見当たらない。似たようなものがあったが、筒の端が詰まっていて少し長い。どうしても見つからないので、爪切りのやすりでこすってなんとかはめ込んだ。しかし、ドアを本体に取り付けてみると、斜めになってどうしてもうまくはまらず、ドアもきちっと閉まらない。 仕方がないので、後回しにして、他の部分をを完成させて、キアンに助けを求めた。キアンに説明している最中、キアンが手を触れるとやすりで削ったブロックがこぼれ落ちた。よく探してみると筒の端をふさいでいたブロックは別の小さなブロックがはまっていて、はずすことが出来たのだ。キアンは私のアホさ加減に開いた口がふさがらないという顔をしていた。FJクルーザーも仕上がりで部品がぼろぼろ落ちるという欠陥があって、達成感にしたるには今一だったが、少なくとも認知症予防の訓練効果には十分であるようだ。 続いてとりかかったのが、ムスタングの純正品だ。到着から数日間、コロナ除菌でお預けを食らったが、キアンのノリは半端ではない。オンライン授業で、先生のお小言があって、学校から退学させられかねないとかで、すかさずママ・ジェーンは月曜から木曜日までスマホの使用を禁止されてしまったためで、やることがないのだ。 先生のお小言というのはオンライン授業中にキアンがオンラインゲームをやっているというもので、私にその現場を押さえるように指示がママ・ジェーンから出た。本当だとしたら、キアンに強烈なお仕置きが施されるのは間違いない。 これは一大事と、熟考したのだが、キアンのオンライレッスンを後ろから見ていて現場を押さえるなんてことは、到底やる気はしない。そんなことをしたらキアンの私の信頼と愛着はもろくも崩れ落ちてしまうに違いない。フィリピン人で、私が絶対の信頼を置いて頼りに出来るのはキアンだけであって、私の将来、老後の生活の保障でもあるのだ。 そこで決意したのはキアンに状況を耳打ちすることだ。おかれた状況を知っていれば事の対処も可能だろう。因みにフィリピンでは罪を認めると有罪となって処罰される。「すみません、私がやりました。2度と同じ過ちは繰り返しません」という言動は最悪で、あくまでもシラをきることが大事なのだ。だからこそママ・ジェーンは私に現場を押さえるよう依頼したのに違いない。 キアンの試練に対して、私は友人として情報を提供する選択をしたわけだが、因みにキアンに聞いてみると「休憩時間にオンラインゲームをやっているのであって、授業中は決してやっていない」とシラを切っていた。本当のところはやっていたのかも知れないが、私にとっては、事の真偽はさほどの問題ではなく、子供時代には誰でもやっていた悪さの範疇にすぎないのだ。 キアンはムスタングに熱中して瞬く間に仕上げて、2日(2~3時間/日)で終わってしまった。隙を見て私も挑戦したが、3分の一しかやれなかった。ブロックの不足もなく、エンジンルームや室内も凝ったものでキアンの達成感はかなりのものだった。キアンは、私がやった部分は間違いだらけという馬鹿にするが、私には何がまちがいなのかわらない。一方、当方としては一週間を見込んでいたので、とんだ見込み違いで、次の注文品が届くまで間が空いてしまうことになってしまった。 次に注文したのが、フィアット500の純正品、ブロック数960個、約7000ペソ。多くの純正品は1万ペソを越えるのでなかなか手が出ない。こんなものでも適応年齢が16歳以上で大人用だ。 私の練習用には往年の名車、キャデラックとジープの模造品(それぞれ1300ペソ程度)を注文したが中国から来るので到着するのは2週間先だ。キャデラックは私が中学校の時、大いに夢を掻き立てたアメリカ全盛時代のアメリカンドリームを象徴したものだった。 ジープは、このシリーズの製品がたくさんあるので、試してみて良かったら買い続けようと思っている。模造品だから純正品の三分の一からご5分の一で済むし、キアンが興味を示さないので、あまり邪魔されることもないだろう。

