フィリピン産オクラの生産現場を訪問 2010年2月9日


日本で不動産業を営む50歳のKさんが退職ビザを取得中だが、その方はフィリピンで農業を営みたいとのことなので、現場に案内した。場所はマニラの北方約120kmのターラックにあるGreenstar Produce Phils., Inc.、大渕さんが経営するオクラの農場だ。ちなみにKさんはすでに13ヘクタールの土地をフィリピン人の妻の名義で所有し、最近250万ペソで8ヘクタールの農地を購入したとのこと。なんと平米当たり31ペソ、たったの60/平米だ。

 全くの予備知識無しに出かけていったので、到着して施設の立派さに驚いた。農家というより農協だ。大渕さんから詳しい話を聞いて納得したのだが、まさにここはオクラ専門の農協だったのだ。出荷するオクラの2割は自社農園、8割は契約農家から調達し、約150ヘクタールの畑から取れるオクラを年間18万ケース、700トン出荷しているそうだ。
http://www.greenstar-produce.com/top_japanese.htm

CIMG8165s-4 89月に植えつけて、10月~5月に収穫する。この時期は日本国内産のオクラが取れない時期で、このころスーパーで買うオクラはすべてフィリピンなどの南の国でとれるオクラなのだ。出荷したオクラは親会社であるワタリという商社を通じて日本全国へ出荷される。Greenstarのシェアはフィリピンから輸出されるオクラの30%以上だそうだ。まさに商社が独自に食料を海外の農場から直接買い入れ、販売している現場なのだ。(今日は日曜だったので、事務所は空だったが、オクラの袋詰め作業はフル稼働で休みなしとのこと)。

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オクラ畑は広大だった。オクラの背丈は50cmほどだったが、すでに実をつけている。これから人間の背丈ほどになるまで実をつけ続けるのだ。オクラは成長が早く、一日収穫が遅れると大きく固くなって食用にできない。しかも身についた細かい毛が皮膚についてかゆくなるので、朝から晩まで毎日欠かせない収穫作業はきついものがある。人の目で見て食べごろのオクラを一個一個収穫しなければならないので、収穫作業を機械化するのは不可能。だから人件費の安いフィリピンにぴったりだ。実は私も30m2くらいのオクラ畑をタバコ市の農場で作ったことがあるが、毎日バケツ一杯取れるオクラに往生した。毎日ゆでたオクラを食べ続け、すっかりオクラ嫌いになってしまったものだ。

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ちなみにオクラの花は黄色い可憐な花で、きり花としても使えそうだ。畑から直接とって食べるオクラはしゃきしゃきとしてとてもおいしい。右の写真は玉ねぎ畑。フィリピンの玉ねぎはとても小さく、ニンニクのように調味料として使うので単価が高い。しかもパンパンガは玉ねぎの名産地だそうだ。退職者が狙っているのがこの玉ねぎ、それに鶏の飼料用のとうもろこし、米などだ。

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Greenstarの一階が袋詰め工場になっており、約60人のフィリピーナが働いている。彼らの給与は出来高制だが、一日250300ペソとなり、現金収入の少ない農家にとっては貴重な現金収入だ。工場に入るためには白衣を着て靴も履き替えるという厳重さだ。

収穫されたオクラはまず選別される。大きさや傷など手際よく調べられ、全体の40%がはねられてしまう。廃棄されるオクラは充分食べられそうだが、なんとももったいない。その後は弱塩素水によって洗浄される。

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そして袋詰め作業。慣れた手つきでどんどん袋詰めされる。すべてが手作業で厳重な衛生管理の下で作業が進められる。過剰品質ともいえないこともないが、一旦クレームがついたら、しばらくの間、オクラの出荷が停止されることになり、その損害は計り知れない。だから、絶対に不良品の出ない体制を敷いているという。

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箱詰めを終えたオクラはマニラまでトラックで運ばれ朝便の飛行機で日本へ運ばれる。鮮度が命の野菜は時間が勝負だ。収穫から始まって、選別、洗浄、袋詰め、ラベル貼り、箱詰め、搬送の過程は24時間常に誰かが何かの作業に携わっていることになる。

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農場からアンヘレスに戻る途中、あのスカイラインGTRに遭遇した。プレートナンバーもGTRという、なんとも凝った車だ。日本でも800万円して、現在世界最速のスポーツカーだと、大型バイクを乗りますのが趣味というKさんが教えてくれた。

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この日の朝、ホテルでたまたま知り合った日本人のJさんが、有機肥料の生産販売をおこなっているというので、アンヘレスで落ち合って工場を訪問した。この方は、100ヘクタールの農地を持って農業も手がけているという実業家で次回はJさんの農場をじっくり訪問させていただきたいと思っている。

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