12月17日は先日、デラ・ホーヤとの世紀のミスマッチといわれた試合に勝ったフィリピンの国民的英雄マニー・パクヤオの30歳の誕生日だった。テレビに放映された誕生日を祝う様子はまさに国家的行事だった。故郷ゼネラル・サントス市で開催された誕生パーティにはアロヨ大統領を初め、上院議員、パクヤオと試合を行なった元世界チャンピオンなど2000人を超える人々が招待された。会場はラスベガスを模した舞台がしつらえられ、ショーもラスベガススタイルだった。さらに会場がから1.5kmはなれた一般人の会場では誕生会の模様がモニタースクリーンに映し出され、5千人を超える人々が、レチョンを初めとする無料の料理に群がった。スポンサーであるサンミゲルビールからは大量のビールが振舞われ、くじ引きの一等賞は家一軒という豪華な景品が出たそうだ。
パクヤオはゼネラル・サントス市の貧しい家庭に育ち、少年時代サリサリストアから借りたパンを食べ、ボクシ ングの試合に臨み、賞金でその代金を支払ったという。その後、パン職人として生計を立てながら、世界チャンピオンへの道を歩んだ。まさにアメリカンドリー ムを成し遂げたゴールデンボーイだ。
パクヤオは50人にのぼるメイド、ドライバー、ガードマンなどを雇い、フィリピン人の雇用に寄与しているという。もっぱらラスベガスで試合を行い数百万ドルという外貨を稼ぎ、それを多くのフィリピン人にばら撒いているというわけで、おおいに結構なことだ。かつての独裁者のように国民を搾取してそれをスイスの銀行に溜め込んでいたことなどと比べるとはるかにフィリピンに寄与していることになる。フィリピンの人気テレビチャネルABS-CBNのアナウンサーの質問に答えるパクヤオもその顔を見るとその辺のフィリピーノとなんら変わらないのだが。
パクヤオも多くのフィリピン男性と同じように美貌の妻の尻の下に敷かれているそうだ(フィリピンではこれを「アンダー・デ・サヤ/ペチコートの中」と表現する)。メスティーサ(白人との混血)の妻は妊娠中で現在ラスベガスに滞在中。パクヤオも誕生会のあとラスベガスに戻り妻とともに暮らし、次回の世界戦に備えるとのこと。