レゴに挑戦、その2 2020年10月9日


予測どおり、マニラ首都圏は9月末まで現状維持(GCQ)となった。ある程度の社会経済活動は継続するものの、私にとっての一番の関心事である高齢者の外出禁止は継続し、さらに外国人の入国禁止についての音沙汰もない。これがいつまで続くのか、ワクチンが普及するまでとの話があるが、それがいつになるのか、誰も確定的なことは予測・約束できない。 現状維持と一口で片付けられてはたまらないのがこの防疫隔離措置(封鎖)により職=生きる糧を失った人々だ。国も何の援助も出来ないというのだから、どうやって生きていけばいいというのだろうか。GCQで限定的に社会経済活動が可能となっていたとしても焼け石に水だ。 私にとっても外国人の入国禁止、高齢者の外出禁止、官庁の限定的運営は、三重苦で、上記の失業者の一翼をなしているわけだが、何よりもつらいのがやることがないことだ。さらに、これがいつまで、続くのがわからないとなると、他山の石と眺めているわけにもいかず、不安がつのる一方だ。 ところで、そんな外界の出来事には、あまり興味のないキアンがShopeeとかいうオンライン・ショッピングのサイトを開けて、スペース・シャトルのレゴが欲しいと盛んにモーションをかけてくる。よく調べてみるとクレジット・カードかデビット・カードでの支払が可能だという。クレジット・カードや自分のデビットカード(兼ATMカード)はスキミング詐欺でやられる恐れがあり躊躇されるのだが、新生銀行のGAICAカードならば使用する額だけ都度チャージしておけばいいので、被害は、チャージした額に限定されるので心配がない。しかも、たったの数百円の買い物でも、日本から直ちにE-メールで引き出しの報告が来て、残高もチェックできるので、安心だ。これでコロナ封鎖で自宅にいても自由に買い物ができることになり便利この上ないのだが、おかげでキアンの買い物癖が復活してしまった。コロナの影響もあって世の中はオンライ・ショッピングが買い物の主流になりつつあるようだが、外出もままならない状況では、現金主義の私も遅ればせながら、その波に乗らざるを得なくなってしまったようだ。 今回はスペース・シャトルのレゴ(2300ペソ)をねだられたわけだが、3月31日の10歳の誕生日にはコロナ封鎖に突入しており、何もプレゼントできなかったので、その見返りとしてよしとした。そうなると、9月誕生のリオ(近所に住む孫)と10月誕生の妹のクッキーも買ってやらないと納得してもらえない。しかし、ママ・ジェーンの事前了解を取り付けておかないと、あとから何を言い出すかわからないので、メッセージで打診したものの、返事がなく、”バハラカ(勝手にして)”なのかと念を押すと、ようやく”うん”との答えだった。日本なら、うれしそうにありがとうと礼を言われるはずなのだが、どうも恩を着せられるのが嫌らしい。 そういうわけで3個で5000ペソの出費となったわけだが、4日後の27日に到着すると告げられたキアンの待ちわびる様は尋常ではなかった。そして到着の日がやってきた。午後一で来たのだが、配達物は半日以上天日にさらして、消毒してからでないと家に入れることはまかりならぬというママ・ジェーンのお達しがある。コロナウイルスで汚染しているかもしれないというわけで、キアンが夕方開けていいかときくと、明日の朝にしろと、言われた。翌朝になると昼過ぎといわれ、さらに午後、3時にママ・ジェーン自らに厳かに封をあけ、消毒をして、いよいよ子供達に手渡された。 キアンの至福の時も一時間と続かずあっという間に組み立てを終わってしまったが、そのあと、クッキーの分の袋を開けてキアンが組み立ててやろうとした。しかし、クッキーは、その申し出を断って、自らがチャレンジするという言って、キアンにさわらせない。