Daily Archives: April 26, 2016


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4月24日(日)、次期大統領選候補者の最後のテレビ討論会がルソン地方パンガシナン州のパンガシナン大学で行われ、人々はテレビにかじりついてその中継を固唾を呑んで見守った。来月5月9日の投票日まで後2週間を残すばかりとなった大統領選の行方に人々は興味深々だ。現在支持率一位はドテルテ候補(現ダバオ市長)、副大統領はマルコス候補(現上院議員)だ。ドテルテはダバオ市長として治安の向上に貢献したが、そのやり方はダーティハリーそのもの、また、女性を侮蔑する発言で物議をかもすなど、共和党アメリカ大統領候補のトランプにイメージが重なる。マルコスは言わずもがなの21年間の独裁政権を率いた元マルコス大統領の跡継ぎだ。このいわくつきの候補者は果たして一国を率いて行く資格があるのかとメディアは批判を浴びせている。 左からビナイ候補(現副大統領)、サンチャゴ候補(現上院議員)、ドテルテ候補(現ダバオ市長)、ポー候補(現上院議員)、画面から外れているのがロハス候補(前内務自治長官)だ。 ドテルテ候補は、ダバオ市で長年暗躍している「処刑団」(その犯行とみられる超法規的殺人事件が1998~2015年の18年間に1424件発生している)とのに関与が指摘されている。さらに選挙演説中に発した冗談について、オーストラリア政府、宗教団体、他の大統領候補から不適切な発言と糾弾ののろしが上がっている。その冗談とは、彼が市長に就任した一期目、1989年にダバオ市の刑務所で発生したオーストラリア人女性の人質事件に触れ、「なんてこった、やつらは彼女を強姦して殺した。彼女はとても美しかった。やつらは俺より先に彼女に手を付けた」だ。上記の失言にもかかわらずドテルテ候補は支持率第一位34%を維持しているが、庶民はそんな発言をする候補に寛容で、強い指導力のある人物を好ましく思っているようだ。 ドテルテ候補はその強力な個性で支持率をあげ、他の候補を引き離している 支持率2位(22%)はポー候補(現上院議員)。その清廉で潔癖なイメージで当初は支持率一位を維持し、アキノ現大統領の影の後継者と言われている。しかし、たった4年の政治暦では、いかに清廉潔癖でも一国を率いて行く指導力があるのか、疑問符が投げかけられている格好だ。 清廉潔癖を売り物にするポー候補。捨て子が大統領に、という夢をかなえることができるのか 支持率第3位(19%)はビナイ候補(現副大統領)。当初、支持率一位を誇ったこともあったが、アキノ政権の汚職キャンペーンが功を奏したのか、支持率は低迷し、ドテルテ候補に水を開けられている。 汚職という思い看板を背負ってビナイ候補は復活することができるのか 支持率第4位(18%)はロハス候補(前内務自治長官)だ。アキノ大統領の後継者として現政権の支持を受けているものの、当初から支持率第4位を抜け出せないでいる。ロハス元大統領の孫という家柄からか、高慢というイメージがあって庶民の支持を得ることができないでいる。 貴公子ロハス候補は庶民の支持を集めることができない 支持率第5位(2%)はサンチャゴ候補(現上院議員)。その毒舌とユーモアで有名な上院の長老だが、肺がんで生死をさまよい、今回の討論会もようやく参加することができた。かつて2回の大統領選に打って出て毒舌で人気を博したが、過去の人との感がある。 ユーモアにあふれる毒舌で人気のサンチャゴ候補は、もはや過去の人か 副大統領候補は、マルコス上院議員が支持率29%で一位、ロブレド下院議員支持率23%で2位、エスクレド上院議員が支持率20%で3位、カエタノ上院議員が支持率16%で第4位とマルコス上院議員が抜け出している。マルコス独裁政権の21年間がフィリピンの黄金期だったのかあるいはまた暗黒期だったのか、庶民にとっては別世界の出来事と映っているようだ。 我が家の近くの交差点を閉鎖して設けられたステージでビナイ・グループの選挙運動。空席が目立ち、今一盛り上がりに欠けていた まん前で開かれた選挙集会のおかげでかき入れ時と張り切るトロトロレストラン

四つ巴の大統領選の行方 2016年4月26日