カラバオ・ヨーグルトと地鶏の卵 2013年6月11日


カラバオはフィリピンの国の動物に指定されており、フィリピンの農村に欠かせない光景だ。実際、現在も、地方では水田耕作の主役である。水さえあれば、草だけを食べて、経費のかからない効率的な労働力で、糞は肥料にもなるから、究極のエコ・マシンだ。ちなみに一頭の子供が1万ペソくらいで買えるが、あとは一切の経費はかからない。おまけに、子供を生んで増えてくれるから、こんな重宝な家畜はいない。

CIMG9996s-4農場の主だったカラバオ(水牛)。赤ちゃんを作ると期待されたが、意外と高齢だったようで、昨年死んでしまった

 農場にも一頭のカラバオがいて、田んぼの耕作に従事していたが、昨年死んでしまった。それではフィリピンの農場らしくないと、今年、あらたに一頭の子供のカラバオを買い求めた。なんとか、子供を増やして、一頭から4頭にまで増えた牛のように農場の名物にしたいと思っている。カラバオは使役に使う有用な動物なので、カラバオの肉というものは市場には出回っていない。しかし、田舎で一度、カラバオの乳あるいはヨーグルトとというものを耳にして、なんとか試してみたいと思っていた。

CIMG1370s-4カラバオは力持ちで、よく働く、農家には欠かせない存在だ

  先日、マム・ジェーンがうれしそうな顔をしながら、明日はインドカレーを作ってご馳走すると、近くのインディアン食材店でカレーの材料を買ってきた。また、さらにカラバオ・ヨーグルトをカレーに混ぜると、おいしいと、5cmほどのカップ一つを25ペソで買ってきた。そして、ついにカラバオ・ヨーグルトを食する機会に恵まれたのだ。カレーの味も良かったが、カラバオ・ヨーグルトは、まさにあの、プレインヨーグルトの雄、明治ブルガリア・ヨーグルトそのものだったのだ。フィリピンのスーパーで売っているヨーグルトはすべて、何らかの味がついていて、しかもご多分にもれず甘くて大人が食することができる代物ではない。 

CIMG7655s-4最近購入したカラバオちゃん。大人のメスはおばあちゃんと区別がつかないから、子供なら間違いないというわけだ

 大分前の話になるが、私がPRAで働いている当時、Uさんという目が不自由な申請者の面倒を見た。その方を農場に招待したのだが、Uさんはプレインヨーグルトに果物の刻んだのを混ぜて毎朝食べたいので、なんとかプレインヨウーグルトを手に入れるよう頼まれた。それでヨーグルと探しが始まったのだが、ようやく発見したのが、日本食材店のはっちんで、あの明治ブルガリアヨーグルトを発見したときは、感激ものだった。 

CIMG8631s-4はっちんのヨーグルトの棚、この日は、プレインヨーグルトは品切れだった

 そのほかにも、我が家にしばらく逗留した山本のぶ子さんもプレインヨーグルトが安くて、効果的な美白剤としてつかえると強調していた。先日はっちんで買ったときは270ペソ。600円もしたので、そうは浪費するわけにはいかないし、品切れが多くて、常食には難しい。しかし、小さなカップ一つで25ペソならば、少しづつ買って毎朝の食卓に利用できる。

CIMG8623s-4パソンタモとバグチカンの角から50mほど東に行ったところにインド食材店TAJがある

 そういうわけで早速、試し買いにいったのだが、パソンタモとバグチカンの角から、東に向かって、50mくらい、我が家からは至近距離にTAJというインド食材店はあった。店は雑然としていて、スパイスの匂いが充満している、いかにもインドというたたずまいだった。 CIMG8625s-4

品物の並べ方は、日本の食材店に比べて、いかにも貧相だ

 冷蔵庫にはナンの生地が並んでいたが、ヨーグルトらしきものはどうしても見当たらない。店の人にに聴いてみたら、冷蔵庫の中から鍋状のいれものを出してきて、そのなかに作りたてのカラバオ・ヨーグルトが入っていた。これをプラステックの容器に4杯分(100ペソ)を移し変えてもらったが、必ずしも安い食品ではない、というか、貴重品なのだからしかたがないかもしれない。

