フィリピーノは何故、返さない、戻さない 2011年1月8日


 以前、タバコの農場にやってくるたびに携帯のチャージャーがなくなるのにいらだった。探し回ると、そのころジェーンが面倒を見ていた親戚の子が借りて 使っていた。使うのはいいが、使い終わったら必ず戻しておいてくれと何度も何を押した。しかし、私が来ないときはどうやって携帯にチャージしているのだろうと不思議に思ったものだ。このことはマニラでも頻繁に起こった。寝る段になって携帯をチャージしようとすると、枕元においたはずのチャージャーがない。そのため夜遅くジェーンやメイドをたたき起こしてチャージャーを探す羽目になる。それで、元へ戻しておくようにとうるさくいうと、戻るようにはなったものの、いつもプラグが外れたままだった。CIMG5022s-1

(モンテーロの後ろの座席に乗り込んだ従兄弟たちに囲まれてちょっとナーバスなキアン、あともう二人の従兄弟がいる)

マッ サージとメイドを兼ねていたタンとデバインが昼間、私の部屋のテレビをFMにして、仕事中、音楽を聴いているようだった。それまた結構なことなのだが、テレビがFMのままになっているのが気に食わない。私はNHKワールドしか見ないからスイッチを入れたらいつもNHKワールドが映るようにしてある。FMか らNHKワールドが映るようにするには案外手間がかかるのだ。CIMG5015s-1  (アイスとご対面のキアン。アイスがその気になれば一咬みだが、アイスは忠犬で、死んでも人を咬む様なことはしないから安心して相手をさせられる。)

 

 最近新しいメイドが毎日部屋を掃除してくれる。エアコンの位置の関係で、扇風機を併用しているが、その位置加減が難しい。メイドは掃除をするのに扇風機が 邪魔と見えて、位置を変えてしまう。だから私は毎日扇風機の位置の調整をしなければならない。メイドには部屋においてあるもののレイアウトを変えないよう にとジェーンを通じて口をすっぱくしていっているのだが、それだけは直らない。もしかしたら、ジェーンがメイドに伝えていないのかもしれないが、私として はメイドに直接文句は言わないようにしている。私が言うと、どうしても角が立ってメイドが怖がってしまうようなのだ。

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バネサ、アラインそしてバレリー、それぞれ14、10、8歳の従姉妹同士だ)。

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(ティウイの名物ハロハロ専門店に12名の従兄弟たちが勢ぞろいして出かけた。ここはハロハロだけで客が絶え間なくやってくる有名店だ)

 

  なぜフィリピーのは、人にものを借りて返さないのか、元へ戻さないのか、と相棒のジェーンに問いただした。曰く、ファミリーの中では、すべてが共有で、自 分だけのもの、自分専用という概念はないのだという。だから、子供のとき、自分の大切にしていたものを兄弟が使った、と文句を言うと、逆に利己主義な子だ と、母親にきっぴどくしかられるそうなのだ。私は一緒に住んでいるジェーンやメイドとは家族同様の関係にあるので、私のものはみんなのもので、私のものを 誰かが使ったという言うこと自体、不謹慎なのだそうだ。だからあえて戻す必要もないのだそうだ。必要なら自分で探し回るのが当たり前だそうだ。

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(ジェーンの4人の兄弟、すなわち従姉妹たちの親たちが久しぶりに勢ぞろいした)

CIMG5129s-1 (先日洗礼式を終えたボボイの子供、ジェルミー、5ヶ月とキアン、9ヶ月の対決は圧倒的にキアンが有利に展開、ジェルミーはひたすらキアンの好奇心に耐える羽目になる。)

 

 バ イブルの中にモロンという人物が描かれていて、この人は自分のものという概念が強く、バイブルの中では不道徳な人間として忌み嫌われているそうだ。ちなみ にパスコの法律顧問は苗字がモロンというので、とても恥ずかしいそうだ。

 日本では小さいときから、茶碗や箸、食卓の椅子や風呂場のタオルなど、自分用のものが決められていて、あたかも所有権のようなものがあった。また、人の ものを使うと母親から怒られた。だから家族の中でさえも自分のものという概念が強くはぐくまれたような気がする。しかし、このような性向はフィリピン人に はモロンの再来として嫌われるようだ。CIMG5323s-1 (次兄アランの娘、アラインとヤナ、二人とも将来のミス・タバコ候補と嘱望されている

  ただし、このようなフィリピン人の性向は、家族の一員の場合に言えることであって、他人の場合は当てはまらないそうだ。しかし、フィリピン人と結婚した場 合、当然のことながら新婦の家族に一員になるわけで、あなたのものは家族全員の持ち物となる。この考えは資産や預貯金にも適用され、家族の持っている資産 は家族全員のもの、すなわち娘の旦那の家は、妻の親兄弟にとっては自分たちのものになるのだ。だから、そこに住んだり、養ってもらうことに何の抵抗もな い、あるいは当然の権利として要求する。フィリピン人の家族の絆は強いというが、それは与える側の都合ばかりではなく、与えられる側の都合のほうが優先さ れることもあるのだ。家族の中では所有という概念が日本人とはまったく異なるので、フィリピンに住んでフィリピン人と暮らす場合、よほどの自己改革が必要 だろう。CIMG5356s-1

(クリスマスにタバコにやってきたジェーンの旦那のカーネルは、マニラの北方のヌエベビスカヤから娘のキム、14歳を連れに帰り、バスで3日もかけて、ようやく再びタバコにたどり着いた。ご苦労様でした。)

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(カーネルの娘のキム、遠い親戚に当たるが子供達は、皆仲が良い。)

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