脳内革命、第2弾 2014年5月10日 1


1990年ごろ、脳内革命という本がベストセラーになった。内容は、何かうれしいことがあると、脳からドーパミンという物質が出て、快感を感じ、それがやる気を引き起こすというものだった。それから、ドーパミンという言葉が一般に使われるようになった。その話を医者の兄にしたら、医学会ではそんなことは常識であって、あえて本に取り上げるほどのものでもないということだった。しかし、脳から発生する物質がやる気の基になるとは、素人の私にとっては大変新鮮なものだった。

CIMG1502s-1 4歳になるというのにKIANは相変わらず、歯磨きが苦手だ

それから、20年以上経過して、NHKで、脳の仕組みに関する最近の研究成果について興味ある番組をやっていた。3回連続で、iPS細胞でノーベル賞を受賞した中山教授を招いて脳の仕組みを解説していた。第一回は脳の成長の仕組み、2回目は愛情の仕組み、そして3回目は老化の仕組みだ。

CIMG1544s-1Vの字がKIANの最近のポーズだ

人間の脳は4歳くらいまでにその発達を止める。そうしないと、膨張し続けた脳は、アルツハイマーのような症状を示し、逆に萎縮してしまうそうだ。そして、その後は、脳の性能アップを図る段階で、小学生のころに、音楽を習わせると、五感がフルに働いて、脳はその回転を早め、いわゆる頭の良い子供になるそうだ。私は、KIANにテレビやTVゲームばかりではなくて、碁や将棋などのゲームをやらせたいと思っているが、音楽と同じような効果を発揮すると思う。

音楽は、楽譜を見て、手で楽器を奏で、耳で聞いて判断し、そして楽器の演奏を調整する。五感を瞬時に働かせ目的を達成するという、成長する脳に対して最適な刺激を与えることができる。物理的には脳の情報伝達細胞が情報の伝達を高速化し、要は頭の回転を早めることが実証されているそうだ。ゲームにしても、ゲームをしている間は、脳はフル回転で、じっと見つめているだけのテレビとは大違いだ。

ニューヨークのスラムの9歳の子供たちに音楽を教えたところ、ほとんど大学進学する子がいない地域で、音楽を教わった90%以上の子供たちが大学に進学するという事実に全米が注目しているという。

CIMG2014s-1旧正月の飾りを前にポーズを取るKIAN

4歳ごろまでに脳の器(うつわ)が出来上がった子供は、その後、ゲームや音楽などの訓練で脳の性能を高め、そして、その後は高性能の器に知識を詰め込んでいく長い学校生活となる。だから、小学校を低学年までの間に器となる脳の容量と性能を確保しておかなければ、その後の人生に期待はできない。

この時期(幼稚園~小学校低学年)に、子供はよく遊びよく寝て脳の器を育て、ゲームや音楽などを楽しむことによって脳の性能を高めることが必要で、机に座って、ひたすらABCを唱えたり、123と数えたりするだけの詰め込み教育は全く意味をもたない。

KIANが、パパ・カーネルの実家においてあったキー・ボード(電子ピアノないしオルガン)にいたく興味を示した、という話を聞いて、早速、ヤマハ楽器の販売店(ブエンジアと通りとN・ガルシア通りの角のユーパンコ・ビル)にキー・ボードを探しに行ったら、1万~2万ペソで手に入ることを知った。この程度ならば何とかなると、近々購入することに決定したが、ママ・ジェーンに話によると、キャッシュ・アンド・キャリーには、カシオの製品が7千ペソ程度で買えるそうだ。いずれ購入したら、このブログで報告したい。

CIMG2073s-1 息子の帰国はピザで歓迎するのが最近のしきたりだ。KIANは親指を立ててポーズをを取る

第二話は、男女の愛や家族を思いやる愛情の仕組みだ。

恋人同士がキスをしたりしているとき、脳下垂体からオキシトシンというホルモンが発生する。さらに子供を生んだ母親には大量のオキシトシンが発生して、生まれた子供に深い愛情を感じることが実験で確かめられている。人は、このいわば愛情ホルモンが出ると、恋人や子供に愛を感じるのであって、要は、恋人を愛したり、わが子を愛するのは子孫繁栄のために脳細胞が発する愛情ホルモンによる指令なのだ。この仕組みが欠落すると、引きこもりなどの発達障害を引き起こして、他人との交わりをもてなくなる。無縁社会を構成する人たちもこの愛情ホルモンが欠如しているのではないか。

引きこもりの人にオキシトシンを注射すると、目に見える改善が見られ、社会生活を送ることができるようになるそうだ。ちなみ、マウスに注射すると、オスとメスが寄り添って、愛着行動を起こすという実験がある。そうなると、ほれた女に、いかに愛情ホルモンを発生させるかが、恋の成就の秘訣ということになるが、それは、やはり、贈り物と、おいしいものを食べさせることに尽きるのではないか。しかし、この愛情ホルモンを放出させるほれ薬ができたら、世紀の発明としてブレイクするに違いない。

CIMG2141s-1夜になると子供たちが私の部屋に集まってDVDで映画を楽しむ

 第3話は、老化の仕組みだ。そものも老化というものは、、本来人体を外敵から守るはずの免疫細胞が、自分自身の脳や臓器あるいは骨や筋肉あるいは皮膚などを攻撃してその機能を阻害することにあるそうだ。糖尿病、脳溢血、心臓病、癌などの死に至る病の原因も、暴走した免疫細胞が自らの身体を攻撃することに起因するという。

血液の中にある免疫細胞の司令塔であるT-1細胞は、敵を察知するとサイトカインを放出し、他の免疫細胞に敵への攻撃を指令する。そうすることによって、ウイルスや細菌、あるいはがん細胞を免疫細胞内に取り込んで体外に放出して体を守る。

しかし、高齢になると、このT-1細胞が暴走し、サイトカインを放出し続け、免疫細胞が守るべき人体をむやみやたらに攻撃する。年老いたマウスに若いマウスの体を合体して、血液を共有させると、年老いたマウスが若返るそうだ。これは若いマウスの正常なT-1細胞のおかげで血液中のサイトカインの濃度が減少するための考えられている。こうなると、若い娘の生き血を吸って死人がよみがえる、などという話が現実味を帯びてくる。

CIMG3067s-1忍者になった気分でポーズをとるKIAN

一方、中山教授は、お年寄りの人体からiPS細胞を作って、それをT-1細胞の育て、人体に戻すと、不老長寿が実現できると解説していた。そうなると、人は夢の不老長寿を実現することができて、人間が死ななくなってしまう。人が死ななくなると、今度は、子孫を残す必要がなくなってしまい、人類あるいは動物の世界観が一変してしまう。子孫を残すための仕組みである恋愛家族も無用の長物となってしまい、まさに殺伐としだ世の中になってしまうだろう。

私が、中学一年生の時に、生物の授業で、生きるということの定義は、「自分自身が新陳代謝を行い、そしてさらに子孫を残すこと」と教わった。これが、その後、私の人生観の基礎となったのだが、それがもろくも崩れ去ってしまうことになる。以前、「iPS細胞は夢の技術かそれとも悪魔の技術か 2012年10月22日」というブログを書いたが、まさに、神を冒涜する悪魔の技術といわざるをえない。

CIMG3076s-1私のベッドの背もたれにたって、狙い撃ちの構えをとるKIAN


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One thought on “脳内革命、第2弾 2014年5月10日

  • 土師 裕二

    改めて志賀さんのブログを読み返すと、勉強になることの多さに気が付きました。
    お忙しい中、今後とも宜しくお願い致します。