執念のハエたたき 2012年12月30日


フィリピンに持って行った方がよいもの、と聞かれると、私は常々、「耳かきとハエたたき、それに枕」と答える。それに愛用のノートパソコンも必要だ。耳かきと枕は自分専用のものを大事に使えば10年は持つ。しかし、ハエたたきは消耗品なので、そうはいかない。

  フィリピンや日本の100円ショップで売っているプラスティック製のものは、数日も使えば、ぼろぼろになってしまう。なんといっても昔ながらの鉄網製のものでなければだめだ。日本の家の近所に昔ながらの金もの屋さんがあって、そこにおいて鉄網製のハエたたきがおいてあった。だいたい、毎年、夏と冬に一回ずつくらい日本に帰るので、夏に帰った時は、このハエたたきを大量に仕入れる。お店にあるだけ買い占めてしまうのだが、せいぜい5本程度しか置いていない。一本200円程度だったが、100円ショップのプラスティック製にものに比べて、100倍近く長持ちするから、少しも高くない。しかし、最近、その店でもなくなってしまったのだ。

 マニラにいる限りは、ハエもほとんどいないので気にならないが、農場は、やはりそこそこのハエがいる。蚊がほとんどいないのは幸いなのだが、このハエ一匹で、食卓が台無しになる。以前から、ハエが多いのは周辺を不潔にして、ごみがあるからだと、五月蝿く(うるさく)言い続けてきた。でも多少のハエは、こまめに退治するしかない。

ここ、一年ほど鉄網製のハエたたきを買ってきていないので、農場にまともなハエたたきが無くなってしまった(上の写真は長兄ダシンの家で、未使用のものを見つけて、もってきてくれたもの)。そこで、今回は農場に半月も滞在するので、とても我慢できまいと、マニラで躍起になって、ハエたたきを探しまわった。

 マニラの家で使っていたのが下の写真のハエたたきで、柄はプラスティックだが鉄製の網を使っている。これはフィリピンの100円ショップチェーンの日本城で買ったものだそうだ。しかし、網のふちが少々切れていたので、新しいものを数本買おうと思った。

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 日本城(Japanese Home Center)とサイゼン(日本の100円ショップ、ダイソーの子会社)を当たったが、両方ともなかった。さらに、たまたま家の修理に来ていた職人(ウベット)に手作りで作らせようとしたが、時間切れとなってしまった。

 ジェーンの弟のボボイに聞いてみると、農場のあるタバコ市にいくらでも売っていると自信を持って言い切る。それに最後の望みをかけて、壊れかけのハエたたき一本を抱えて飛行機に乗った。案の定、件のハエたたきは数日で実用に耐えるものではなくなった。

 そこで、今度はタバコのファーム・ハウスで窓に昆虫よけの鉄網を窓にはっていたウベットに修理を依頼した。新しい鉄網を張り、その周りをエポキシで固め、大分頑丈そうな出来栄えに満足。これなら、1年くらい持ちそうだ。今度、同じものを日本城で見つけたら、まず、周囲をエポキシで固めて丈夫なハエたたきを作って農場に供給しようと決意した。

ボボイによると、タバコにいくらでも売っているはずの鉄製のハエたたきだが、到着早々長兄ダシンの奥さんのノーマに聞いたら、そのなものはタバコ市にはないという。後から、ボボイに念を押すと、「プラスティック製のものはいくらでもある」という。そんなものは初めから問題にしていない。彼にしてみれば、ハエがいるのは当たり前の話で、ハエ、一匹に大騒ぎする方がどうかしていると思っているのだろう。だからマニラでは、その場しのぎのいい加減なことを言ったに違いない。

 ところで、何故、ハエたたきは網でなければならないのだろう。プラスティック製にしても、網の部分がプラスティックだから、壊れやすいだけで、構造的には同じだ。もし、プラスティックか何かの薄い板だったら、そう簡単には壊れないのではないだろうか。

 それは違う。もし、ただの板で、ハエをたたいたら、うちわの原理で、風が発生する。その風がハエを押し出してしまい、ハエをたたくことはできない。風は通すが、ハエはしっかりキャッチする、すなわち、テニスなどのラケットのように、ハエたたきは網製でなければならないのだ。

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