最 近はアメリカ式のファーストフード店である、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ジョルビー、チョーキン等が全国制覇を果たした感があり、地方都 市でも一等地に大きな看板をかかげて、多くの客を集めている。しかしながら、フィリピンはもともとファーストフードの老舗で、フィリピーノ向けの食堂あ るいは屋台はほとんどがファーストフードなのだ。
トロトロの原型、道端の屋台、なべの中に作り置きの料理がある
ト ロトロといわれるこれらの店は、あらかじめ作り置きした惣菜を客がこれとこれ、と指差して、店の人がお皿に盛り付けて渡す。ご飯は別途ですがお代わり 自由の店もある。この指し示す行為をタガログ語でトロトロというのだ。日本や香港あるいは東南アジアの屋台といえば、注文に応じてその場で料理して 出してくれるのが普通だが、フィリピンではそのような店は見当たらない。
トロトロレストランが並ぶタガイタイのマホガニーマーケット
マ カティ市の中心地でもトラックの荷台を改造したトロトロに昼食をとるサラリーマンが殺到している。メニューは数種類から十数種類に限定されているのだ が、早い、そして安いので、ほとんどのフィリピン人の外食はトロトロということになる。安さの秘密は、その日のメニューにあわせて食材を調達し、それ を全部売り切ったら店じまい。だから、食材の無駄がまったくないのだ。
トロトロの典型
ト ロトロの形態は、トラックを改造したもの、道路わきの固定スタンド、軒先にテーブルと椅子を並べたもの、ちゃんとしたレストラン形式のもの。そして、どこ のデパートにもあるフードコートと呼ばれるトロトロの集合だ。フードコートは数十件の店が数百の客席を囲むように壁に沿って並び、客は好みの店から料理 を買って、共通の客席で食べるというものだ。
SMマカティのフードコートの入り口
フードコートの内部は広々、清潔
トロトロの食事は50ペソから100ペ ソ程度で一食が済むように設定されており、庶民の強い味方となっている。特にデパートのフードコートはいろいろな種類の食事を楽しむことができるので、 人気がある。カマヤン等の有名フィリピーノレストラン、中華、果ては日本食まで出店しているので、選ぶのに一苦労する。
壁に沿って数十件のトロトロが並ぶ
品数は豊富、一食39~59ペソと格安
私はかつて屋台のトロトロは決して利用しなかった。なにしろ水道がないから、一体使用済みのお皿をどうやって洗うのか、同じ水を何度も使うので、A型肝炎等の伝染病が怖かったのだ。しかしながら、当局の指導が行き届いたせいか、最近はプラスティックの袋を利用し、決して素手で食物を触ることもなく、お皿にもプラスティックをかぶせて食物を載せるようにしているので、安心して利用できるようになった。
道端の果物売り、これもトロトロのうち? |