マカティのど真ん中、アヤラ・アベニューとマカティ・アベニューの交差点にそびえるのがシャングリラ・ホテルだ。そのシャングリラ・ホテルが 最近ペイントの塗り替えをして新しくなった。1990年初頭に建設されて以来、2回目の化粧の直しで、ほぼ10年毎の塗りかえになる。写真ではちょっとわ かりにくいが左側の側面はまだペイントされておらず、従来の白茶けた色のままだ。
アヤラ・アベニューを東に行くと、インター・コンティネンタル・ホテルがある(左写真)。これも最近白色に塗り替えられてきれいになった。マカティのコ マーシャル・センターを挟んでエドサ通りとパサイ通りの交差点にあるのがドーシット・ホテルだが(右写真)、ここも最近塗り替え工事を行なって、従来の白 から薄い茶色から上に向って白色と変化するグラデーション模様になっている。ドーシット・ホテルといえば以前は日本航空の資本がはいっており、ホテル・ ニッコー・マニラ・ガーデンという日本人に人気のホテルだったが、現在はタイのドーシット・タニ・ホテルの系列になっている。
フィリピンではホテル、コンドミニアムなど居住用のビルの外壁は、ほとんどがペイントで、タイル仕様はほとんどない。原因はよくわからないが、確かにペイ ントの方が建設費は安いが、10年ごとくらいに塗りなおさないと外観が著しく汚らしくなる。タイルであれは汚れがつきにくく、ほとんどメンテが不要で、し かも豪華な感じがするので、日本ではほとんどがタイル仕様だ。左の写真は完成間近いパソンタモ・マカティ・スクエアのビーコンだが、これもペイント仕様 だ。確かにペイントであれば色を替えてイメージチェンジを計ることもできる。しかし、パスコの事務所に近いこのビルはちょっといかがなものかと思う。
マニラの下町に行くと、メンテがされて無いビルがほとんどで、街並みがとても汚い。もともとの色はどこかへいってしまって、ほとんどが黒か灰色だ。かといって新たにペイントを行なうにも相当な出費となり、マニラのイメージを悪くしている元凶とも言えるだろう。
建設中の「Raffles Residences」の外壁はカーテン・ウオールだ。出来上がったコンクリートの構造体にパネルをはめるだけだから、あっという間に外装が出来上がる。 マニラでも最近の事務所ビルは、ほとんどがこのカーテン・ウオールだ。一方、住宅の外壁はブロックを積んでモルタルを塗り、ペイントで仕上げるという昔な がらの工法だ。人件費の安いフィリピンではこの方が安くつくのだろうし、また、カーテンウオールの住宅というのはいかにも住み心地が悪そうだ。
ちなみに私の日本の住宅は公団の鉄筋コンクリート製の2階建てのテラス・ハウスだが、ここも10年毎にペイントの塗り替えをやっている。これが大変な工事 で、月々の修繕積立金も3万円近く、住環境の維持もなかなか金がかかる。いっそタイルだったら積立金も少なかったろうにと、思ったものだ。
以前、タイル積算の会社をやっていたころはフィリピンにもタイルを普及させてやろうなどと思ったものだが、フィリピンではもっぱらタイルは床に使うものとの常識がある。たしかに床のタイルは涼しくてよい。だからフィリピンの犬は床に腹をべたっとつけて寝ている。