豆辞典 マネーチェンジャーの賢い利用法


フィリピンではマネーチェンジャー(両替商)が 公認されている。これは銀行による両替が口座を持っている必要があるので、ブラックマーケットと呼ばれる闇市場で通貨の交換が行われており、それが公認 されている。マニラ首都圏、特に海外からの観光客が集まる下町のエルミタ等ではやたらマネーチェンジャーの看板が目立つ。商品がないわけだか ら、運搬や在庫、陳列などのややこしいことがなく、多少の利ざやでもいい稼ぎになるのだろう。場所も畳み一畳もあればできるので、雨後のたけのこのよう に開店したようだ。

通 常ドルや円の外国通貨をフィリピン通貨ペソに交換するわけだが、たまにはその逆をやってくれるところもある。海外旅行などでドルが必要なとき、あるいはペソがあまったときにに利用 される。フィリピンではペソを外国通貨に交換する場合は、正当な理由が必要で、輸入した商品の決済、外国か らの投資に対する配当の支払い、旅行費用等々に限定される。基本的にフィリピンの蓄財を海外へ持ち出すことはできないので、このようなブラックマーケットが必要なのだ。ペソをドルに換える両替商は少ないが、マカティスクエアは小さいながら融通の利く店があってトラベラーズチェックさえも扱っている。まとまったドルや円が必要なときも使える。

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レートが良いので評判のSanry’s両替商、マカティに数店営業している

マネーチェンジャーには組合ないし胴元があって、ほとんどすべてのマネーチェンジャーが集めたドルや円を買い上げている。マネーチェンジャーはこの組合の交換比率と客への交換比率の相違で利益を上げるわけだ。この比率の差はせいぜい1~2%だが、店の営業方針によって異なり、それが交換比率のいいところと悪いところの違いになる。しかし、元が一緒だから、そんなに大きな差にはならない。しかし、交換比率のよいことで有名なエルミタのある店や、ランドマークの店では独自の交換ルートを持っているそうで、一般の店では提供できない交換 比率を提供しているそうだ。

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交換レートの良いことで評判のエドセン、マビニ通りにある

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エドセンの隣のチボリもレートが良い

エ ルミタのようにマネーチェンジャーがひしめいている所では、競争に打ち勝つことは容易ではない。そのため、客をまるでマジックのようにだまくらか して、利益の向上を図ることが日常的に行われている。私の友人がやられた手口は、交換比率が大変よいのでこの際にと手持ちの円全部を交換したら、なんと 全部200ペ ソ札でよこした。大変な枚数で数えるのも億劫で、そのまま店を出て、近くのカラオケでよく数えなおしたら、半分くらいしかないというのだ。たしか に目の前で店の人が数えたときは確かにあったように見えたのだが、それがマジックで、はじめはちゃんとあっても、どこかへ隠してしまうのだ。

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エルミタにひしめくマネーチェンジャー

カラオケのGROに話したら、それはけしからんということになって、店の若い者が件のマネーチェンジャーでかけあってくれて、8割ほどは取り戻すことができた。もちろん戻ったときはすでにマジックをやった店員はおらず、別の店員が何も知りません、すみませんと対応したそうだ。どうもこの辺のところは茶番のようで、はじめから半分取るつもりはなく、文句を言ってきたら、8割は返すという筋書きになっていたのだろう。この手の話は、よく耳にするが、異常に交換比率の良い店は間違いなくこのようなトリックをする店と思っていいだろう。

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写真と本文は関係ありません

ま た、エルミタ等で大量の両替をすることはきわめて危険だ。店の人間が誰かに通知して店の外でホールアップをするよう手配することがあるそうだ。その場 合は、銀行でマネージャーと相談すれば、マネーチェンジャーとの取引を仲介してくれる。銀行から引きおろしたドルをマネーチェンジャーがペソに交換して ペソの口座に振り込んでくれるのだ。数十万円あるいは数百万円を交換する場合は是非この方法によってほしい。銀行の交換比率よりもかなり良い比率で、 しかも安全に取引ができる。

と ころでこれらの両替商のレートは銀行よりもかなり良く、公定レートに近いレートで両替しており、薄利多売といえる。両替は代えるたびに手数料を取られる ので、日本でドルを買って、フィリピンでドルをペソに代えるというのは愚の骨頂だ。円をそのまま持って来て、両替商でペソに換えるのが最も有利だ。最 近成田空港でもフィリピンペソを扱っているが、交換レートはフィリピンの両替商にくらべてはるかに不利なレートだ。ちなみに2008年1月20日の レートは、円からペソが1ペソ=3.11円、ペソから円が1ペソ=2.11。往復で1円の違いだ。ちなみに1万円をペソに替えると3110ペソにな り、その3110ペソを円に替えると6,562円にしかならないというわけだ。当地であれば、1万円が3,800ペソくらいになっていたはずで、円に戻したら9700円くらいにはなっていたはずだ。

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