4歳前のクッキーにはまだ無理なのだが、それでも、自分が買い与えられたということに大いなるほこりをもっているようで、付属の箱に部品を入れて後生大事に持ち歩いている。過去に私がキアンに買ってやったレゴの山を見て、「世の中不公平だ」と嘆いていたクッキーにとっては、私からのプレゼントがよほどうれしいらしい。今回もキアンだけにしか買わなかったら、一生恨まれるところだった。 キアンは、その日、翌日、翌々日と携帯の使用をママ・ジェーンに禁止された。あたかも、レゴをもらった喜びに対してのお返しで、何でも思い通りになったら大間違いという甘えへの戒めなのだろう。おかげで時間を持て余したキアンの次のレゴ獲得への執念はすさまじく、Shopeeのサイトを食い入るように眺めて、物色している。次のターゲットはクリスマス・プレゼントというわけだ。 3歳間近のリオにはレゴの組み立ては無理で、そこでパパ(私の息子) の出番となるのだが、彼の子供の頃はスマホもなくて、プラモデルとレゴで育ったと豪語するくらいで、自信はある。その彼が、今時のレゴは、とても精密で、1980年代のレゴとは似ても似つかない、これならは大人の趣味としても十分通用すると感心していた(よほど組み立てに苦労したらしい)。私も認知症予防に挑戦してみるのも良いかもしれないが、チェスと同じようにきっとキアンにはかなわないだろう。世代は交代していくのが世の常というものだ。

待望のレゴが到着した 2020年9月2日



8月4日から始まった防疫隔離措置(MECQ)は19日から元のGCQに緩和された。8月1日からGCQの延期、4日からMECQへの再強化、そして19日からGCQへの再緩和へのめまぐるしい変化は、行政の迷いの表れだ。こちら立てればあちら立たずで、ドテルテ大統領も苦渋の選択の繰り返しだったのだろう。 GCQからMECQの規制強化は公共交通機関の運行停止、レストランの店内飲食の禁止、さらに諸官庁の業務停止と、6月1日のGCQへの規制緩和により、動きはじめていた経済活動を再度停止するものだった。これは、ジプニードライバー、トライシクルドライバー等の運転手、レストランのウエイトレスら、貧困層の職を奪い、諸官庁の業務停止は経済活動の首を絞めるものだった。コロナ感染の増大による医療崩壊の危惧が、8月4日の規制強化の原因だったそうだが、今度は経済、そして庶民の生活の糧を奪い、はるかに多くの被害者を発生させることになってしまった。 防疫隔離措置(封鎖)も5ヶ月も継続してしまうと、感染拡大防止という大義名分よりも、経済そして庶民の生きる糧を奪うという側面が大きくなって、もはや庶民、経済界の同意を得ることが出来なくなってしまっている。しかもそれを補填する金が国庫にないとすると、感染拡大か庶民の餓死/暴動のどちらを取るかの選択肢になってしまう。 そこでタイミングよく宣伝されているのがロシアをはじめとするワクチン開発で、すでに成功した、成功間近と騒がれている。これは医療関係者も庶民、経済界にとっても希望の光を与えている。これが効果のあるものだとすると、すべてが丸く収まり、外国人旅行者もワクチン接種により、自由に渡航できるとすれば、私のビジネスも復活する。そうとなれば、後、2~3ヶ月は我慢のしようもあるというものだ。 相変わらず在宅隔離を強いられている子供達に事件が起った。とるにとらない些細なことがきっかけなのだが、キアンにとって人生初の怒りの原因に発展してしまった。そのとき、キアンは怒りに30分以上、体の震えが止まらず、私も一体何がキアンに起きているのかわからず、聞いてみると「Angry 怒り」と震えながら答えた。怒りに震えるという言葉があるが、私にとっても初めて見る光景だった。キアンにとっても生まれてはじめての経験だったという。 事の起りは、キアンが部屋にいるクッキーにランチタイムを知らせたことだ。