マカティ・アベニューのアンソン・電化デパートの向い、あるいはランドマーク・デパートのはす向かい、グリーンベルト4の一角にあるのがアヤラ・ミュージアムだ。フィリピン在住15年にして始めて中をのぞいてみたが、建物は数年前に新築したばかりでミュージアム(博物館)にはふさわしくない近代的なつくりだ。入場料は225ペソだが、シニア(60歳以上)は年齢を言うだけで125ペソの学生/子供料金となる。
ミュージアムの見せ場は4階の金の装飾品の数々だ。10~14世紀のネックレスやイヤリングが並ぶ。エジプトのツタンカーメンの面を期待する向きには少々物足りないが、フィリピンにはスペイン時代の前には歴史がないと思っていたが、フィリピンにもこれらの装飾品を身につける高貴な人々がいたのだろう。
3階に下りるとフィリピンがルソンと呼ばれていたころの陶磁器が並ぶ。このころは日本との貿易も盛んで、これらの陶磁器が貴重品として扱われていた。多分に中国の影響で、これら陶磁器を生産していたと思われる。
2階は、フィリピンの歴史をジオラマでわかりやすく見せている。数十万年前からフィリピンにも人類が栄えていたようだが、この島国に回教徒、中国、キリスト教徒(スペイン)、そして近代文化をもたらしたアメリカがやってきて、今の混血国家フィリピンが出来上がってきた経緯がよくわかる。それ以前のフィリピン人は、現在でもピナツボのふもとのパンパンガでもよく見かける縮れ髪で色黒のブンドック(山の民)が主流だったのだろう。
歴代の大統領の等身大の絵が身長と共に描かれているのも面白い。現大統領アロヨの身長が幾ばくのものか興味があるところだが、残念ながらアキノ大統領までしかなかった。
アヤラ・ミュージアムを出て、最近完成したグリーンベルト5を歩いてみた。樹齢数百年と思われるアカシヤの大木が茂り、都会のオアシスともいえる庭園が広がっている。近代的な建物と緑が調和して、マニラそしてマカティで一番美しい街並みを形成している。丸い天井の教会は、1989年、この辺がまだ、ただのスーパー・マーケットや駐車場だったころからのものだが、今では周りの景観に溶け込んで、グリーンベルトのシンボルとなっている。
グリーンベルトに隣接して建設中のコンドミニアムが名門アヤラ不動産が開発した「ザ・レジデンス・グリーンベルト」だ。まるで、グリーンベルトを庭のようにあしらい、現状では最高級コンドミニアムと言えるだろう。このあとグリーンベルト2まで歩いてイタリアネスで食事を取ったが、ピザとスパゲッティの二皿で1500ペソはやはり高級だ。
グリーンベルトの向い、ランドマークの隣ではラッフルズ・レジデンスが建設中だ。ホテルとコンドミニアムを併設した建物で、アヤラのザ・レジデンスとこれが完成したら、この付近はフィリピン随一の居住空間としてその地位はますます上昇するだろう。