7月29日から31日まで開催されたPhilippine Real Estate Festival 2010を見学した。場所はモール・オブ・エイシアのあるマニラ湾の埋立地で、大きな会場には数え切れない住宅のデベロッパーが集合していた。しかし、業 界大手のアヤラコーポレーション、メガワールド、フェデラルランド、シティランド、SMDCなどが見当たらなかったので、メトロマニラ周辺の開発案件の半数程度が出展されているものと推定される。
入り口にはサンミゲルの名前をかぶせたジオラマが飾られていた。あの食品業界の巨人、San Miguelよ、お前もかといったところだ。なぜなら、最近目に付くのが異業種からの住宅開発への参入だ。SMシューマートはマカティを初めタガイタイ、 オルティガスなどに大型の開発を進めている。建設業界の雄、DMCIも他人の儲けのために建設工事を請け負って必死に頑張るよりも自らが販売まで手がけて 大きな利益を手にしようという魂胆だ。
かなり広い会場だったが、平日のせいか人出は少なく、各ブースの係りの人の方がはるかに多かった。ブースに飾られた物件は、ほとんどが高層のコンドミニア ムで、メトロマニラのあちらこちらに建設中のコンドミニアムを売り込もうというだろう。しかし、これだけの数のコンドミニアムを建設していて、果たして勝 算はあるのだろうか。入居者が集まらず、ゴーストタウンになってしまうことはないのだろうか。
たしかにメトロマニラには数百万人もの人々が住居とも呼べない、狭い、汚い、危険なところに住んでいる。名物のスコーターには一人一畳もないところで 人々が密集して暮らしている。彼らがコンドミニアムを購入して住むとしたら、需要は無限とも言えるだろう。しかし、彼らはその日食うのにも困っていて、数 百万円~1千万円もするコンドミニアムなど買えるはずがない。
先日友人のフィリピン人にこのことを話したら、需要はあるのだという。昨年の台風オンドイのためにメトロマニラのほとんどのエリアが浸水した。特にマリキ ナ地区では2階まで水が来て、数週間水が引かなかった。例え100年に一度の豪雨といえども人々の記憶、トラウマは生々しい。そのため洪水被害のひどかっ たマリキナなどの住民が新しい住居を探しているという。そうなると容易に十万戸程度の新規住宅、しかも洪水の被害を受けることのないコンドミニアムの需要 が発生してしまうのだ。世界経済が低迷し、何故、降って沸いたようなコンドミニアムブームなのかと思っていたが、これで謎が解けた。
この日のフェアに参加したのは開発業者ばかりではなく、スナックを売るブースやマニラ新聞などのプレス、そしてPRI(PRA組合)もブースを構えてい た。右下の写真のマニラ新聞のブースではなかなか手に入らない季刊無料誌NAVIを7冊手に入れたのが、この日の収穫だった。このNAVIの地図は優れも ので、とても見やすく、日本人の行くところが日本語でわかりやすく示されている永久保存版だ。しかも無料なのですぐになくなってしまう。 もちろんレストランなどの宣伝が主体だが、読み物もなかなか面白い。どこかで目にしたら、是非手にとって見て欲しい。