あるフィリピーナの悲劇(アンヘレス編)2010年8月23日


アンヘレス・シティの花街で働く女性の総数は2万5千人に達すると、スービックでポコアポコ・コンドテルを経営するWさんが話していた。アンヘレスの フィールド・アベニューのクラブの数は約100軒、一軒当たり平均100人の女性が働いていたとしても、1万人にしかならない。一体他の女性はどこにいる のだろう、ウエイトレスも含めた人数だろうか、などと独り言は続く。さらにWさんによると、アンヘレスはアジアではバンコックの次ぐ規模の歓楽街だそう だ。でもその集中度はバンコックに勝るのではなかろうかというのが、当方の印象だ。

一昨年、Nさんの経営するフレンドシップクラブの開所式に招待されて以来、なにかと縁が続き、毎月のように訪れているアンヘレスだが、この日の退職者の案内では、スービック訪問を早めに切り上げ、夜はアンヘレス、フィールド・アベニュー探索というスケジュールとした。

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   最近は大型店が隆盛で、従来の小さな店には客足が遠のいている。大型店の代表が「アトランティス」、「ドルハウス」、老舗の「ブルーナイル」最近オープン した「紫禁城」、さらにマッカーサー通りの近くには幾つもの大型店が新規オープンしている。一方、小型店として頑張っているのが24時間営業の「ブー ドー」だ(ちょっと目立たないがアトランティスからマッカーサー通りに向って100mほど進んで右側の店)。

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まず初めは、9時と10時半にやるショーが見ものの「アトランティス」探訪。最近は細長い風船を舞台と客席でやり取りするのがおもしろい。また、来るたび にショーの出し物が違う。店の普通の子達が毎回これだけのショーを見せるのだからたいしたものだ。ちなみにここには300人の女性が働いているそうだ。

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さて、次に案内したのが、小型店の代表「ブードー、VOODOO」、昼間でも比較的多くの客がいる人気店だ。そこに入った途端、びっくり仰天、なじみの子が1年ぶりに戻っていたのだ。うわさではフィリピーノ・ボーイフレンドの子を宿して辞めたはずだったのに。

  早速呼んで身の上話を聞いてみた。「19歳の誕生日に酔っ払って寝てしまい、目が覚めたら下半身が痛いので変に思ったが、従兄弟に聞いて、自分がレイプさ れてしまったのだと知った(レイプされて気がつかないというのも変だが、何か薬でも入れられたのだろう)。その結果、妊娠、出産、そして1年ぶりに店に 戻ってきた」とのことだ。さらに、「男の行方はわからない」という。ちなみにフィリピンではレイプは死刑だ。人の生涯をめちゃめちゃにして平気でいるなん て、なんとけしからん男だと憤慨し、裁判に訴えたらと勧めてみても、「そんなお金もないし、どうしようもない」とうつむく。

 2年前にこの子と出合った時、首にぶら下げたIDに「V」と 書いてあるのをいぶかって聞いてみたら、処女(Virgin)よと答えた。その日が初出勤で、その後1年くらい、ちょくちょく店を訪ねて指名したが、アン ヘレスにはこんな処女の子が少なからず働いている。特に可愛らしい、あどけなさを残す女の子はほとんど処女と言って過言ではない。(写真はブードーの内部)

CIMG9849s-1 この「V」の字を8万 ペソで売って漁師のお父さんにエンジン付のボートを買ってやるのだという、感心な18才になったばかりの女の子だった。そして約1年前、処女のままぷっつ りといなくなってしまったのだ。そして、この日、処女を奪われ、赤ちゃんを背負い、それでもブードーに戻って働くしか術がない彼女に再会したのだ。

   そして、彼女がしばらく席を空けて戻ってきたら、今度は、「事務所に呼ばれて首を告げられた」という。店に戻って2ヶ月、バーファインが無いので店から追 い出されてしまったのだ(バーファインとは客が女の子を連れ出すときに店に支払う料金のこと)処女でないのに体を売らない女は店にはいらないという、冷酷な花街の論理だ。彼女はすべてを失ってしまった。しかも最後の給与も払ってもらえず、途方に暮れ、さめざめと泣いていた。たとえ子供を産んだとしても、本人の意識の上ではバージンのままなのだ。名前がMaryというから、まさにバージン・マリアだ。だから簡単に割り切って体を売ることも出来ない。そうこうしているうちに首になってしまい、生活の糧までも失ってしまった。


 さて、この話が本当なのかどうなのか、信じるか信じないか、ここで論議しても始まらない。こんな時、なけなしの緊急時用ファンドの1万円札を財布の奥か ら取り出して、さりげなく渡し、「これで急場を凌いで、仕事を探しなさい」なんて言って格好をつけたいのが男の子だ。そして「すべてを失ったわけでもない、こんな時に俺に会えたじゃないか」などという格好いいせりふを吐く。偶然にも、まさにこの子の最初と最後の日を見取ったわけだ(写真中央は、処女時代のMary、後ろの太目の女性3人はウエイトレス)。

CIMG9851s-1  こういう状況においては、彼らは、天を仰ぎ手を組んで神に感謝するのが普通だ。「神ではない、君を救ったのは私だから、私に感謝しなさい」と言うと、彼女 達は「あなたを引き合わせてくれたのは神だ」と反論する。まあ、神と競ってみても仕方がないので、深くは追求するのは止めておくことにしている。

  現在は円高で1万円は5250ペソだ。これはこの子達の1か月分の収入に相当するという。もちろん体を売るような子はもっと稼ぐだろうが、ウエイトレスな どはこんなもんだ。だから、このお金で1ヶ月くらい食いつなげるのだ。彼女は、「もし、1万ペソ稼げたら、5千ペソを田舎に送って子供と親を養い、自分は 残りの5千ペソで生活する」という。1万円がこんなに重いものだと、あらためて痛感した。

 ところで、この日の夜の探訪はまだまだ終わらない。ブードーからアトランティスに向って左に入り、しばらく先を右に折れると、さらにまたバーが並んでい る。AGASIAと云う名の店に入ると、中はほとんど東洋系ないし韓国人の客で一杯だ。新型のクラブと言えるが、何が他と違うかというと、白人好みの Ape(類人猿)がいないのだ。すなわち女の子のレベルが高いのだ。アンヘレスではちょっと異質とまでいえる。機会があったら是非覗いてみて欲しい。

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