ロングステイ財団主催のフィリピンセミナーに参加2009年5月24日


  518日に開催されたロングステイ財団とフィリピン観光省共催のフィリピンセミナーに参加するため日本に出張した。はじめは気楽なつもりで参加を申し込んだところ、ロングステイ財団にしっかり抑えられて、講演「フィリピンの退職者査証について」、相談コーナー、パネルディスカッションのパネラー、そして番外のロングステイアドバイザーを対象とした勉強会と、ほとんど息の継ぐ間もないほどのスケジュールとなってしまった。

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ロングステイ財団事務局長、根崎さんの挨拶

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フィリピンでロングステイヤーを対象としてビジネスを展開する賛助会員の出展準備、右の写真は介護施設アモーレの里を経営する岸田さんと賛助会員の古堅(フルゲン)さん(左)

CIMG8530s-4賛助会員でアンヘレスにペンション「フレンドシップクラブ」を経営する根本さん

 退職ビザの概要はどこのHPでも見れるが、いざ実際にビザを申請しようとすると、色々判らないことが出てくる。今回の講演及び勉強会ではそのような部分にスポットを当てて解説したが、以下にその原稿を公開する。

フィリピンセミナー

退職ビザ手続きに関するFAQ
2009
518日 志賀和民

1無犯罪証明書の取得について
 現在、無犯罪証明書については従来のNBIクリアランスだけでの申請認められておらず、日本の県警で取得する必要があります。県警に申請するとき、パスポート、住民票、戸籍謄本のほかに、無犯罪証明書の使用目的を示す証拠として、記入済みの退職ビザ申請用紙の提出が求められます。

 さらに、本来、この無犯罪証明書を外務省、フィリピン大使館に持っていって認証してもらわなければなりません。しかし、この認証は大変な手間を必要とするために、PRAは、後付で提出するという約束(Affidavit of Undertaking)とNBIクリアランス及び無犯罪証明書(未認証)の提出でビザを発行しています。これはPRAが入管の要求に対して行っている苦肉の策といえます。なお、無犯罪証明書は開封すると無効になるので気をつけてください。

 交通違反や軽微な事件等で警察に厄介になったことがあったとしても、送検されない限り、無犯罪証明書への記載はされないそうです。また、長期間経過した軽微な事件も時効で記載されないそうです。もしそのような身に憶えのある方は、申請時に県警に問い合わせてみてください。

2.チケット(日本~フィリピン)について
 フィリピンに入国する際、事前にビザを用意していない場合は、帰りのチケットか次の国へのチケットを持っていないと入国できません。そのため普通、往復のチケットを買わなければなりません。しかし、退職ビザを取得してフィリピンに入国する場合は日本への帰国のチケット持っていなくてもかまいません。そのため、ビザを取得してフィリピンに在住する場合はフィリピン発のチケットで日本と往復するのが一般的です。

 そうなると、ビザ取得後、日本で片道チケットを買って入国するか、往復チケットを買って帰りのチケットを捨てるということになります。そのため、ビザ取得のために来比するとき、帰国のスケジュールが確定できないために一番安いチケットを買って、帰りのチケットを捨てて、ビザ取得後、フィリピンから往復のチケットを買って日本へ帰国することが有利となる場合あります。ちなみにフィリピンでは格安チケットはありませんが、6ヶ月あるいは1年有効のノーマルチケットが日本よりはるかに安く買えます。ただし、往復のチケットの帰りを捨てるという行為は、やむを得ない事情がない限り認められていないので注意が必要です。ビザの発行が遅れ、滞在を引き延ばさざるを得なかったというのも理由になるのではないでしょうか。

3.ドル定期預金のための送金について
 退職ビザ取得の条件であるドル定期預金のための送金を行うために、事前にフィリピンのPRA認定銀行に口座を開設する必要があります。長期ビザをもっていない外国人はフィリピンで口座を開設することはできませんが、ビザ取得のための送金用の口座は例外的に開設することができます。PRA認定銀行の窓口で、その旨を告げてパスポートなどを提示すれば口座開設は可能なはずなのですが、窓口の担当者がそのことを知らず、パスポートのほかにACR(Alien Certificate of Registration、外国人登録証)を要求したりして、開設できないことが多々あります。

