5月の選挙で無事再選を果たしたリム・マニラ市長のやったことは、なんとマニラ名物とも言えるほど有名になったLAカフェの閉店だ。エルミタのデルピ ラール通りにひときわ目立つ看板を掲げるLAカフェは出会いを求める男女で24時間ごった返していた。フィリピンに観光に来る日本人でも知らない人はいな いくらいの超有名店で、フィリピン在住の日本人の間でも閉店を惜しむ声がささやかれている。
LAカフェの内部に入るとそこには白人や韓国人そして日本人と、ほぼ100%が外国人だ。そして一目でそれとわかる客を物色して媚を売るフィリピーナ だ。しかし、たくさんいるウエイトレスのほうがはるかに可愛らしく、申し訳ないが食指が動くような子はめったにいない。内部はとても広く、2階や隣の建物にまで拡張されていて、2階にはライブバンドもはいっていた(上の写真を撮った日は世界的にヒットした「アナック」を歌ったフレディー・アギラーのライブ)。
普通のナイトクラブなどとは違って、女性も客として入店していて、ドリンクをおごってくれる男性客をひたすら待ち続けている。ドリンクにありついたら、早速交渉だ。ママさんや店が商売に関わっているわけではないから、その手のお店の3分の1から半分くらいで話はつくようだ。現在、入り口にはCLOSEDと掲示され、ガードは近いうちに再開するとは言っていた。
近 くにある同系のアマゾニア、バタフライなどはそのまま開店中だが、量と質の面でLAカフェとは比べ物にならない。LAが閉店したのだから客と女性がこっち へ流れても不思議ではないのだが、アマゾニアは従来どおり閑散としていて、目を覆いたくなるようなしおれた花ばかりが目に付いた。
ところでリム市長といえば、1990年代初頭、当時ツーリスト・ベルトとも呼ばれマニラ歓楽街の顔のようになっていたデルピラール通りのゴーゴークラブを一 網打尽にした悪名高い市長だ。市長は3期9年が限度だから、一旦上院議員となったリムは、前々回の統一選挙で再びマニラ市長に返り咲いた。そして、初めに やったことが、マニラ湾沿いの観光名所となっていたベイウォークの店を一掃したことだ。
これらの店は、レストランやバラエティーショーを見せるもので、決 していかがわしいものではない。かえってマニラ湾沿いの遊歩道に人を集め、安心して夜歩きが出来ると評判の観光名所だった。それを付近の住民が夜中までう るさいと苦情を申し立てたから全部締めてしまったのだ。市長としてやらなければならないことはいくらでもあるだろうに、人の楽しみを奪うことに生きがいを 見出しているようで、なんとも不愉快な市長だ。しかし、先の選挙で再選を果たしたのだから、それなりに人気はあるのだろう。