その声に寝ていたココが起きてしまった。そのことを子守役のマミー・ソンがキアンをたしなめた。キアンは、「ココが寝ていたことを知らなかった」と言い訳を言ったのだが、マミー・ソンはそれを「I don’t care、そんなこと知るか」と聞き損ったらしい。それでマミー・ソンに火がついてキアンに罵声を浴びせかけた。キアンがいくら言い訳してもその罵声は止まらず、キアンは見る見るうちに表情を変え震えだしたのだ。 その時は状況をよく把握できなかったのだが、後で聞いてみるとマミー・ソンの罵声は以下のようなもので、キアンには耐え難い屈辱だったようだ。「ダダ(私のこと)の前では、なんでお前は、生意気なことをいうんだ」「ママに言いつけてやる」「携帯の使用を禁止する」など、普段でも大声で子供達をつまらぬことで叱りつけているのだが、火がついているときのマミー・ソンの罵声は強烈なものがあった。キアンは、何の罪を犯したわけでもないのに、マミーソンはキアンの言い訳に耳を貸さず、キアンを怒鳴り続けたことに対して、キアンはプライドをいたく傷つけられ、それが怒りに繋がったようだ。人間、例え子供であろうとその日の糧を得るのに汲々としているもスコーターの人間だとしても、それなりのプライドがあって、それを傷つけられると怒りに繋がって暴力事件に発展する。決して公の場で人を侮辱してはいけない、というのはフィリピンばかりでなく人類共通の教訓だとおもう。 私は、怒りで震えるキアンを部屋に連れて行ってなだめることしか出来なかった。しかし、たかがキアンの呼び声でココがおきたとしても、マミー・ソンがなにもそこまで熱くなることはあるまいと思うのだが、ママ・ジェーンの叔母であるためか、ママ・ジェーンに輪をかけたような勢いだった。両親にに怒られるならばまだしも大叔母にどやされてキアンとしても我慢できないものがあったようだ。相手が同級生だったとしたら、きっと殴りかかっていただろう。 私は生涯、子供時代を含めて、暴力的喧嘩というものをしたことがない。したがって、怒りで体が震えるという経験もない。比較的穏やかな性格で、せいぜい妻と口げんかをするくらいだった。しかし、普段は優しさの権化みたいな10歳の子供ーキアンが体が震えるまで怒るということはちょっと信じ難い事件であった。因みにマミー・ソンはママ・ジェーンに言いつけるといっていたが、それはさすがになかったようだ。なんと言ってもキアンにとって一番恐ろしいのはママ・ジェーンなのだ。しかし、子供達は外出禁止で外へ出られず、ただでさえストレスが溜まっているときに、大の大人が赤ん坊が起きたくらいで大騒ぎをしなくてもいいと思うのだが。

キアンが怒りで震えが止らなくなった 2020年8月22日


いよいよ防疫隔離措置の規制(現状MECQ)の期限(18日)が近づいて、果たして緩和されるのか(GCQへ)、さらに強化されるのか(ECQへ)世間は興味しんしんだ。医療関係者は、新規感染者が6000人を超え、高止まりしている現状から規制強化を訴え、経済界は、このままではコロナに感染する心配よりも、5ヶ月に及ぶ隔離措置により、経済が破綻して職を失い生きる術を失う者が膨大となり、果ては国家経済の破綻を招くことになると、規制緩和を主張している。 確かに5ヶ月もの間、収入の道を絶たれ、これがいつまで続くのかと思うと、感染は自己責任として扱って、いい加減に行政は口を挟んで欲しくないという気持ちがわいてくる。国に支援する金が無いとなれば、貧しい人々が他人の富みを奪ってまでも生き延びようとするのは当然の成り行きで、それを防止するための警察そして軍隊の出動で内乱状態になったとしてもおかしくない。それならいっそ、隔離措置をやめてしまったほうが、はるかに得策だというわけだ。何しろ5ヶ月はあまりにも長すぎる。 一方、最近、フィリピン人の外国人配偶者の入国に当たって、事前に入国ビザが必要である旨の通知が発表された。