今回、日本在住のご家族が12、10、2歳の3人のお子さんを、フィリピンで英語を自由に操る国際人として育てたい、という計画を持ち、そのための視察ということで案内をした。
新興都市として発展がめざましいボニファシオ・グローバル・シティの一角に外国人子弟が多く通うインターナショナル・スクール・マニラ(ISM)、ブリティッシュ・スクール・マニラ(BSM)、マニラ日本人学校(MJS)などがある。
新興ビル群の間を抜け、セント・ルークス病院、STIコンピュータースクールの前を通り、マーケット・マーケットの手前を左に折れたところがこれらの学校街だ。
まず、目に飛び込んでくるのが ISM。その規模と近代的な概観に圧倒される。1990年代にマカティのマカティ・アベニューから移設したものだが実際に見るのは初めてだった。校庭では 金髪の子供や色の黒い子供など世界各国の子供達が運動をしていた。ちなみに生徒数は2000人に達するが、授業料も年間150万円前後と超高級だ。学年は 小、中、高、4-4-4制で合計12年、日本と一緒。幼稚園もある。メトロマニラにはISMのほかにもBrent ISM(ラグナ)、Southville IS(パラニャケ) Britesparks IS(ケソンシティ)などいくつかのインターナショナルスクールがあるが、授業料はISMより安めのようだ。ISは教育環境といては理想的だが、高額の授 業料は個人として負担するには限られた人以外は難しいだろう。なお英語を覚えるまでの間はESLクラスという特別クラスで授業を受けることができる。
左に見えるのがBSM。規模は不明だが、授業料はISと同等だそうだ。その次がMJS。少々規模的には劣るが立派な外観だだ。
この日は飛び込みで担当者に面会した。午後しか受け付けないといわれたのだが、ご家族が門の前に来ているとなれば、会わないわけにも行かないだろう。ここ は主に駐在員の子弟が数年間学ぶところで、いずれは日本へ帰国して学校に戻れるようにすべてのシステムは日本式に運営されている。学費は月々1万ペソ程 度、寄付金が一世帯あたり2000ドルで決して賄えない金額ではない。しかし企業の駐在員の場合は本社の資本金によりかなり高額の寄付金を取られる。
1990年代の終わり、マニラ日本人学校の移転計画を進めるために、企業に高額の寄付金が割り当てられたのを記憶しているが、確かに立派だ。当時は 800人程度の生徒がいたそうだが(ガードの話し)、現在は200名程度の激減しているという。これはリーマンショック以降の日本企業の縮小によるもの だ。案内した奥さんは英語を覚えるためにわざわざフィリピンに来るのに、ここに通ったのでは日本にいるのと一緒で意味が無いと、興味を失った模様だ。
インターナショナルスクールや日本人学校以外にフィリピンの有名私立校に入学させるという選択がある。授業料は年間10万ペソ前後、フィリピン人にとって 見れば、かなりの高額だが、日本の私立よりもかなり安い。英語の特別クラスや聴講生という制度など、まだ英語がよくできない子供のためのシステムもある。 ちなみに公立の小学校、高校は無料、普通の私立でも授業料は年間2万ペソ程度だ。
今回はアヤラアラバン ビレッジのデ・ラ・サールとダスマリニャス・ビレッジのサン・アガスティンスクール(いずれも有名私立校)を覗いてヒアリングしてみたが、外国人の子弟も 多く通い、今回訪問のご家族には最適と判断される。高級ビレッジの中にあるのでセキュリティも万全だ。また、学校のあるビレッジあるいは近くのビレッジや コンドミニアムに住めば、居住環境も問題ない。
ただし、フィリピンの学校は6-4制で、日本の中学と高校が一緒で4年しかないために、ここの学校を卒業しても日本の大学受験の資格はない。だから大学までフィリピンで教育を終えるという覚悟が必要だろう。
注;2015年現在は教育制度が変わって、フィリピンも小中高で合計12年となり国際基準に合致して、この問題はなくなった。