 そのため、代行業者に依頼してサポートしてもらうことが得策です。代行業者にもよりますが日本に必要書類を送付してもらい、記入、署名の上、パスポート、免許証等のコピー、写真2枚とともに返送することによりだけで開設できます。その場合、必ずしもフィリピンに来る必要はありません。また、銀行によって取り扱いが違いますが、送金のために開設した口座はそのまま普通ドル預金として使うことができて、生活費の送金、年金の受け取り口座、定期預金の利子の振込みなどにも使えます(Bank of Commerceの場合)

4.入国ビザ(21日,2013年8月以降は30日)について
 ビザの発行は準備に1週間、申請から2週間、最低、3週間フィリピンに滞在しなければなりません。入国時に3週間のビザが発行されるため、そのビザが切れていしまうことを心配する方が多いのですが、その心配はありません。実際問題、入管内部でのビザの手続きは1週間程度で行われるため、順調に行けば入国か2週間程度でビザは発行されています。ただ、準備に手間取って、PRAへの申請が遅れた場合は入国ビザの延長が必要になる場合があります。その場合も、申請時に3030ペソの延長手続き料をPRAに支払えば、代行して延長してもらえます。ちなみに入国時に50ドルを支払うと最初から59日間のビザが与えられるようになったそうです(フレンドシップツアー岩崎さんの情報)。

5.健康診断について
 健康診断はどこのクリニックで受診しても結構ですが、日本人クリニックなど慣れたところでやるのが簡単で有利です。この健康診断は本人の健康状態を云々するというよりも、他人に悪影響を与える伝染病の有無を調べるもので、一般の持病については問題となりません。よく問題になるのは結核で、過去に病歴ある場合や肺に影がある場合など、再検査で時間がかかります。また寝たきりで介護が必要な方などもビザの取得に関してはまったく問題ありません。PRAではフィリピンで介護あるいは療養するということを返って奨励しているくらいです。

6婚姻証明と出生証明の取得について
 同伴者がいる場合必要な婚姻証明と出生証明は日本から持ってきた戸籍謄本に基づいて日本大使館で発行してもらえますが、さらにフィリピン外務省に持っていって認証してもらう必要があります。それに1週間かかるので、同伴者がある場合、申請準備に3~4日、余計にかかり、滞在期間がそれだけ延びることになります。

7.定期預金の共同名義について
 定期預金はご夫婦でビザを取得する場合は共同名義にすることができます。その場合、ご主人にもしものことがあった場合、事前にビザを解約し、奥さんが単独で定期預金の解約手続きができ、しかも相続税を免れることができるので大変有利です。そうでないと、相続手続きに大変な労力を必要とし、さらに相続税(35)が源泉徴収されます。しかし、遺言を残すことにより、相続手続きは簡素化されますが、相続税はやはり徴収されます。また、フィリピン人の配偶者とも共同名義にすることができます。

8.定期預金の保証(ペイオフ)の増額について
  515日、銀行預金の保証(ペイオフ)の上限が25万ペソから50万ペソ(1万ドル)に引き上げられました。このことから、定期預金を分散して複数の銀行に預け入れることにより、預金全額を保証してもらうことが可能となりました。ちなみに5万ドルを預金している場合は5行、2万ドルの場合は2行に1ドルずつ預金すれば全額が保証されることになります。

9.年金スキームでの申請について
 単身で800ドル、夫婦で1000ドル以上の年金をもらっている場合、定期預金は1万ドルに減額されます。その場合、通常の書類のほかに、年金証書を用意して、翻訳の上、日本大使館で認証してもらわなければなりません。本来、振込先はフィリピンのPRA認定銀行でなければなりませんが、ビザ取得前に年金をフィリピンに振り込むというのは現実的ではなく、現在、振込先は日本でもビザの申請を受け付けています。なお、年金スキームでビザを取得した場合、同伴者は妻のみ、ビジネスや雇用は不可との制限がついています。  

10. 年金の受け取りについて 

 ビザ取得後、年金受け取り用の口座を開設し、年金支払い機関に申請することにより、フィリピンで年金を受け取ることが出来ます。申請には通常、日本大使館から発行された、在留証明書を提出しなければなりません。まず大使館に在留届けを提出し(フィリピンには住民登録という制度がないので、日本人にとっては在留届けがそれに代わることになります)、その後申請します。その場合、事前に住民票を居住していた市役所から抜いておかなければなりません。年金をフィリピンで受け取ると、所得税、住民税、健康保険、介護保険等の支払いがなくなります。

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