従来は、フィリピン人の配偶者であればビザ無しで入国を許されたものが、事前にビザを取得せよ、ということだ。参照 入管Press Release(8.08)。しかし、そこには「Appropriate Visa-適切なビザ」となっていて、具体的な記述がない。今まで、Permanent Visa とかLong Term Visaとか表現が使われて、果たしてSRRVは含まれるのかといつも議論が沸騰したが、今回もSRRVが含まれるのか不明で、PRAに聞いて見ても返事をもらえない。 さらに入管の内部資料を入手してみると(外部秘となっているために添付できませんのでご了解願います)、SRRVは認められるものの、今度は「Foreign nationals exempted under FSC No.360‐2020 […]

トランプゲームは防疫隔離措置克服の切り札となるのか 2020年8月16日



7月16日政府通達で「長期ビザ保有者のフィリピン入国を許可する」というニュースが流れ、多くのメディア、ユーチューブ等がこぞってとりあげた。私もローカル新聞の報道を目にして「遂にやった」と思ったが、正式な通達を目にするまで、ニュースを広げることを控えていた。そして通達を手して良く見ると「長期ビザとは移民ビザの13ビザ」と記載されていた。13ビザとはクオータビザや13a婚姻ビザをさすもので、9gワーキングビザ、SRRVなどの一般的な長期ビザを含まず、ごく限定されたビザをさす。そもそもこれらを長期ビザといっぱひとからげに呼ぶことは間違いであり、通達を読んだ人々が全ての長期ビザと解釈することは容易に想像できる。メディアやユーチューブの発行者もそう思ったに違いない。 その後、大使館からも報道されたが通達を翻訳しただけで、具体的にどのビザが含まれているのか、解説がない。その他の雑誌の記事を見ても大使館の情報の再掲載に留まる。要は一般の人がわかるように解説してあるのは、私のホームページ以外にみあたらないのだ。さらに入国に当たっては隔離施設とPCR検査の予約を独力で行なうこととあり、一体どうしたらいいのやら一般人には皆目見当がつかない。そのため、通達の真意を確かめるために多くの人から質問が私にもあったが、旅行社やフィリピン大使館はこの通達の要求にどうしたら良いのか説明するためにてんやわんやで、混乱のまま8月1日を迎えるのではないだろうか。 先日、歯医者に行くために久しぶりに外出したが、それから数日して、倦怠感に襲われ、半日も机に向うとげんなりしてしまった。しかし、熱は36度台の微熱程度で咳も全くない。ひょっとしてコロナとも思ったが、その後も熱も咳もなくてコロナと迷っているうちに、一週間程度で倦怠感がなくなった。ひょっとすると、これは無症状のコロナで、あっという間に直ってしまったのかという気もしている。そうであるとするとこれで抗体を獲得してもはやコロナに罹患しない天然のワクチン接種ということになったのかもしれない。こんな形で、抗体獲得者が増えて、コロナが自然消滅するのが理想的と淡い期待をいだきたくもなる。 キアンの大好きなキッザニアが閉鎖されるというニュースが流れたが、果たしてドリームプレイはどうなるのだろう。このままコロナ封鎖がさまざまなレベルで継続すると、経済・社会活動が停止して、世の中真っ暗になって、まさに「End of the World」がやってきて、コロナ怖さに為政者が国を滅ぼしてしまうという結果になるかもしれない。ブラジルの大統領がコロナなんぞはインフルエンザのようなものだと言ったそうだが、もしかしてそれが正解かもしれない。日本の為政者も緊急事態宣言の発令を躊躇しているがそんなジレンマがあるのだろう。 ところで、キアンのオンライン授業がやっとはじまった。