CIMG8627s-4冷蔵庫も今一だ

  ヨーグルトといえば長寿国として知られるコーカサスなど牧畜を営む地域のの主要な食物だったと思うが、日本の納豆や漬物など、これら発酵食品はすこぶる健康に良く、メタボに悩む現代人類の味方だ。糖尿病予備軍の私の食卓は、毎食、納豆と味噌汁と、ご飯が少々、おかずは適宜だ。毎食、これでは、少々寂しいので、2~3日に一回はサイカに行って、ちらし寿司を食べる。おかげで、体重は70Kgとコンスタントで、血糖値も120前後と正常だ。

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ヨーグルトはパックに詰められたものではなくて、いわゆる量り売り。まさにレア物の雰囲気だ

 これに、毎朝、果物とヨーグルトのミックスデザートを加えることにした。現在は、グレープ・フルーツやカラマンシーのジュースだけだが、ちょっとした食卓の色添えだ。農場のカラバオが大人になって、乳が出るようになったら、是非カラバオ・ヨーグルトに挑戦するのが、今から楽しみだ。

CIMG8638s-410cm程度の入れものに半分ほど入って50ペソ。小さい容器の2個分だ

 私の食卓には、毎朝、生卵を食する。毎食、食べていたら太ってしまったので、今は朝だけにしている。以前は、スーパーで買ってきたものを食べていたが、おいしくないのでやめてしまった。しかし、3月のホリーウイークに農場を訪問した折に食べさせてもらった生卵が絶品だった。農場で飼っている地鶏の生みたての卵だが、箸で黄身が持ち上がるほど。そして、あの生卵独特の香りが口に広がる。黄身の色は黄色というよりもオレンジで、生卵など、ほとんど口にしない、息子も喜んで食べていた。

CIMG8633s-4賞味期限まできちんと書いてある。スーパーに山のように積んである卵は一体いつのものかわからず、割った途端に黄身が水のように崩れてしまうこともたびたびだ

 そんな卵を日本食材店で見つけたのだ。値段はスーパーの倍以上するけれど、どこの日本食材店でも置いてある。今日は、さらに倍の値段がする、鈴卵という銘柄の卵を買ってみた。1個当たり31ペソ、普通の卵の6倍の値段だ。 CIMG8634s-4

他の地鶏卵との差は単に殻の色が違うだけのような気がするが

   日本食材店で扱っているのは、どれも地鶏の卵だと思うが、一般の卵は、ケージの中で一生を過ごす、まるで機械のような鶏から生まれ、栄養も糞もない。そんな卵から命ができるとは思えないが、その点、地鶏は土の中から色々な栄養素を取り入れて、命を宿すことのできる卵を産んでくれる。ちなみに、闘鶏は地面で育てないと死んでしまうというが、鶏は地面をつついて、肉体を維持するのに必要な微量成分を吸収しているに違いない。 

 CIMG8636s-4卵を割ってみると、命の源の胚芽が見える。黄身もオレンジ色でしっかりしている。これならば、十分、生食用として通用するだろう

 農場の卵は、親鳥が温めているのを失敬して、食べるので、これらは、間違いなく有精卵だ。だから、ひょっとするとひよこが卵の中に入っているかもしれない。まさに究極のゲテモノ、バロットだが、バロットはアヒルの卵なので、もっとアヒルをたくさん飼って自家製バロットもいいかもしれない。ちなみに息子はバロットが大好物だ。

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抱卵中のメスの鶏。鶏のヤードに行くとこんな風景が常にある

 3月に20羽ほど買って飼育をはじめた大きな地鶏のカビアが、5月末で、すでに倍程度に増えて、卵も20~30個ほど孵化を待っているらしい。こうなってくると毎日自家製の卵や鶏肉が楽しめるようになる。豚は一頭分が大きすぎて自家消費には向いていないが、鶏なら、毎日一羽、絞めたとしても、100羽もいれば、循環する。ただ、えさ代が大変なので、なんとか飼料も自家製にしなければならない。実際問題、鶏も卵も市場で買ったほうがはるかに安くつくが、市場で売っている鶏肉や卵は、もはや自然食品と呼べる代物ではないので、米に続いて、ぜひとも、自給自足を実現したいと思う。そうすれば、米、野菜、果物、肉、魚、卵などほとんどの食材が自給できることになる。

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KIANと新しい養鶏場。右上の黒豚が雛を食べてしまうそうで、隔離しようと計画している

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