台風騒ぎもおさまらない29日から10月1日まで産経新聞の取材に同行してクラークとスービックを訪問した。取材の目的はフィリピンの産業振興の目玉となっているクラークとスービックの発展振りを報告するものだが、特に基地の返還前と返還後の人々の暮らしぶりの変化に着目して記事をまとめたいとのことだった。
クラークでは有竹さんという方が、取材に協力してくれた。有竹さんはクラークの主のような人で、クラーク開発庁CDC(Clark Development Corporation)やクラーク国際空港公社CIAC(Clark International Airport Corporation)の多くのスタッフと親交があり、今回も空港内の取材やいろいろな方との面会をアレンジしていただいた。なお、有竹さんはクラーク内、Parade Groundsの真正面にカフェ・メサというしゃれたレストランを経営する傍ら、元米軍将校の住宅を改造して30棟ほどの貸家も経営しておられる。カフェ・メサはウエイトレスが皆八頭身美人ということで有名なので、クラークへ行ったら是非覗いてみてほしい。
クラーク内にある博物館にはクラーク基地の歴史にまつわる写真や展示品が並べられているが、中でも目にとまったのが若き日のアロヨ大統領の写真だ。60に近い現在もなかなかの美形を保っているが、若いときは大変な美人だったようだ。
クラークの歴史そして全容を知るには最適で、開発の経由やクラークの計画図が掲示されていて興味深い。(画面をクリックして拡大してみてください)
クラークの中心にあるのがParade Groundsという騎馬隊などがパレードをした広大なエリアだ。幅200m、長さ800m程度で、野球場が4つ程度建設できそうだ。正面の白い柱がクラークの象徴だそうで、長い間土に埋もれていたものが発見され、ここに置かれたものだ。
Parade Groundsのすぐ北に広がるのが36ホールのゴルフ場で有名なミモザだ。ゴルフ場の周囲にはもと元米軍将校の住宅を改装して賃貸している平屋の住宅が並ぶ。さらに北のフォンタナと並んでクラークのレジャーと生活の中心となっている。5つ星のホテル、ホリディインもある。(写真はCDCのガルベツさん)
クラーク国際空港は正式には、元大統領でアロヨ大統領の父親の名をとってDiosdado Macapagal International Airport(DMIA)と呼ばれる。現状の規模はローカル空港並みだが、シンガポール、ソウル、クアラルンプールなど東南アジアの主要都市に直行便が飛んでいる国際空港で、関西空港への直行便を計画されている。将来はマニラ国際空港に代わってフィリピンの空の玄関になるそうで、クラークとマニラを結ぶ高速鉄道も計画されており、その時にはもう一本滑走路を建設するそうだ。
4000ヘクタールの土地を有し、いかにも広大といった風情のクラークも、もはや土地が不足しているそうで、隣接する山林を新規に開発して、数倍の土地を確保するプロジェクトがスタートしているそうだ。そこには数千人のイタと呼ばれる原住民が居住しているそうだが、その人たちの教育や職業訓練等もプロジェクトの一環として組み込まれているそうだ。
クラーク/アンヘレスの名物、フィールド・アベニューのゴーゴークラブ街へ案内した。この日も、嗜好を凝らした呼び込みが目立った。アトランティスやドルハウスは毎日出し物を変えて、とても見ごたえがある。アンヘレスを訪れる機会があったら是非立ち寄ってみてほしい。女性でも楽しめると思う。 スービックはクラークよりも10年ほど早く開発が進んでいるといえるほど、すでに繁華な街並みが形成され、ホテル、病院、モール、住宅などの新規建設も急ピッチで進められている。最近では韓国のハンジンという造船会社やコンテナヤードが操業を開始して2万人程度の雇用が新規に発生したそうだ。スービックに働くフィリピン人の数はすでに6万人程度で、それぞれが3人の家族を養っているとすると、合計24万人となり隣接するオロンガポ市の総人口に匹敵することになる。
このスービックももはや土地がないということで、周辺の地域もSBMA(Subic Bay Metropolitan Authority)の管轄する地域とすることができるという法律に基づいて拡大しはじめている。ハンジンの造船所もスービックエリアの対岸にある。(写真はSBMAのヤンバオさん)
スービックはレジャーにも力を入れており、ズービック(動物園のZooとスービックをもじったもの)や、オーシャンパークの水族館やイルカのショー、ビーチ、ジャングルトレッキングそしてゴルフ場やヨットハーバーなど至近距離に色々なレジャー施設がある。住宅、モール、ホテル建設も盛んだが、最近新たに2 つの大型病院もオープンするそうで、外国人の居住地域としてますます充実してきている。
スービックからクラークへの帰り、SCTEX(Subic, Clark, Tarlac Express Way)から眺めるピナツボ山系にかかる夕陽が美しかった。