ドテルテ大統領の話によると、ワクチンが出来るまで、対面授業は来年あたりになるだろうということなので、あと半年も自宅待機では学業への影響は計り知れない。学校としても授業料を取ることが出来ず、私立校は倒産の憂き目にあってしまうから、先生方もいつまでものんびりしているわけにはいかない。そのためキアンは朝の7時から11時半までラップトップにかじりついており、やっとニューノーマルの体制になったわけだ。 一方、クッキーも3歳と9ヶ月、本来ならば幼稚園に通っているところだ。そのため、ここ2ヶ月間、私にお鉢が回ってきて、ABCマウスというオンライン教材で、毎日レッスンをしている。しかし、お絵合わせ(ジグソーパズル)やお絵書きに歌など、遊び相手で退屈で仕方がない。しかもクッキーは強情で自分の思い通りに行かないと私からマウスをとりあげて勝手にクリックして、気に入ったところでブレーキしていつまでも遊んでいるので、私の手におえない。しかも私のパソコンを占領しているので、机の前でぼんやりしているしかない。 そこでママ・ジェーンが白羽の矢を立てたのがメイ先生だ。キアンの通っていた幼稚園の先生でキアンの家庭教師でもあり、キアンの英語の恩師といえる存在だ。しかし、メイ先生は現在スペイン在住で、本来ならばありえない話だが、クッキーのレッスンをオンラインで引き受けることになった。まさにニューノーマルで地球の裏側のスペインからレッスンを受けるということが現実になっていているのだ。 コロナ封鎖前、キアンの家庭教師をしていたドンボスコの先生ラニョラ女史にクッキーも一緒に面倒を見てもらうべくレッスンを開始したのだが、数回にしてクッキーのヤンチャぶりにギブアップした経緯がある。メイ先生は幼児教育のベテランなのでやり遂げるに違いないと期待しているのだが、ちなみにママ・ジェーンは、はなからギブアップしている。

キアンのオンライン授業とクッキーのオンライン家庭教師が始まった2020年7月26日


6月16日からの封鎖緩和(GCQからMGCQ)が見送られた。MGCQになれば、日本の自粛要請程度のゆるい規制になって、60歳以上、21歳未満の外出も許可され、レストランや遊技場も部分的に開いて、自由度が大幅に向上する。結局、6月30日まで、現在の外出制限と役所、事務所、銀行等の50%稼動が継続することになってしまったのだが、6月30日というのは暫定的なものであり、その後、緩和されるという保証はなく、感染が一向におさまらない状況では逆にセブのように強化されるかもしれない(GCQからECQに逆戻り)。 PRAは8日の再開から、2週間を経て、その運営体制があきらかになった。要は、当初、業務の要と見られていたオンライン申請は全面的に取りやめ、事前予約による面前での申請のみとされている。 再開前の7日にID更新について質問状を発行したが 、その返事が未だに無いという徹底振りだ。さらに、この事前予約もごく少数の来訪者に限定され、2~3週間先でないとアポが取れないという状況だ。しかも一回の面会で原則一件の申請のみ扱うということで、当方のように常に複数の申請を扱っている代行業者にとっては死刑宣告に等しい。こんな状況も未だおさまらない感染拡大に職員を守るための方策であり、いつかは過去のものになるということを信じて、当面、顧客には我慢してもらうしかなさそうだ。 さて、学校も休みが継続しておりも、3月7日以来、4ヶ月目に突入している。したがってキアンのお稽古事もストップしたままだ。ピアノなど自習するよう促してはいるものの、せいぜい現状を維持する程度でしかない。先生も収入の道を絶たれて苦しい状況にあるに違いない。そんな折、ピアノ、テコンドーなどからオンライン・レッスンの声がかかった。ピアノの授業料は8500ペソ/月と70%アップだが、背に腹は代えられない(これは年間で10万ペソに達してドンボスコ・スクールの授業料と変らない)。