ある退職者の災難の教訓 その3  2012年1月20日


 先日、別れた直後の退職者の方から、電話があった。エルミタのホテル前でタクシーのドアを開けたところ、後ろから来た車とドアがぶつかって大きく傷をつけてしまった。警察に通報したところ、かけつけた警官らも含めて被害者らにさっさと金を払っておしまいにしろとよってたかって責められているという。

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最近退職者を伴ってNBIにクリアランスの申請に行ったが、申請を待つ人々はビルの外まで行列を作っていた。これに並ばなければ退職ビザが取れないとしたら、ビザ申請者などはいなくなってしまうだろうと、ため息がつく。

 私のフィリピン人の相棒に連絡して、すぐにかけつけるよう指示をして、現場に向かった。現場では二人の警官と、被害者(これもたまたま警官だった)に囲まれ、被害者の車の修理に15千ペソ、タクシーの修理に1万ペソ、合計25千ペソを支払って、終わりにしてしまえと退職者を執拗に攻めまくる。

 被害者の車には確かに大きな傷がある。まず誰に責任があるのか明らかにして、ポリスレポートを作成してもらい、それに基づいて後日、示談の上話をつけようと主張したが、警官らは、そんなことをしても時間の無駄だといってとりあわない。フィリピーノの相棒の到着を待つように話しても、一体いつまで待たせる気かと、執拗に支払いを迫る。

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アラバンのフェスティバルモールでつけまつげのクリニックを発見した。日本では、最近超ロングのつけまつげがはやっているが、フィリピン人には自然に超ロングのまつげをしている子が多い。だからそんな需要はないと思っていたが、どうもそうでもないらしい。

そうこうしているうちに、私の相棒が国家警察の幹部の旦那を伴ってやってきた。これでもう、安心だ。それまで強気に攻めまくっていた警官らが、国家警察の幹部を見たとたんに、ニコニコ顔で、「なんとかお金を払ってもらえませんか」という態度に一変した。「乗客が不用意にドアを開けてしまい、後続車に危害を加えたのはタクシードライバーの注意義務の怠慢であり、責任の大半はドライバーにある、したがって、乗客に支払い義務はない」というのが話し合いの結論だった。しかし、これでは元も子もないので、被害者の警官は、件の退職者は支払いの意志を示していると主張した。

 退職者としては、パスポートを見せて名前があきらかになって、後日トラブルになっても困る、ドライバーに金がないから、この場を収めるには退職者本人が支払うしか方法がない、という考えだ。それなら、いくら支払う用意があるのかという問いに、1万ペソと回答した。示談となると私の相棒の出番で、被害者の警官はすぐにOKした。そうなるとタクシードライバーが黙っていない。自分の車も傷がついたのだから、俺にも払えといって聞かない。そもそも自分の過失のはずなのだが、退職者が支払ったということは退職者本人の過失を認めたのだから、タクシーの損害に対しても賠償しろというのだ。相棒は、腹を立てて、そうであれば、1万ペソの話はなかったものと、お金を被害者の警官から取り上げてしまった。
 
 そこであわてたのが、被害者の警官たちだ。そうなったら元も子もない、ドライバーを逮捕したところで一銭の得にもならないし、さらにごたごたすると国家警察の幹部を前に顔がつぶれてしまう。ごたくを並べるドライバーをタクシーに押し込んで黙らせてしまって、一件落着となった。退職としては1万ペソでけりがついたので、ほっとした様子だった。

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モスリムがたくさん住んでいるタギッグ(ボニファシオグローバルシティの北)から地鶏の卵を売りに来た少女たち。彼らに甘い顔をしていると、隙を見てものを盗むかもしれないと、マムジェーンは油断を怠らない。

 この日は日曜日で、相棒の旦那の国家警察の幹部が休みで時間が空いていたので、大変ラッキーだった。そうでなければ、退職者としては、たとえ自分に罪がなくても、不用意にドアを開けて原因を作ったのは自分だし、ある程度の金を支払っておしまいにするしか方法はない。特に支払能力のある人間を責めてお金を払ってもらわない限り修理代も出ないから、被害者(警官)とかけつけた警官が退職者を攻めまくって金を払わせようとするのがフィリピン流だ。

 帰りの車中で、件の国家警察幹部の旦那は、正義を守るはずの警官が、こんなことでとても恥ずかしい、申し訳ないと、退職者に頭を下げた。確かに日本であれば、ドライバーに責任があって、乗客にはお咎めはないはずだ。それを金がある者から損害を負担させるというのは、日本では理屈が通らない。

 今回は力強い助っ人が駆けつけたからよかったものの、不慣れな外国人がこんな目に遭遇したらどうしたらいいのだろうか。腹を立てて警官を怒鳴りつけたりしたら、事態はますますややこしくなる。「大使館に連絡して、大使館員が来るから少し待ってくれ」などと時間を稼ぎつつ、少しでも少額ですむようネゴするしかないだろう。もちろん、その辺に通じた友人(できればフィリピン人の)がいれば飛んできてもらってネゴしてもらうことにこしたことはない。

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