Daily Archives: January 13, 2010


 タバコの農場には現在、5匹の成犬がいて、24時間セキュリティガードとしての役目を果たしている。雑種だがラブラドールやシェーパードの血が混ざった、フィリピン流に言えばメスティーサあるいはメスティーソだ。その中でボスとして君臨しているのが今日の主人公、アイス(オス6才)だ。   2003年3月チャイナタウンのペットショップ街で1ヶ月の子犬を1000ペソで買い求め、タバコへ連れて行った。アイス(オス)、タロー(オス)、チャコ(メス)、ティーナ(メス)の4匹だったが、ティーナはすぐに衰弱して死んでしまった。予防注射やら食事の要領がわからず初めはまごついたが、しばらくして子犬たちのとの新しい生活が始まった。農場の家はほぼ完成しており、子犬たちは家の中で寝て、その外、数匹の犬が家の外にいた。しばらく後、外の犬達は狂犬病で死に絶えてしまったが、予防注射のおかげで子犬たちは皆助かった。    相棒のジェーンの弟、ボボイがアイスを見て、これは純粋な雑種と評した時から、アイスの悲劇が始まった。他の子犬は家の中にいるのに、アイスだけは外に出されたのだ。毎晩、中に入りたがって、ほえまくり、私の怒りを買うことも多々あった。しかし、ある事件がきっかけで彼は無事に市民権を取り戻した。それは、あるときジェーンがアイスを車で轢いてしまったのだ。幸い死には至らなかったが、ほとんど動けなくなってしまった子犬を皆が同情して面倒を見た。それ以来、頭が良くて気が強い性格のアイスは皆に愛され、そしてもう一匹のオス犬の太郎との戦いに勝ち抜き、ボスになっのだ。  当時、農場には猫やウサギ、サルも飼っていた。犬たちは、農場にいる人間には絶対服従なのに他の動物達には容赦ない。結局、これらの動物はすべて犬達に駆逐されてしまった。  犬が良き家族の一員となるためにはしつけが大事だ。やたら可愛がるだけだと、犬は自分がその家のボスであると大いなる勘違いをして、飼い主に吠えたり、噛み付いたり、やりたい放題となり、やがて獣医に安楽死を依頼するはめになってしまう。たとえ小さい愛玩犬でも同じことだ。そこで私は犬の飼いかたの本に学んで下記を実行した。 1. 自分より先に食べさせない。 2. ソファーやベッドなど高くて気持ちの良いところには載せない 3. 耳や尻尾など触られていやなところを触りまくる(敏感な犬は子供が触ると反射的に噛みつく恐れがある) 4. 自分の足や体をまたいだり、交尾の仕草をしたら、それを跳ねのけてやめさせる(これはマウンティングという自分が優位であるという意思表示なのだ) 5. 食事はなるべく自分で与える 6. 毎日、数回、数分間、後ろから羽交い絞めのようにして体を抱え、口を手で握って塞ぐ。これを2~3ヶ月続ける   6番目のトレーニングは犬の最大の武器である口を抑えて、自分が絶対的かつ逆らうことができない主人であることを憶えこませる効果があるそうだ。だから、こうやって育てた犬たちは、私に全体服従で何をしても噛んだり、威嚇して吠えたりするという事はありえない。また、家族や客といるときも、ほえたり、噛んだりすることは絶対にない。それでいて、農場に帰るたびに最大限の歓迎の意をあらわし、全幅の信頼を置いていることを全身で表してくれる。 […]

忠犬アイス物語 2010年1月13日