昨夜、NHKで、爆笑問題の司会で、日本の性の多様性についての番組をやっていた。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(性倒錯者)、4つまとめてLGBTというらしい。レズは女同士、ゲイは男同士が愛し合うもので、最近、アメリカの一部の州では同性の結婚が認められるなど、世の中に認知されつつあるようだ。バイセクシュアルは両性を相手にするもの、光源氏などはこの手であったようだ。トランスジェンダーは体と精神が性的に一致しない、いわゆるオカマやオナベだ。これら、LGBTは20人に一人、国民の5%に達するというから、全国で600万人という大変な数にのぼる。そのメッカが新宿2丁目だそうで、そこには同じ性向の人々が相手を求めて多く集まるそうだ。
モール・オブ・エイシアの近くのシーサイド・マーケット・レストランの呼び込みはほとんどがバクラだ。声をかけられているのはビジネスパートナーのジェーン
レズビアンとゲイでは例え結婚しようとも子供を作ることはできないから、いずれ滅ぶべき資質のはずだ。さらに、そもそも性が存在すること自体が種の保存のためだから、同性同士の愛というもの自体が、自然あるいは神の教えに背き、排除されるべき存在だとフィリピンではみなされる。さらに、かのエイズは同性愛者の間で爆発的に流行し、人類を恐怖に陥れたが、これはまさに神の同性愛に対する警告あるいは処罰なのではないかとさえ考える。アメリカや日本などの先進国ではこの同性愛がはばをきかせているようだが、ここ敬虔なクリスチャンの国、フィリピンで話題になることもなく、存在しないか、深く静かに潜行している。この辺をジェーンに糾してみると、その存在さえも信じられないとの回答が戻ってくる。
同じくシーサイドマーケットレストランの呼込み嬢、カメラを向けると集まってきてポーズをとってくれた
トランスジェンダー、すなわちオカマやオナベは日本と同様に人口の5%を占めるとしても納得が行く。女装のオカマは少ないものの歩く姿を見れば、一目でそれとわかるし、まるで男の格好をして女の子と手をつないで歩いているオナベもいたるところで見かける。フィリピンではこれらのトランスジェンダーは市民権を得ているから、その本性を隠そうとしないのだ。その点、ちょっとかわった人々を社会から排除して差別する日本とは大いに異なっている。
彼女らは最大限女らしさを発揮しようとするが、傍目にはそれが奇妙でおかしい
そもそもトランスジェンダーは、人間が生まれてくるときに、肉体の性別に対して、精神のミスプログラミングで、食い違いが発生してしまったものだろう。しかし、それはそれで、人間社会にバラエティを与える余興のようなものだ。だからフィリピン人は彼らを受け入れ、自然な友人関係を築いている。どうしても女に見られたいバクラは化粧をしたり、整形をして、女らしく見せようとする。これは普通の女性が化粧をしたり、整形をしたり、ダイエットする思いと一緒ではないか。
ジェーンの兄のアランの実質妻(癌で他界)の兄のジョジョ。農場にしばらく暮らしていたので、私の息子の良き友となっている。お決まりのビューティッシャンだが、その性格はすこぶる良くて、人気者だ
オカマのことをフィリピンではバクラという。このバクラは、普通の事務所でもいるし、不動産の営業や、いたるところで普通に働いている。特に、ビューティパーラーやダンスインストラクターはほとんどがバクラだ。彼らあるいは彼女らはバクラであることを誇りにさえ思っているようだ。一方、バクラであることが就職には影響しないという、なんともおおらかな世の中だ。
農場のクリスマスパーティに女装で飛び入りで参加したジョジョの友達。彼らは女装することに大いなる喜びを感じるらしい。周囲の子供達は大騒ぎだ
オナベのことをトンボイというが、髪を短く切って少年のような格好をしているが、胸が膨らんでいて、独特な雰囲気をかもし出している。彼らはセキュリティ・ガードなどの男性的職業につくことが多い。かの花街の雄、ミスユニバーサルで出演していたローズ・アン・グループの女の子達のボーイフレンドは、ほとんどがトンボイだったそうだ。
近所のレストランで出会ったトンボイ。腕には刺青をして大いに勇ましい
現在、フィリピンでナンバー・ワンのコメディアンであるバイス・ガンダは。まさにバクラだ。本人もバクラであることを売りにして、舞台でも地で通す。それが大いに共感を呼び、圧倒的な人気を博している。知名度においては芸能界一番といっても過言ではない。ちなみにバイスは英語であり、「副」という意味で、ガンダはタガログ語で「美」という意味、日本語にしたらどうなるか、いい言葉が思い浮かばないが、まさにバクラの人気者にふさわしい名前だ。
前々回の統一選のマカティ市長候補の応援会場でパーフォーマンスを披露したバイス・ガンダ。聴衆は候補者よりもバイ・スガンダのショーに喝采を送った
いつも女の子に見られるKIANが、バクラではないかと、つい先日までママ・ジェーンは心配をしていた。フィリピンでは子供ができると、この性の不一致がないかどうか、親は心配する。赤ちゃんは男も女もないのでわからないが、物心つくころになると、ママは肉体的な性と精神的な性が同じかどうか目をこらして観察するのだ。KIANの場合は、最近のあまりにもスケベな行動に、ママ・ジェーンのそんな心配は吹き飛んでしまったようだが、今度は、セックス・マニャック(異常性欲者)ではないかと、心配は絶えない。
スカートをはかせたら、にわかに女の子になりきって、従妹の女の子とダンスを始めたKIAN。これを見てママ・ジェーンはKIANがバクラではないかと大いに心配した