フィリピンでは相互扶助の精神が色濃く残っている。たとえ寝るところや食うに困っても友達の家を渡り歩いていれば何とか生きて行けるという。フィエスタ(お祭り)には知り合いの家に一族郎党で押し寄せてご馳走になっていくそうだ。パーティを開くと奥さんや恋人を連れてやってくる。彼女を食事に誘うと家族でやってきて大変にぎやかな食事になってしまう。
誰かが少し金を手にすると、親戚中の人がねだりにきてたちどころになくなってしまうそうだ。これを“籠のカニ”というそうだ。カゴの中のカニがカゴからでようと這い上がると他のカニが足を引っ張って引きずり落としてしまう、一方下のものに対してはみなで引っ張りあげてやろうとすることからきている。何か無理な事を頼むとしたら、自分が大変かわいそうな立場にあってどうしても助けが必要だと説得すると、きっと力になってくれる。フィリピーノを口説くコツだ。
食事をしているときに誰かが通りかかると必ず“カインカナ(食べませんか)”といって、自分の食べているものを勧める。これを真に受けて食べてしまうと、後でうらまれることになるから、おなかがいっぱいとか言って断らなければならない。また、レストランであまったご飯をテイクアウトして、家のものに分けるように同席した女性にあげたり、ドライバーにあげたりすると大変喜ばれる。