Daily Archives: October 24, 2012


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 最近、日本経済のグローバル化、放射能汚染の恐怖、そして学校でのいじめの蔓延などで、日本での教育に見切りをつけて、お子さんを海外で学ばせようとするお母さんが増えている。そうすれば、英語を堪能に話す国際人に育つ一方、放射能やいじめから疎開できるという一石2鳥と考えるのだ。  しかし、留学といえばアメリカやヨーロッパが定番だが、こんなところでで長年暮らすとなると、おいそれと決断するわけにはいかない。よほどのお金持ちだけができる特権だ。そこで2000年代、韓国のお母さん方が、お子さんの留学先として目をつけたのがフィリピンだ。ご承知の通り、韓国ママ達の教育熱心は尋常ではなく、大手企業への就職も真っ当な努力ではままならない。ちなみに超優良企業のサムソンはTOEIC900点以上でないと、玄関払いになるそうだ。一時、フィリピンには語学専門学校も含め、8万人の留学生がいたといわれるが、2005年当時、退職庁にも小さなお子さん連れの韓国ママ達が退職ビザの申請に列を成していた。   2歳半のKIANが通う保育園には、2歳~4歳の幼稚園前の子が通うが、ここでもなんとすべて英語なのだ。KIANにとっては英語でもタガログ語でもまだまだ片言しか話さないから、関係ないのだが。彼の第一言語は英語、そして2番がタガログ語、3番がビコラノ(家族の出身地の方言)、そして4番目が日本語だ。  意外と思うかも知れないが、フィリピンでは小学校から授業は国語と社会をのぞいて、全部英語で行われる。英語の授業ははもちろん英語だが(日本では英語の授業もほとんどの部分は日本語でやっている)、数学や理科も全部英語だ。だから、フィリピン人は、ハイスクール(日本の中学校相当だが、現状4年間)を終えるころには皆、英語に堪能なバイリンガルに育つ。  韓国ママ達は、小さい子はインターナショナル・スクールに通わせ、大きい子は英会話学校に通わせて英語の特訓を受けさせる。フィリピンには英語の先生なんて、はいて捨てるほどいるから、時間数百円という只みたいな金でいくらでも雇える。生活費も本国で暮らすより返って安いくらいだ。だから、小さい子は母親連れで留学し、旦那は本国で稼いでせっせと仕送りする生活だ。  こうやって国際人を養成してきた韓国に、日本は水をあけられようとしている。日本で虐待やいじめにおののきながら、内向きに暮らしてきた若者では太刀打ちができなくなってきている。企業も多くの外国人を雇い始めているが、日本人の就職戦線はますます厳しいものになってきている。ここでもしあなたの子供が、日本語と英語をネイティブとして流暢に使いこなすことができて、かつ色々な国籍の友人を持っているとしたら、どうだろう。企業からは引く手あまたに違いない。 マニラの大学の付属のインターナショナル・スクール、大学よりも金になると、海外の留学生用のスクールを併設する大学が増えている  フィリピンでは、最近、学校制度が変更され、今年ハイスクールに入学する生徒から、従来4年で卒業していたものが、4年+2年で大学に進学することになり、日本と同じになる。従来、フィリピンのハイスクールを卒業しても、日本の大学進学の資格はなかった。しかし、今から4年後には、すべて国際基準と同等になって、フィリピンのハイスクールを卒業すれば、日本の大学の進学する道が開かれる、一方、ターナショナルスクールは、はなから外国の大学に進学することを前提としているから、現状で、ハイスクールを卒業すれば、日本やそのほかの国の大学に進学する資格が得られる。  フィリピンにおける学校の種類は、公立(学費無料)、私立(学費は有料で年間2万ペソから10万ペソ程度、1ペソ=約2円)、それにインターナショナル・スクール(学費は年間10万ペソ~20万ペソ、中には80万ペソというところもある)がある。もちろん大多数のフィリピン人は公立の学校に通うが、お金持ちは私立へ通う。有名私立の子供達は皆、有名大学へ進み、社会に出てからも学校時代に培ったコネで、社会の上層部を形成するのだ。フィリピンの大学の雄、フィリピン大学(UP)は公立だが、ほとんどの学生が私立ハイスクールの出身で、エリート教育を受けてきた子弟だ。貧乏人が小中高と公立で学び、東大に入学して、高級官僚や企業の幹部になるという構図はフィリピンにはない。金=教育=出世=金、の循環なのだ。  インターナショナル・スクールは基本的に外国人の子弟を対象にしているのだが、お金持ちのフィリピン人も通っている。特にお母さんがフィリピン人でお父さんが日本人あるいはその他の外国人の場合、ここに通わせることが多いようだ。もちろん、インターナショナル・スクールは私立校の上を行くエリート校だ。 インターナショナル・スクールには幼稚園や保育園が併設されている、まさに幼小中高一貫で、学費が高いだけに質の高い教育環境を用意している。  さて、日本人の子弟が、留学してフィリピンの学校に通うということを想定したらどうなるだろう。小学校入学前、あるいはその前後だったら、万能細胞の子供はすぐにアジャストして問題ないだろうが、フィリピンの授業はほとんどが英語で行われるので、小学校も高学年になると、英語がかなり達者でないと授業についていけない。さらに、ハイスクールともなれば、ほとんどアメリカ人と同等の英語力を有しているので、そのままでキャッチアップすることはまず不可能だ。  インターナショナルスクールの場合は、授業はもちろん英語だが、新規にフィリピンにやってきた生徒は必ずしも英語は達者ではないので、補習授業をマンツーマンで十分な語学力がつくまでやってくれる。子供は学習能力が優れているので、数ヶ月で通常のクラスに編入できる子も多いそうだ。  フィリピンには大小のインターナショナル・スクールが数多くあり、学費が一般の私立校に比べて高いだけに良好な教育環境を提供してくれる。新規にやってきたお子さんは、そんな事情からインターナショナル・スクールに入学させるのが良い。入学手続きについて、日本の学校から成績表をもらってくること、フィリピンに滞在する資格(フィリピン国籍か就学ビザなど)を取得すること、後は簡単な面接と入学申込書に記入して提出するだけだ。 […]

フィリピンで子育ての勧め 2012年10月24日