マカティの東、元フィリピンの軍事施設だったフォートボニファシオには第2次世界大戦で戦死したアメリカ軍の墓地、アメリカンセメタリーがある。そこには推定4万人の兵士のなきがらが眠っているが、整然と並んだ白い十字の墓標は墓地というよりも、庭園のようでマニラで一番美しいともいえる景観をなしている。訪れる人もわずかで、マニラの真ん中にこのような場所があるとは信じがたい感がある。
入り口からセメタリー中央を望む
セメタリー中央から建設中のボニファシオグローバルシティを望む
ボニファシオの高級コンドミニアム群
墓地の中央には祈りを捧げるためのマリア像が置かれ、それを基点として直径100m位の円形の白い回廊が建っている。そこには安置されている兵士の名前と出身地が刻まれているが、円形回廊の端にはいくつかの部屋があり、そこには、日米海戦の模様がモザイクタイルで描かれている。戦後生まれの私にとってもなかなか興味深いものだ。
戦死者の氏名を刻む白い回廊
祈りを捧げるマリア像の部屋
日米海戦の歴史をつづるモザイク
戦死した米兵の名前が累々と続く
フォートボニファシオは1990年代 の末、大規模な国際競争入札の末、民間に払い下げられ、開発が急ピッチで進められている。マカティのすぐ北に位置する好立地から、高級コンドミニアムや マーケットマーケットというモールが建設され、多くの人々が訪れはじめている。その周囲はダスマリャネス、フォルベスパーク等の高級ビレッジあるいはマ ニラゴルフやマニラボロクラブがあり、環境としても申し分ない。いずれ、ビジネス街としてもマカティに継ぐ発展が期待されているが、このような都心に広大な用地があるということは、日本では到底考えられないことだ。それだけフィリピンは発展の余地が大きいといえると思う。
セメタリーとビル群の対比が独特の景観を作っている
セメタリーの周りは新開発の高級住宅
セメタリーの後方はタギグ市、火炎樹が映える
巨大モールのマーケットマーケットの遠景
フィリピンでもっとも近代的な街並みが形成されつつあるボニファシオの中央に位置するアメリカンセメタリーは、そのまま永遠に残され、第2次世界大戦の記憶を永遠に刻み続けるだろう。
壁に記載された碑文
白いカラチュチの花はお墓につき物
中央の庭園はよく手入れがされている