マニラではコンドミニアム・プロジェクトが目白押し 2011年1月28日(2014年2月1日改定)


2014年2月1日追記

3年前、コンドミニアムの建設ラッシュについて報告した。これらは投資マネーの流入によるもので、実需を伴わないバブルの兆候ではないかと警鐘をならした。そして3年たった今、それらのプロジェクトが完成し、入居開始となっているが、賃貸用の空室が大半を占めているようだ。一方、コンドミニアム建設の槌音は相変わらず衰えないが、空き地のまま着工を見合わせているプロジェクトも目立ってきている。かつて隆盛をほこった販売エージェントも売れ行きが鈍化し苦戦しているようだ。

2014年1月11日のマニラ新聞の一面では、「不動産投資評価で躍進」と題し、アジア太平洋域内23都市の不動産投資・開発の見通しに関する報告で、マ ニラ首都圏は東京、上海、ジャカルタに続く4位となり、前年の12位から大きく順位を上げた、と報じていた。さらに、コンドミニアムや商業用施設では域内一 位、オフィス物件では2位にランクされたそうだ。一方では小見出しで「バブル予兆裏付け」とも位置づけていた。

今は、こんな風にはやし立てられているが、皆が皆、儲かるといい始めたらもはやピークで、あとは下るしかないのが、バブルというやつだ。販売エージェントは相変わらず、いいことだけを並べ立てているが、尻に火がつき始めていることは、百も承知の上だろう。フィリピンあるいはマニラに暮らしているものにとって、現在のコンドミニアムの相場がいかにきちがいじみているか、火も見るよりもあきらかなのだから。

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完成間近のSMDC開発の巨大プロジェクトJAZZ、マカティ最大の商業、コンドの複合プロジェクトだ

以下、2011年1月28日記載

今マニラは、まさにコンドミニアムの建設ラッシュだ。マカティだけでも数えられるだけで20件、計画中のものまで入れれば30件はくだらないだろう。したがって、マニラ全体では100件を下らないだろうと予測される。作るからには売れる見込みがあるわけで、この旺盛な需要は一体どこから来るのだろうか。一昨年の9月のマニラの北、マリキナを中心とした洪水に懲りて、冠水の心配の無いコンドミニアムに需要が集中しているという理由だけでは説明がつかない。海外出稼ぎフィリピーノ(OFW)が買っているというが、それにしても限度があるだろう。

CIMG0188-small(高層化から取り残された感のあったパサイロード付近は今、高層コンドミニアムの建設ラッシュ。写真に写っている高層ビルのすべてが建設中のコンドミニアムだ)

CIMG0937-small(スカイ・ウエイから眺めたマカティ市。ここ十数年の間に見違えるように高層化したが、右側にとりわけ目だっているのがアヤラが開発した最高級コンドミニアム、ザ・レジデンス・グリーンベルトだ)

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(カティの北の新興都市、ボニファシオ・グローバルシティは、かつての国軍の基地が民間に払い下げられ、ここ10年で出来上がった近代都市だ。右の写真はボニファシオの中心街マーケットマーケットの前にアヤラが開発中のコンドミニアム群のセレンデラで、数十棟のコンドミニアムが建ち並ぶ)

アヤラ、フィル・インベスト、メガ・ワールド、シティ・ランド、フェデラル・ランドなど老舗のデベロッパー以外に、デパート・チェーンのSMやロビンソン、建設会社最大手のDMCI、果ては食品業界の巨人サンミゲルなどもこのコンドミニアムの開発に乗り出している。まさに作れば売れる、売れるから作るの様相を呈しており、儲かりそうだというので、猫も杓子もコンドミニアムの開発に乗り出しているようだ。

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(ソンタモとパサイロードの交差点近くに開発中のBEACONのユニットは25~50平米と小型で、価格は10万ペソ/m2程度。一棟目の骨組みが完成した時点で、すべて売れきれ、現在は2棟目を販売中だ)

 一説には、中国の不動産投資は一段落し、当面大幅な上昇は望めない、だから次は東南アジアだ、ということで投資マネーを呼び込んでいるというのだ。プレ・セール(計画中の物件を購入すること)の物件を購入して、完成したら転売して、数割の投資利益を得ようというつもりの投資家が多いようだ。しかし、それに対して実需が伴っているのだろうか。毎年、数割も値上がりして高値になった物件を買って実際に住む人がどれだけいるのだろうか。古くは日本でも1990年代の初め、バブルがはじけて、それから長いこと不動産の需要が低迷した。最近でもドバイで同じことが起こった。アメリカの景気の低迷も、しかりだ。

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(パサイロードの北のはずれ、マカティアベニューとの交差点、モール街のグロリエッタの至近距離という一等地に開発中のラッフルズ・レジデンスは好立地を生かしてホテルとコンドミニアムが一体化した複合施設になる予定だ)

