ドテルテ新大統領が就任 2016年7月1日


いよいよ、ドテルテ新大統領-前ダバオ市長が6月30日、マラカニヤン宮殿での就任式に臨んだ。質素な服で行うと宣言していたが、本人も特注のバロンタガログを着て正装で式に臨み、おごそかな雰囲気で式が執り行われた。アキノ前大統領も式に参加してとりあえずなごやかに政権交代が実現した。

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PRAの事務所におかれたTVでは新大統領の就任式の実況中継が行われていた

暴言と毒舌で人気を博したドテルテ新大統領だが、メディアからの攻撃に対して、露骨に憤慨し、「記者連中は、殺されても当然の汚職に手を染めている」と発言した。そのため、内外のメディア関係者から批判を浴びて、大統領就任中は一切の取材に応じないなどの強硬な態度に出て、この日も国営メディアのみが取材を許された。

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大統領ともなるとそれなりの風格が出てくる

ダバオ市長時代は、私設の「処刑団」を使って超法規的な治安対策を行い、大統領になったらマニラ湾は犯罪者の血で赤く染まるだろうなどと発言していた。だが、いざ大統領に当選したとなると、周囲の諌めもあるのか、この日は「司法手続きを順守し、法律には絶対に従う」と誓い、就任の宣誓式の後の演説も優等生のもので、ダバオ市のお山の大将から脱却しつつあるようだ。

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4人の子供達につきそわれて宣誓を行うドテルテ新大統領。ちなみに、後ろに控える長女のサラは父親のあとを継いでダバオ新市長、長男のパオロは副市長となる。71歳にしては小さな娘がいるが、この娘にとって身近なお父さんが大統領になるなんて夢のような話だろう

一方、ロブレド新副大統領は、ケソン市の会場で、別途に就任式を行ったがこれは現行共和国憲法制定(1987年)以来のことらしい。ロブレド副大統領には何の役割を与えられる予定はなく、あくまでもドテルテ大統領なきあとの旧アキノ政権の伏兵としての役割を果たすものと見られている。エストラーダ政権が崩壊してアロヨ副大統領が政権の座についたのが2001年で、このことは大いに現実となりうるのだ。

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アキノ前大統領とはなごやかな引継ぎが行われた

副大統領選挙に関しては、僅差で落選したボンボン・マルコス(マルコス元大統領の実子)が公式集計に不正があったとして、異議を申し立てたが、悪あがきとしてロブレド側も問題にしていない。

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ニュースキャスターもバロンタガログの正装で司会をしていた

 ドテルテ新大統領に指名されたビサヤ次期国軍参謀総長は、イスラム過激派アブサヤフの掃討作戦を実行すると、早々と過激派との対決姿勢を明確にしている。ちなみにビザや次期総長は、かつてアキノ大統領の実家のルイシタ農園で起きた農民のストライキを武力で強制排除するなど、強硬派として知られている。

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日本のTVでも就任式の模様が放送された

次期国家警察長官デラロサは元ダバオ警察署長で、ドテルテ元ダバオ市長とは旧知のなかだ。やはり強硬派で、最近の麻薬密売人(容疑者)の警察による射殺が急増しているのも、ドテルテ-デラロサ路線の先取りと思える。

CIMG6514オバマ・アメリカ大統領と習中国・国家主席に挟まれた構図は南シナ海の領有権の行方を揶揄しているのだろうが、日本から見たフィリピンはそんな程度の位置づけでしかないのだろう

 

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