ドンボスコ・スクールからもダンスや空手のオンライレッスンの声がかかったが、こちらは無料なのでありがたい。 テコンドーや空手はオンラインといわれてもピンとこないが、ピアノとダンスは待っていましたと乗ることにした。ピアノは5年目に入って、やっと人に聞かせる程度まで上達したのでなんとか伸ばしてやりたい。一方、ダンスは知らぬ間にプロはだしのステップを踏めるようになっており、要は天賦の才があるようなのだ。それにずっと家に閉じこもっているための運動不足を補うことも出来るし、ストレス解消もしかりだ。 さて、レッスンの前日、ママ・ジェーンからキアンにラップトップにズームのアプリをインストールするよう命令が下って、キアンが私に助けを求めてきた。すでに準備済みときいていたのだが、前日の夜になって、何も準備をしていないことがわかった。私は、自慢ではないが、アプリのインストールは滅多に成功したことがない。後から良くきくとママ・ジェーンがパスワードを忘れてズームにアクセスできなくなってしまったということらしい。キアンと私が四苦八苦して新たにズーム・アプリをインストール、あるいはインストール済みのアプリのパスワードを回復しようと試みたが、どうにもうまくいかない。ラップトップのOSもウインドーズ8で使ったことがないのでキアンを頼りにせざるをえず、結局ギブアップする以外に手はなかった。 コロナ封鎖が一段落して(GCQに緩和)妻の田舎から戻っている息子に応援してもらおうとしたが、まだGCQだから、他所から人を入れてはいけないとママ・ジェーンは認めようとしない。そこで封鎖中の3ヶ月間、警察で寝泊りしているパパ・カーネルに応援してもらってようやく事なきをえた。彼は、PCR検査で陰性であることが確認されているので入室を許されたのだ。 翌日、オンライン・ピアノレッスンが開始される10時半になってもキアンは準備を始めるわけでもない。催促すると、やっとラップ・トップやイヤ・フォンなどの準備を始めて、先生とうまくビデオ通話が出来るころには11時をこえていた。それでも、何とかレッスンが開始できたのでホットした。 キアンには、エリーゼのためになどポピュラーで人に聞かせられる曲を10曲小学校卒業までにマスターするようにいいつけた。私専用のピアニストとして演奏会を毎日開かせようという魂胆で、ハイスクール卒業までに100曲マスターのターゲットも与えた。 さて、翌日はダンス・レッスンだ。これまた、はじまる時間までに何もしようとしない。時間になって、Meetingとかいうアプリを開けるのでママ・ジェーンのYahooメールのパスワードを教えて欲しいとキアンがいう。「そんなもの知るか、マミーにきけ」とつい声が荒がる。とにかく事前に準備するということができないというフィリピン人の特性を10歳のキアンも十分受け継いでいるようだ。 ダンスのレッスンはXボックスでおなじみの対面でステップをまねするもので、キアンにとってはおなじみの手法だ。キアンに何故、あんなにダンスがうまいのかときくと、Xボックスで練習したのだというので、オンライン・レッスンも効果的であろうと期待できる。はじめはクッキーも参加していたが、すぐにあきて床を転げまわる始末だ。 ひさしぶりに先生と話したり、ピアノやダンスのレッスンをして、ここ3ヶ月間籠りっきりだったキアンはストレス(特に私の算数レッスン)から十分解放された様子で、机に足を投げ出してくつろいでいた。そこで、私が品が無いと注意したところ、脇でクッキーが私に声をかけてきた。見ると、クッキーが机の上に足を乗せて笑っている。 このことをママ・ジェーンに話したら、大笑いをして自分の子供の頃にそっくりだという。英語で天邪鬼(アマノジャク)をなんて言ったらいいのかわからなかったが、 事前準備の悪いことと同様 […]

キアンのオンライン・レッスンが 開始された 2020年6月20日