クリークサイドに突然の退去命令 2017年8月20日 8月26日、9月3日追記


9月3日追記

曜のピアノレッスンの折にクリークサイドをのぞいてみると、そこかしこで開店の準備をしていた。そこには得意げに9月4日にオープンとの貼り紙があった。一方、通路沿いには大量のごみが出してあったが、あわてて退去する際、部屋に残して行ったごみを処分しているらしい。

4日(月)のオープンのために準備がいそがしい、中はきれいに片付いている

通路イ沿いには大量のゴミ袋がごみ収集車を待っている

ドテルテ大統領への抗議の横断幕もはずされてホテルの看板が顔を出し、開店の準備におおわらわだ

高級カラオケ店、ファラオの看板もきれいに磨かれており開店まもないようだ

ついに9月9日、ファラオも開店にこぎつけた

8月26日追記

恒例の土曜のピアノ教室のためにマカティスクエアを訪れたが、なんとマカティスクエアの裏手にあるマクドナルドがオープンしているではないか。たったの10日足らずのうちに当局とネゴをして再開にこぎつけたようだ。さすがアメリカの大資本あるいは運営会社が政界にコネがあるのか、やることが早い。

めでたく再開したマクドだが裏手の駐車場は相変わらず立ち入り禁止だ

 

8月16日(水)、この日は午後3時にキアンをドンボスコでピックアップしてマカティスクエアの音楽教室に連れて行ってピアノのお稽古をする日だ。最近はウオルターマートの地下駐車場は満車で駐車できないことが多く、さらにマカティスクエアとリトル東京の間の道路沿いの駐車場も工事のために閉鎖され、もっぱらリトル東京の裏手、クリークサイドの駐車場に停めるようにしていた。

この日はピアノのお稽古、学校の教科書、それにピアノの楽譜を背負ったキアン

この日、どういうわけかクリークサイドの通路沿い、駐車場の反対側にはトラックが隙間なく駐車しており、一台がやっと通過できるスペースしかなかった。空きの駐車場がなくて中ごろまで進んだところで対向車が来て、にっちもさっちも行かなくなってしまった。バックするにしても狭い通路を100mほどバックしなければならない。当方にくれていると駐車場が一台分空いた。しかし、駐車場の反対側には車が駐車していて、車庫入れをするには狭すぎる。警備員の案内で試みたが、私の力量ではどうしようもない。幸い、駐車中の車のドライバーが運転を代わってくれて、うまく駐車させてくれて難を逃れた。

19日、突然の退去を終えて廃墟となったクリークサイド、この狭いところに左側が駐車場、右に路上駐車の車が並び、立ち往生してしまった

警備員の話によると、全てのテナントに退去命令が出て、引越し中だという。危機を救ってくれた運転手と警備員に100ペソづつ渡して礼をしたが、大変恐縮していた。ピアノのレッスンを終えて戻ってみると、相変わらずの引越し騒ぎで、てんやわんやしている。件の警備員の案内で無事に脱出してその先の樹海で恒例のランチをとることができた(先ほど手渡した100ペソのおかげで警備員はとても親切だった)。帰宅してから新聞を見ると、前日14日、マカティ地裁の決定に基づき、ここの政府所有の不動産に対して5億ペソの賃料が未払いだとして、不動産開発会社サンバーに対し、未払い金の支払いと全テナントに対して3日以内に立ち退きを命じたそうだ。命令は15日の夜に手渡されたそうだが3日以内、すなわち18日までに退去を完了しなければならないという過酷なもので、日本料理店やからおけが10軒以上、全部で240のテナントにとっては、寝耳に水の命令に大混乱となった。

この付近は日本料理店やカラオケ店が固まっており突然の引越しに大騒ぎだった

もともとこの地域はアモーソロ道路沿いに川が流れており、一般的に河川敷は政府所有の土地で、その川沿いにサンバーが政府から土地を借り受けて細長いビルを建設して商業施設としたものだそうだ。サンバー側は2027年まで契約は有効としているが、私がフィリピンにやってきた28年前の1989年には、ここでよく昼食を食べていたので、1977年ごろに50年の長期リース契約を政府と結んだに違いない。

クリークサイドと並行して走るアモーソロ通りは川に蓋をしたもので、まだ道路のなかった1990年代は大雨になるとよく水があふれパソンタモ通り方面に流れ出していた

フィリピンではスコーターエリアがそこかしこにあるが、これは政府所有のエリアを住民が不法に占拠し住宅を立て居住しているエリアを指す。ちなみにスコーターとはスクワット(しゃがみ込む、占拠する)から来ている。マニラのトンド地区やサンアンドレス地区などが有名だが、そこでは住居の売買も行われており、一定の所有権もあるようだ。しかし、今回のように、いつ政府から立ち退きを要求されるかもしれないリスクと隣りあわせだ。スコーターの立ち退き命令で住民が抗議しているなどというニュースはよくある話だが、このスコーターの存在はフィリピンの貧困の代名詞でもあり恥部でもある。

マカティスクエアの裏の駐車場ももぬけの空だ

駐車場の入り口にあるマクドは改装して間もなくの退去で大損害だ

しかし、今回の措置はスコーターとは事情が違う。この突然の措置は大統領とサンバーのオーナーであり、英字紙インクワイアラーのオーナーでもあるルフィノ・プリエト財閥との確執があるらしい。インクワイアラーは大統領に対して批判的な記事を載せ続けているためらしいが、とんだ迷惑を被っているのは、ここで営業しているレストランやカラオケ、それにホテルなどだ。突然出て行けといわれても資材や設備は半端なものではないし、家主には賃料もきちんと払っており、何の落ち度がないのに。たぶん賃貸契約書には政府筋からの退去命令には従わなければならない、その保証は行わないなどという文言が難解な英語で書いてあるに違いなく、泣き寝入りするしかないのだろう。

後日、あまりに大きい反応と反発に、ドミンゲス財務長官は、新しい管理者が決まったら滞納している家賃を支払って再入居することも可能と発表した。しかし、それがが、いつになることやら、こんなリスクを抱える物件などにお金をかけて再入居する店などはないだろう。ちなみに世界有数のリゾートといわれるボラカイも政府の土地で、裁判でもめているようだが、同じような、突然の退去命令が出るというリスクを抱えているので、ボラカイへの投資は慎重にしたほうが良い。ちなみにPRAではビザ取得のための預託金をボラカイの物件に投資転用することを認めていない。

クリークサイドホテルでは遠慮がちな抗議の横断幕が貼り出されていたDU30とはドテルテ大統領のこと。スペイン語で30の読み方がTreintaであることからの省略形らしい。キアンのそのことを話したら、第30代大統領だからと即答した。なるほどと納得したものの、あとから調べてみるとドテルテは第16代であり、キアンのとんだ口から出まかせだった。

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *