フィリピンでは家の中を蟻やゴキブリが闊歩するのは当たり前のことだ。ゴキブリは捕獲器や毒餌をおいて気をつければ、気にならないほどにすることはできるが、蟻はなかなか退治が難しい。私のベッドの脇のテーブルにも、ちょっと食べ物を落としたりすると、朝、目が覚めると蟻がたくさん寄ってきている。
しかし、ここに来る蟻(だと思うが)は、とても小さくて、肉眼では蟻かどうか識別できない。テーブルの上の点であって、動かなかったら埃かどうか区別がつかないほど小さい。しかし、その動きは活発で通常の蟻と同等の動きをするから、すぐわかる。
比較のために耳かきをおいて撮影したが、耳かきの先の左上と右下にいる。右は拡大写真。
前の写真と同じだが、左の写真のどこに蟻がいるかお分かりだろうか
だから、この蟻を指で狙い撃ちにしてつぶすのが日課となっている。しかし、これが気配を感じると、健気に逃げるのだ。ボールペンの点にしか見えないこの蟻に、手足があって、脳もあり、判断して行動する、なんて信じがたいところだ。また、通常の蟻の様に、出会いがしらに情報(餌のありか)を交換しているようにも見受けられる。歩く早さは秒速1~2cm、体長の10~20倍も走る。体長、約2mの人間に換算すると秒速20~40mとなる。
2匹のありが一丁前に情報交換をしている様子だ
拡大鏡で見てみると、確かに手足があって、お腹と頭のふくらみから、蟻のように見える。もしかしたら虱や他の動物かも知れないが、その行動から蟻の類と見れる。
そして夕べ、彼らが、まさに蟻である証の行動をしたのだ。私が食べたチーズの長さ7~8mmの屑がテーブルに落ちていたが、それを一匹の蟻が運んでいたのだ。しかもまるで、自分の10倍もあろうかというチーズの屑を軽々振り回しているのだ。動画がアップロードできないのが残念だが、こんな怪力は蟻以外の何者でもない。
左上に蟻がしがみついているが、このチーズの屑を振り回す様は豪快だ
彼らもどこかに巣があって、そこで共同生活をしているに違いないが、こんな小さな生き物にも組織や役割があって、一つの社会生活を営んでいるなんて、なんとも感慨深い。これから、指で狙い撃ちする代わりに餌でもおいて置いてやろうかなどという気持ちになってしまう。
のど飴を砕いておいておいたら、一時間もしないうちに大量のミニ蟻が集まってきた。今度はかなりクリアーに撮影できた。まさに社会生活を営む知能を感じさせる
翌朝、小さな蟻が見当たらず、大きめの黒い蟻が現れていた。数は少ないが、小さい蟻を駆逐してのど飴に食らいついている。大き目といっても普段見かける蟻の中では最小の部類だ。これが秒速5~10cm(人間に換算すると秒速50~100m位)くらいで走りまわってとても可愛げがない。そのため、早速、退治することにした