マス・バプティスマルとは年に一回のキリストが生まれた12月25日に行われる集団洗礼式だ。個別に洗礼式を行えない庶民が、この日、この年生まれた赤ちゃんを連れてやってくる。
この日はボボイがこの6月に生まれた4人目の子供、ジェルミーの洗礼式に出席した。中央の通りの両側の席には赤ちゃんを抱いた母親が並ぶが、その数は100人はくだらないだろう。
神父が次々と赤ちゃんの洗礼を済ませてゆくが、実質的には、先日行われたキアンの洗礼式となんら変わりはない。バプティスマルに大きなお金を使えない庶民には大きな助けだ。
教会での洗礼式のあとはそれぞれの家に帰って、披露宴だ。姻戚、関係者を招いてご馳走が振舞われる。料理はすべて長兄のダシンが作ったそうだ。
一方、2ヶ月前に無事に洗礼式を終えたキアンはタバコにやってきても相変わらず元気だ。歩行器を与えられて元気にファーム・ハウスを走り回り、多くのいとこに囲まれてやんちゃ振りを発揮している。おもちゃで遊ぶというより、周りにあるテーブルや椅子まで持ち上げておもちゃ代わりにしている。9ヶ月まで後数日の赤ちゃんのはずが、この怪力振りだ。しかしヤヤ(子守)がいないせいか、母親に甘えていることが多い。