10月9日(土)、私の相棒、ジェーンの赤ちゃん、キアンのバブティスマル(洗礼式)は滞りなく終わった。この日から、キアンはキリスト教信者として世間に受け入れられ、社会生活をスタートしのだ。
式はパスコの事務所に近いSacred Heart Churchで行なわれた。件の学校調査においでになった家族をホテルでピックアップして、丁度10時に教会に到着したが、ジェーンの家族などが外にいるので、てっきり式は始まっていないと思い、待っていた。そうしたら、礼拝堂脇の小さな部屋ですでに式は始まっていた。フィリピンには珍しく、時間通りに式は始まったが、入りきれない人たちが外で待っていただけなのだ。
式が終わると礼拝堂で記念写真の撮影。家族、友達、日本人の招待客など、グループ別にキアンとその両親を中心に収まる。カメラマンもたくさんいるから、そう簡単には終わらない。本人にキアンは何をやっているのかもわからず、途方にくれている様子だった。
総勢80名近いお客さんのお目当てはもちろん、レセプション、披露宴だ。おなじみの中国料理店「ルートン・マカオ」のメインダイニングルームを貸しきって行なわれた披露宴会場には中華料理が次々と運ばれ、最後はまだ料理があるのかとあきれ返るほどだった。
農場からはるばる500kmの旅をしてきたレチョンは手付かずのままだった。しかし、どんなに料理が残ってもフィリピンでは問題ない。家に持って帰って、夜半までパーティは続くのだ。それにルートンマカオの従業員も多いに恩恵に預かったようだ。
やはり、パーティーを盛り上げるのは歌と踊りだ。会場が狭いので踊りというわけには行かなかったが、バンドと歌手の生演奏が雰囲気を盛り上げ、参加者は皆楽しそうだった。フィリピンの披露宴では余計なスピーチや出し物はない。歌と食事で楽しむだけだ。ただこの日は珍しく、キアンのお父さんであるカーネル・ヤンの挨拶と、飛び入りでジェーンの姪や友達が歌を披露した。
食事が一段落すると、撮影会だ。キアンは各テーブルを回って、記念撮影をする。初めのうちは合わされてお愛想笑いをしていたものの、最後は「いい加減にして」といった感じで不機嫌になってしまった。普段は半日位寝ているのに、朝から大勢の人に囲まれてへとへとに疲れてしまったようだ。