5000ペソもするサンダルとは一体何者なのか2018年8月5日


年を取るとちょっとしたものにけつまずいて転びやすくなる。入り口の段差はもとより、道路のでこぼこ、数ミリのタイルの段差にけつまずいて転びそうになり、そのたびにヒヤッとする。これほどまでかと自分でも思うくらい大げさに体を投げ出して転んでしまう。これがもう少し齢を重ねると足や腰の骨を折って寝たきりになってしまうだろう。そうなると人生はお終いで自分も周囲にも不甲斐ない長々とした介護生活が待っている。クッキーを見ているとしょっちゅうすっころんでいるが、七転び八起きですぐに立ち上がって走り回っている姿がうらやましい。したがって年を取って一番の大敵は癌や糖尿病よりも転倒だと思う。

家で履いているサンダルはひょっとすると手のひらを下に折り曲げるように底の先が丸まってしまい、平らな場所でもつまずいて転びそうになる。はだしになった方が安心なのだが、スリッパをはかないとひっぱだかれるのが我が家の掟だ(キアンはスリッパをはかないで家の中を歩くとよくひっぱだかれていた)。私にとっては階段の途中ですっころんだりしたら骨折というリスクがあり、再起不能に陥ること間違いないが、それでも掟は破れない。

日本のデパートで買ったスリッパ、底が固くてちょっとやそっとで折れそうにないので気に入った

 そんな矢先、先日(5月)に兄弟会に出席するために日本に行った際、孫娘の七五三の撮影会でデパートの中をうろうろしていて目に付いたのがこのサンダルだ。2000円程度してサンダルとしては高額だったが、その硬さが気に入った。底の周囲はそりあがっていて頑丈になっており、手で曲げることはできない。店においてあるサンダルといえば、そんな形が主流だったが、健康というか事故防止のために早速一足買い求めた。フィリピンに戻ってはいてみると極めて心地よくて、室内でひっくり返る危機に見舞われることはなくなった。それでもう一足買おうと近所のデパートに行ったが、いかにもという安物しかなくて形は似ていても底が柔らかくて役にたたない。

フィリピンのものは数百ペソで買えるのだが底が柔らかくで役にたたない

 そんな折、サンタロサのアウトレット街、買い物のメッカにキアンの通学用の靴とサッカー用の靴を買いに行った。二足で5000ペソという予算にびっくりしたが、キアンの新学期用となると財布を紐を緩めるしかない。

サンタロサはマニラッ子の買い物のメッカ 2016年12月7日

Adidas Outletは5割引き3割引きはざらなので、いつも買い物客で溢れ返っている

 自分では履いたこともないAdidasブランドの通学靴が2000ペソ、サッカーシューズは探し回って、なんと900ペソのものを見つけることができた。似たようなものが4000ペソもするのにどういうわけか900ペソという掘り出し物だ。キアンも履き心地に満足したようで、迷うことなく買い求めた。

キアンのAdidasサッカーシューズは格安900ペソで手に入れることができた

 アウトレット街をうろうろしていてジェーンが教えてくれたのが、件のサンダルだ。確かに日本で買ったサンダルと一緒で履き心地も良い。しかし、なんと5000ペソを越える値段だ。まさかサンダルに一万円強とは、日本で一緒に買った革靴の倍もするではないか。底には「BIRKENSTOCK Made in Germany」と得意げに書いてあり、ジェーンによるとブランド物で健康に良いという。ブランドなどどうでも良いが、たかがサンダルに5000ペソ払う馬鹿がどこにいるのかと思わずつぶやいた。しかし寝たきり生活の防止に役に立つとあれば、5000ペソの投資も高くはないかという考えも浮かんできた。結局、ジェーンは、いずれ半値で買えるからと店を後にした。しかしさすがドイツ、世界にとどろく商品を開発するものだが、日本で買ったのもこれをまねたものだったのだろう。しかし、これまたさすが日本でオリジナルとそん色ない品質で価格は五分の一だ。ちなみにフィリピン製の価格は十分の一だが役立たずだ。

これがドイツ製の5000ペソのサンダル。3割引きで手に入れたそうだが、私にとっては数年ぶりの高額商品の買い物だ(写真の加減で左右で大きさが違うが実物は同じだ)

 そしてしばらくたつと、どういう風の吹き回しか、カーネルがギフトとして買ってくれるというメッセージが携帯に入った。ただし、これは室内専用として使い、駐車場のトイレには絶対に履いていかないようにとの条件付だった。私が室内履きでトイレに行くから細菌が家の中の床にばら撒かれて、クッキーが肝炎(下痢便が続いたので医者がひょっとすると肝炎かもと言ったらしい)にかかってしまったのだと、わけのわからないこと主張しているのだ。せっかく買ってくれるのだから、この際、逆らわないで素直に「承知しました」と答えたのは言うもでもない。しかし、健康に良いとなるとたかがサンダルに5000ペソを支払う馬鹿がここにもいたのだ(ただし3割引きだったが)。

 

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