フォート・ボニファシオ・グローバル・シティは、マニラ・ゴルフやフォルベス・パークなどの高級住宅地を挟んでマカティの東に隣接する新興都市だ。もともと国軍の基地(フォート・ボニファシオ)だったものが、1990年代半ばに民間に払い下げられた。そして2000年に入ってから急ピッチで開発が進められ、瞬く間に都市が出来上がってしまった。現在も高層ビルの建設ラッシュで、あちらこちらで槌音が聞こえる。マカティあるいはオルティガス並みの都市になるのにさほどの時間は必要としないだろう。
フォート・ボニファシオのシンボルはアメリカン・セメタリーだ。第2次世界大戦で日本と戦って死んだ兵士のなきがらが眠っている。ここだけはいくら開発が進んだとしてもそのまま残るだろう。フィリピーノの死者に対する畏敬の念は絶大だから、ここを移設するというような発想は絶対に出てこない。写真中央がアメリカン・セメタリー、その上がグローバル・シティのコンドミニアム群、遠くに見えるのがマカティのビル群だ。手前はマッキンレーの新興高級住宅街。
30ヘクタールはあろうかという広大な墓地は、墓地と言うより公園だ。周囲のビル群との対比が美しく緑がまぶしい。私はここをマニラで最も美しいところと称し、多くの人を案内しているが、当のマニラッ子は意外と行ったことがない人が多い。入場料も取られないので、少なくとも一度は訪ねてみる価値があるだろう。
中央の回廊には埋葬された兵士の名前が刻まれた壁が延々と続く。その数ざっと4万人と膨大だ。さらに中央のマリア像がある付近には、当時の戦闘の模様がモザイクで刻まれている。レイテ海戦など耳にした事のあるタイトルがついている。
ボニファシオは、マニラ国際空港(NAIA)の滑走路の延長線上にあり、ひっきりなしに飛行機が往来する。紺碧の空にフィリピン航空のエアバス(?)が飛ぶ姿は、よく空を眺めていた子供のころを思い出す。
ボニファシオ・グローバル・シティの商業の中心がマーケット・マーケットだ。ユニークな巨大な屋根を持つ、近代的モールで、経営はビサヤ地方に根拠を置くガイサノだ。モールは人であふれ、中央の吹き抜け部分から人の動きが良く見える。
巨大な屋根の下はオープンマーケットの雰囲気を醸し出している。多くの屋台が健康野菜やそれぞれの地方の名産品を売っている。その地方に旅行をしたような気分になる。
非常にゆったりとしたレイアウトで、車やバイクのの展示場などもあり、屋根の下のベンチでくつろぐ人もたくさんいる。
マーケット・マーケットの周りにはアヤラ開発の中層高級コンドミニアムのセレンドラや多くの高層コンドミニアムが建設中だ。しかし、マーケット・マーケットで買い物する人々はそこからやってくる人ばかりではなくて、タギグなどの周辺の庶民がたくさんやってきてるようだ。学校をサボって朝から晩まで冷房の利いたモールで過ごし、夜は友達と飲みに行く毎日で、挙句のはてにハイスクールから追い出されてしまう、というワルな女生徒も多くいるそうだ。
ボニファシオも病院や学校が建てられ、いよいよ都市としても機能が充実してきている。左はセント・ルークス病院。ケソンの一流病院の最新鋭病棟だ。オープンしたばかりで、現在もっとも最先端を行く病院と言える。