Daily Archives: February 14, 2010


フィリピンにおいて天候に左右されずマーケットに安定的に供給されているのが養殖魚のテラピアとバゴスだ。しかも、一般の海水魚がキロ、300~400 ペソもする昨今、その半値以下で買える庶民の味方だ。テラピアは淡水魚でフナか鯉のような形をしているが、白身のあっさりした味で、鯉のように泥臭くなくとてもおいしい。塩焼き、から揚げ、ココナツ・ミルク煮など、食べ方も色々ある。  一方、バゴスは淡水と海水が混じるブラッキッシュ・ウオーターと呼ばれる海岸沿いの養魚場で育ち、鯉のように小骨の多い魚だ。独特の味わいのある魚で、開きのグリル、シネガン・スープ、ラリヤノ・バゴス(後述)、ダイニンナ・バゴス(酢漬けで骨まで食べられる)、ティナパン・バゴス(骨抜きの燻製)など、色々に料理される。この魚の代表的料理であるラリヤノ・バゴスはその厚い皮を生かした面白い料理だ。まず、マーケットの魚屋さんで背骨と肉をえらの部分から全部抜きだして皮と中味に分けてもらう。その手際はなかなか見事なものだ。次に肉から小骨をぬきとるが、これがなかなか大変な作業だ。だからラリヤノ・バゴスを出すレストランは少ない。骨を抜いた肉を細切れの野菜といためて、魚の腹に戻す。そして、それを油で揚げて出来上がりだ。なかなかおいしい料理なので是非試してみて欲しい。この料理はイカなどでもあって、ラリヤノ...と名がついていたら、同じ料理法だ。 テラピアは淡水さえあればどこでも育つ。地方に出かけて大きな池があったら、そこはテラピアの養魚場と思って間違いない。下の写真はタガイタイのタアル湖。無数に浮かぶいかだはテラピアの養殖生簀だ。湖岸の屋台では取りたてのテラピアの塩焼きを安く食べさせてくれる。下の写真はアンヘレスでフレンドシップ・クラブを経営する根本さんの所有する典型的なテラピアの養魚場。1ヘクタール(10,000平米)位の養魚場に数万引きのテラピアが育てられている。ここで育つテラピアは、メスは薬で人工的にオス化され、全部オスだそうだ。オスの方が育ちが早いし、オスとメスが一緒だと子育てを始めてしまい、何かと具合が悪い。そして収穫は、養魚場の水を落とし一気におこなわれるが、池からテラピアをすくうのは買取業者の役割だそうだ。これだけの規模でやるとソコソコ儲かるそうだ。   下の写真は私の農場のテラピアの養魚池。このサイズでは商用にはならず、趣味程度だ。ここではオスとメスが一緒なので、時には稚魚も見ることができる。テラピアは母親の口の中で子育てをする。水面に顔を近づけると、1cm位の稚魚の下に母親がいて、すうーっと稚魚を口の中に吸い込んでどこかへ行ってしまう。テラピアは魚類では珍しい子育てをする魚なのだ。左下写真はバギオのマーケット。山間部のマーケットではほとんどが、テラピアとバゴスで占められる。新鮮な海の魚は入荷が不安定なのだろう。右下の写真はアンへレスのマーケットの行商。やはりバゴスやテラピアが主体だ。

養殖魚の王様、テラピアとバゴス 2010年2月14日