それにしても、3年前に出版した拙著「金なし、コネなし、...」では平米単価が3万から6万ペソと報じた。その後、5万から10万ペソとなり、それが最近は10万から20万ペソくらいになってきているというのだ。この数年間ですでに3倍近い値上がりしたことになる。しかし、これが本当の相場なのだろうか。きっと海外の投資家を呼び込むための業界の単なる歌い文句に違いない。業者が海外の投資家に高値で売りつけ、建設中にもすでに値上がりしているとして、さらに高値で転売させる。上がるから買い、買うから上がる構図が続いているようだ。しかし、これは投資家の間で取引されているだけで、自分が住むために買う人は少数ではないか。実需が伴わない価格の高騰はまさにバブルで、そんなバブルはいつかははじけるもので、投資家は一斉に資金を引き上げるだろう。そうしたら最後にババをつかむのは誰かということだ。その後は、建設途中で頓挫したビルや住む人のいない高級コンドミニアムがマニラ中に溢れれだすに違いない。

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(マカティの北側、ジュピター沿い、PLDT(電話会社)の跡地、マニラ南墓地のとなりに開発中のJAZZはかのデパート・チェーンの巨人、SMの開発で6棟の高層コンドミニアムとモールの複合施設になる予定で、完成したらこの付近の様相が一変するだろう)

 そもそもこんな高い物件ではフィリピン庶民では手が出ない。外国人投資家が割安感から買っているのかもしれないが、所詮フィリピンの物価、生活水準を知らない外国人のやることだ。フィリピン人にとって50m2くらいの小さな住まいに500万~1000万ペソ(1000万円~2000万円)を支払うなんて気違いじみている。私の「日比物価10倍比較論」によると、この価格は日本で買うとすると5千万円~1億円相当となり、すでにかなり割高だ。実際問題、一般庶民の住居に対する予算は100万~200万ペソ(200万円~400万円)がせいぜいで、この予算でカビテやラグナのマニラ郊外で 50m2100m2の土地付の低所得層用の住宅を手に入れることが出来るの(最近はちょっと値上がりしているかもしれないが)。

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(とインターナショナル・スクールの跡地、マカティ・アベニューの繁華街の南一帯は高層コンドミニアムの計画が目白押しで、マカティの中心のサルセド・ビレッジやレガスピ・ビレッジのようになるのは時間の問題だ。ここにはフィリピンで一番高くなる75階建てのコンドミニアムの建設が開始されている

ちなみに最近私が引っ越した家(コンドミニアムとして登録されたタウンハウス)は、マカティの一等地ではなくはずれにあるが、築15年、200m2 400万ペソ(800万円)だった。平米単価は2万ペソ(4万円)にすぎない。ただし、現状の相場では600万~700万ペソだそうで、かなりお買い得だったらしい。最近のコンドミニアムは建設コストや相場の上昇により、ユニットはより小さくなっており、こんな大型のコンドミニアムは影を潜めている。だから、大型になるほど平米単価としては割安で、50平米くらいの物件だったらこの辺でも5万~7万ペソ/m2位はする。それでも50m2の物件で、300 万ペソ(600万円)前後で、マカティの中心街の物件の2分の一から3分の一程度だ。

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(カティ・アベニューからブルゴス・ストリートを北へ行ったところ、発電所の跡地に開発され、高級コンドミニアムの代名詞になっているロックウエル地区も依然として開発の手が休まらない。さらに数棟のコンドミニアムが建設中でマカティでも最高級ブランドの地位を維持している) 

 こんなバブルの様相を呈しているときにプレ・セール( 計画ないし建設中の物件を購入すること)の物件を買うのはいかにもリスクが高い。一方、出来上がったものはいかにも高値だ。だから、実際に自分で住むのであれば、多少古くてマカティの中心街から外れで投機のお金が回ってこず、異常な値上がりの嵐に巻き込まれない中古物件や郊外の物件を買ったほうが賢い。ちょっと古さと不便さを我慢すれば、まさに安全・確実・格安な物件を見つけることが出来るだろう。

 同じ5百万~1千万ペソも出すのであれば、私のように大型のタウンハウスを買うのがよい。4LDKでトイレが4つもある旧式の住居だがとても住みやすい。最近の標準的ユニット50平米よりも200平米の方が同じような価格だとしたら割り徳に決まっている。ただ、中古で広いだけにその改装や家具にに50万ペソ(100万円)程度費やしてしまったのが少々悔やまれる。

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 (他にも、マカティ市を動いていると街のあちらこちらに高層のコンドミニアムが建築中ないし、建築の準備で囲いにプロジェクトの概要が掲げられている。今までマカティの中でも1万平米単位の空き地が目立ったが、そのすべてにツバがついているようだ)

CIMG5596-smallCIMG5594-small CIMG5593-smallCIMG5597-small  (空港の大きな看板もほとんどがコンドミニアム・プロジェクトの宣伝だ。その中でもSMの宣伝が目立つ。SMはマカティ以外でもスーキャットやタガイタイなど、メトロ・マニラあるいは郊外で多くのプルジェクトを手がけている。デパートの進出が一段落したので、次はコンドミニアムの開発のその豊富な資金を当てているようだ)

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