豆辞典 庶民の銀行 ポーンショップ(質屋)


ポーンショップとは質屋のこと。日本では見かけることがほとんどなくなった質屋だが、フィリピンでは街の至るとことに看板を出し、庶民の強い見方となっている。ポーンショップは基本的には質屋と全く同じシステムで、貴金属を価格の60%程度で担保として引き取り、月々5% 程度の利子を課す。利子を払っている限りは、毎月更新できるのだが、利子が途絶えると、質草は流されてしまい、ポーンショップの組合に売却されてし まう。ポーンショップで預かってくれるのはほとんどが金だ。時計、バッグなどは贋物が横行するフィリピンでは預かってもらえない。しかし店によっ ては家電製品などまで預かってくれるところもあるそうだ。

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フィリピン最大のポーンショップチェーンのセブアナ(バクラランにて)

基 本的に預金はしない、あるいはできない、宵越しの金はもたない、現金をためることに罪悪感さえ覚える、というのがフィリピン人の気風だから、なにか病気 になったり、まとまった金が必要な時、ポーンショップを頼りにするしかない。そのためフィリピン女性はやたら金製品をほしがる。簡単に換金できる貯金 のようなもので、それでいて普段は装飾品になるのだから、現金よりも活用範囲が広いというわけだ。したがって、女性と親しくなると、すぐに金のネックレ スやブレスレッドを買って欲しいとせがまれる。しかし、しばらくすると、ポーンショップにあるので、それを引き出すのに金が要ると言い出す。早く引 き取らないと毎月利子が嵩んでもったいないというのだ。そのため、同じネックレスを何度も買いなおしてやるという、馬鹿馬鹿しい羽目になってしまうす。

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第2位のタンブンティンポーンショップチェーン(エルミタにて)

ポーンショップは一坪程度の店さえあればすぐに開店できる。100万ペソほどの資金で、しかも毎月5% 程度の利回りになり、かつ担保があるので、リスクがない、とても魅力的な商売のように見える。しかし、実際のところ、盗品や贋物をつかまされることが多 く、それなりのリスクはある。ある程度リスクを負わないと客がつかないので、どんどん金を貸しているとすぐに資金が底をついてしまう。それなりに なかなか難しい商売のようだ。

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24時間営業は夜の蝶へのサービスか(エルミタにて)

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格安利子、3%を売り物にしている、店の前にはショットガンを持ったガードマンが控える(エルミタにて)

これだけ盛んに利用される庶民の銀行(ちなみにIDカー ドを持っていない、すなわち会社勤めをしていない庶民は銀口座さえ開くことができない)のようなものだから、開店のためのセミナーがあり、そこでは金の 見分け方を徹底的に仕込まれる。金製品の価格の査定が命綱だからだ。セブアナあるいはタンブンティンあたりが大手ポーンショップのチェーンで、街 のいたるところに看板をだしている。両方とも中華系フィリピーノがオーナーだ。

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少々立派なセブアナポーンショップ(エルミタにて)

このように街のいたる所にポーンショップがあり、簡単に金製品を現金化できるためにひったくりが横行する原因にもなっている。庶民の味方のポーンショップは同時に庶民の敵としても機能しているわけだ。

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