フィリピン人の子供好きは、驚嘆に値する。子供が熱をだしたり、バプティスマ(洗礼式)とか、入学式だったりすると、会社などくそくらえだ。それを責めたりすると返って怒られる。したがって、子供は何もしても許される。公共の場で走り回ったり、大声を出して騒いだり、子供だからUnderstand(理解)してやらなければいけないのだ。
フィリピンの子供が家に遊びにくるとぞっとする。うるさい、ちらかす、こわす、その図々しさといったらまさにベビーギャングだ。それを見ている親が何の注意もしないのは一体何なんだろう。しかも、このくそがき供に何かあるごとに幾ばくかの金を与えなければならないというのは、なんとも理解に苦しむところだ。きっとこの国には“しつけ”などという言葉はないのではないか。
しかしながら、この子供時代の甘やかしがあの優しさに満ちたフィリピーノを育てるコツなのだろうか。この子達が将来自分のことを面倒見てくれると思ったら、我慢しなければならないのだ。どんなに頭にきても決して怒鳴らず、じっと笑顔で接しなければならないのだ。子供を叱るとその親たちにまで恨まれるので、友人を無くしてしまう。なにしろ子煩悩にスーパーがつく人達なのだ。
フィリピンに10年いても、まだこの子育ての原理は理解できない。しかし、日本の家庭の様子を見ていると、フィリピンの方がよいのではと思ったりもする。なにしろ、家庭内暴力とか、登校拒否だとか、親殺し、子殺しなどということを聞いたことがない。ファミリーはみんな幸せなのだ。ファミリーのためには何もかも捨てることができるほどなのだ。